こんな方は睡眠時無呼吸症候群に要注意
寝ているときにいびきをかいていると周囲の方に指摘されたことはありませんか?
もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かもしれません。以下の項目をチェックしてみましょう。
- いびきをかいていると指摘されたことがある
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
- 何度も目が覚めたり、眠りが浅いことがある
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 日中に強い眠気と疲労を感じる
- 居眠りで交通事故を起こした(起こしかけた)ことがある
- 高血圧がある(薬を飲んでも下がりにくい、朝の血圧が高いなど)
- 寝ても疲れが取れない
- 息苦しさで目覚めることがある
- 起きた時に頭痛を感じる
いびきや呼吸の停止を指摘された方、日中の眠気が強い方、いくつかの項目に当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。少しでも不安に感じたら、お早めに当院にご相談ください。
いびきそのものが気になる方はいびきがうるさいのはなぜ?原因と病気のサイン、朝の目覚めの悪さが気になる方は目覚めが悪い・寝起きがつらいときに考えられる原因もあわせてご覧ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っている間に呼吸が止まったり(無呼吸)、呼吸が浅く弱くなったり(低呼吸)することをくり返す病気で、英語の頭文字をとってSAS(サス)と呼ばれます。無呼吸は10秒以上呼吸の気流が止まる状態、低呼吸は10秒以上呼吸が弱くなり、血液中の酸素が下がったり眠りが浅くなったりする状態をいいます。眠っている時間1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数を「AHI(無呼吸低呼吸指数)」といい、診断や重症度の判定に使います(詳しくは下の「睡眠時無呼吸症候群の検査」で説明します)。
呼吸が止まるたびに血液中の酸素が低下し、そのたびに脳が目覚めかけて呼吸を再開するため、身体に負荷がかかる状態がくり返されます。このため、十分な質の睡眠を取ることができず、日中の強い眠気や倦怠感、起床時の頭痛や頭重感、集中力の低下、イライラ、気分の落ち込みなどの症状が現れることがあります。仕事や勉強、車の運転に支障をきたすこともあります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に起こるため、自覚症状がないまま放置されることがよくあります。パートナーから寝ている間に「いびき」や「呼吸が止まっていること」を指摘される方や、上記の症状例の項目に当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を否定できません。
適切な治療によって、日中の眠気などの症状の改善が期待できます。周りの人にいびきや無呼吸を指摘された方は、お気軽に当院へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の種類と原因
睡眠時無呼吸症候群は大きく以下の2種類に分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
閉塞性睡眠時無呼吸は、眠ると喉の周りの筋肉がゆるみ、空気の通り道(上気道)が狭くなったり塞がったりすることで起こります。空気の通り道の中でも、喉の部分が狭くなることが多いです。呼吸をしようとする胸やお腹の動きは続いているのが特徴で、狭くなった通り道を空気が通るときに組織が振動して、大きないびきが生じます。
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
中枢性睡眠時無呼吸は、脳の呼吸中枢から「呼吸をしなさい」という指令が一時的に出なくなることで起こる無呼吸です。空気の通り道は塞がっていないのに、呼吸をしようとする胸やお腹の動きそのものが止まってしまうのが、閉塞性との大きな違いです。いびきを伴わないことも多く、心不全や脳卒中、一部の薬(医療用麻薬など)が関係することがあります。
睡眠時無呼吸症候群の大部分は、閉塞性(OSA)です。
ここからは主に閉塞性タイプの睡眠時無呼吸症候群について解説します。

閉塞性睡眠時無呼吸は、空気の通り道が狭くなりやすい体の特徴に、肥満や飲酒などの要因が重なって起こります。当てはまる項目が多い方は注意が必要です。
○体の特徴・体質
- 顎が小さい、顎が後ろに下がっているなど、生まれつきの顔や顎の骨格
- 扁桃(へんとう)が大きい、舌が大きい
- 鼻炎などによる鼻づまり
- 家族に睡眠時無呼吸症候群の方がいる(顔や顎の骨格が似やすいため)
○肥満
首回りや喉の周りに脂肪がつくと、空気の通り道が狭くなります。ただし、日本人は顎の骨格の影響を受けやすく、太っていない方でも睡眠時無呼吸症候群になることがあります。
