健診で eGFR低下・クレアチニン高値・尿たんぱく・尿潜血 を指摘された方へ
腎臓の再検査・精密検査では
何を調べるのか
健診で腎臓の項目に印がついていても、痛みやだるさなどの自覚症状はほとんどありません。そのため「体調は悪くないから」と、そのままにされる方は少なくありません。
けれども、1回の健診結果だけで腎臓の状態を判断することはできません。再検査で何を調べ、その結果から何が分かるのかを、尾張旭市の腎臓専門医がご説明します。
このページで分かること
- ご自身の eGFR・尿たんぱく・尿潜血が、どのくらいの位置にあるか
- 腎臓の再検査で実際に行う検査と、それぞれで分かること
- 受診の目安と、当院での診療の流れ
まず、ご自身の数値を確認してみてください
腎臓に関わる3つの項目です(成人の一般的な目安)
※表は横にスクロールできます
| 項目 | 基準の範囲 | 注意