○生活習慣・その他
- 飲酒(特に寝る前)
- 喫煙
- 一部の睡眠薬・鎮静薬などの使用
- 加齢
- 仰向けで寝ること
睡眠時無呼吸症候群の検査
検査では、睡眠中の呼吸や血液中の酸素の状態を記録し、1時間あたりに呼吸の乱れ(無呼吸・低呼吸)が何回起きているかを調べます。精密検査ではAHIで、簡易検査では記録した時間あたりの回数で評価します。当院では、ご自宅でできる簡易検査を行い、より詳しい検査が必要な場合は、提携する基幹病院に精密検査を依頼しています。
検査結果の見方と重症度
成人の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では、検査で確認される呼吸の乱れが1時間あたり5回以上あり、いびきや呼吸停止の指摘、日中の眠気、疲労感、睡眠の質の低下などの症状がある場合、または症状の有無にかかわらず1時間あたり15回以上の場合に、国際的な診断基準を満たします。重症度は、1時間あたりの回数によって次のように分けられます。
| 重症度 | 1時間あたりの回数 |
|---|---|
| 軽症 | 5以上15未満 |
| 中等症 | 15以上30未満 |
| 重症 | 30以上 |
なお、この回数は「診断」「重症度」「治療の保険適用」で、それぞれ意味が異なります。たとえば、1時間あたり15回以上だからといって、それだけで自動的にCPAP治療が保険適用になるわけではありません。治療は、症状や検査の結果をあわせて判断します(下の「検査から治療までの流れ」をご覧ください)。
簡易検査(ご自宅でできる検査)
簡易検査は、いびきや日中の眠気などがあり、睡眠時無呼吸症候群が疑われる方に最初に行う検査です。「簡易PSG検査」と呼ばれることもあります。
機器によって異なりますが、指先のセンサー(血液中の酸素と脈拍)、鼻のセンサー(呼吸の気流)、胸のベルト(呼吸の動き)などを寝る前にご自身で装着し、ふだんどおりにお休みいただきます。ご自宅で、普段に近いリラックスした状態で検査できるのが大きな利点です。
一方で、簡易検査は脳波を測定しないため、実際に眠っていた時間を正確には測定できません。検査機器で記録した時間をもとに呼吸の乱れの回数を計算するため、精密検査より少なめに評価されることがあります。結果が軽い範囲でも症状が強い場合などは、精密検査を検討します。
当院の簡易検査の結果票には、主にRDI(呼吸障害指数:呼吸の乱れの頻度を示す指標)と、ODI(酸素飽和度低下指数:1時間あたりに血液中の酸素が一定以上下がった回数)が記載されます。結果は外来で、これらの数値と症状をあわせてご説明します。
当院で検査が決まりましたら、提携業者から患者さんへ日程調整のお電話があります。検査機器はご自宅にお届けし、2晩測定したあと、郵送でご返却いただきます。検査終了からおよそ2週間で解析結果がそろいますので、外来で結果をご説明します。
精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフィー)
精密検査では、簡易検査の項目に加えて、脳波や眼の動き、筋肉の動きなどを一晩かけて記録します。実際に眠っている時間や眠りの深さ、呼吸が止まるたびに眠りが途切れているかどうかまで評価できるため、より正確な診断ができます。多数のセンサーを付けますが、痛みはありません。
簡易検査で判断が難しい場合や、症状の強さと簡易検査の結果が合わない場合などに行います。当院では、精密検査は提携する基幹病院に依頼しており、1泊入院で行います。検査料に加えて入院費がかかるため、簡易検査より費用は高くなります。具体的な費用は、検査を依頼する際にご説明します。なお、CPAP治療が必要と判断された場合は、依頼先でCPAPをつけた状態での検査を追加で行い、効果を確かめることがあります。
検査から治療までの流れ(当院の場合)
診察
いびき、呼吸が止まっていると言われたこと、日中の眠気、起床時の頭痛、血圧などについてお聞きし、検査が必要かどうかを判断します。
ご自宅で簡易検査(2晩)
提携業者から日程調整のお電話があり、ご自宅に検査機器をお届けします。2晩測定したあと、機器は郵送でご返却ください。結果は検査終了からおよそ2週間後に、外来でご説明します。
呼吸の乱れが1時間あたり30回以上あり、日中の眠気や起床時の頭痛などの症状が強く、日常生活に支障がある場合
CPAP治療当院で導入します
上記に当てはまらない場合や、判断が難しい場合
必要に応じて
精密検査(PSG)提携の基幹病院で1泊入院
呼吸の乱れ(AHI)が1時間あたり15回以上あり、症状が強く、無呼吸によって睡眠が妨げられていることが確認された場合など
CPAP治療当院で導入します
睡眠時無呼吸症候群だが、CPAP治療の対象とならない場合
マウスピース(歯科へご紹介)、生活習慣の見直しなど
呼吸の乱れが1時間あたり5回未満の場合
睡眠時無呼吸症候群は否定的です。症状の原因をあらためて検討します
治療の継続
CPAP治療を始めた後は、当院に定期的に通院していただき、使用状況や効果を確認します。そのほかの治療を選んだ場合も、経過を一緒に確認していきます。
※2026年6月の診療報酬改定で、CPAP治療の保険適用の基準となる回数が見直されました(従来の「1時間あたり20回以上」が「15回以上」に、「40回以上」が「30回以上」に)。いずれも回数だけで決まるものではなく、症状や検査の結果をあわせて判断します。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
CPAP療法(シーパップ療法)
CPAP療法は、中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸に対する標準的な治療です。当院では、CPAP治療の導入から、その後の継続的な管理まで行っています。
CPAP療法では、患者さんに専用のマスクを着用していただき、一晩中、圧力をかけた空気(陽圧)を気道に送り込むことで、空気の通り道が塞がらないように保ち、無呼吸や低呼吸を防ぎます。これにより質の良い睡眠がとれるようになり、日中の眠気や疲労感、頭痛、集中力の低下などの症状の改善が期待できます。
CPAPは使っている間に効果を発揮する治療のため、毎晩続けて使うことが大切です。はじめはマスクや空気の圧に慣れるまで時間がかかることがありますが、マスクの種類やサイズ、圧の設定を調整することで、多くの方が慣れていかれます。
治療中は定期的に通院していただき、使用時間や効果、マスクの具合などを確認しながら、患者さん一人ひとりに合わせて設定を調整します。
マウスピース(口腔内装置)
下顎を少し前に出した状態で固定し、空気の通り道を広げる装置です。主に軽症から中等症の方や、CPAPが合わない方、CPAP治療の対象とならない方に用いられます。歯科で一人ひとりの歯型に合わせて作製します。睡眠時無呼吸症候群と診断され、医科の医療機関から歯科へ診療情報を提供して作製を依頼する場合は健康保険が適用されますので、必要な方には当院から歯科へご紹介します。
生活習慣の見直し・その他の治療
体重を減らす、寝る前の飲酒を控える、禁煙する、横向きで寝るといった工夫で、症状が軽くなることがあります。どの治療を選ぶ場合でも大切な基本です。また、鼻づまりや扁桃肥大などが原因と考えられる場合は、耳鼻咽喉科での治療をご案内することもあります。
SASの検査にかかる費用
SASの検査には健康保険が適用されます。当院で行う簡易検査の費用の目安は次のとおりです。
| 検査内容 | 1割負担の方 | 2割負担の方 | 3割負担の方 |
|---|---|---|---|
| 簡易検査(当院) | 約900円 | 約1,800円 | 約2,700円 |
注意点:
- 表の金額は、検査料と判断料をあわせた目安です。別に初診料・再診料などがかかります。
- 簡易検査は2晩測定しますが、費用は1回分です。
- 精密検査(基幹病院)は1泊入院で行うため、検査料に加えて入院費がかかり、簡易検査より費用は高くなります。費用は依頼先の病院でお支払いいただきます。詳しくは、検査を依頼する際にご説明します。
- 高血圧や糖尿病などの合併症の有無を確認するために、追加の検査を行う場合があります。
- 費用についてご不明な点は、お気軽に受付までお尋ねください。
SASの治療にかかる費用
SASと診断された場合の治療にも、原則として健康保険が適用されます。CPAP療法では、機器のレンタル料も健康保険の費用に含まれます。治療中は定期的な通院が必要となり、受診のたびに費用がかかります。
| 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
|---|---|---|---|
| CPAPにかかる月額費用目安 | 約1,300円 | 約2,600円 | 約3,900円 |
注意点:
- 上記はCPAP治療の管理料と機器の費用の目安です。別に再診料などがかかり、状況に応じてその他の費用がかかることがあります。
- マウスピースの費用は、作製する歯科医院でご確認ください。
- 費用についてご不明な点は、お気軽に受付までお尋ねください。
高血圧・糖尿病・腎臓病との関係
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧(特に薬を飲んでも下がりにくい高血圧や、朝の血圧が高いタイプ)や糖尿病、心臓や脳の病気と関係することが知られています。当院では、睡眠時無呼吸症候群の治療とあわせて、血圧・血糖・腎臓の状態も一緒に診ていきます。詳しくは「睡眠時無呼吸症候群と高血圧・糖尿病・慢性腎臓病の関係」をご覧ください。
気になる症状のある方は当院へ
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に起こるため気づきにくい病気です。いびきや呼吸の停止を指摘された方、日中の眠気が続く方は、ぜひ一度きたはらやまクリニックまでご相談ください。
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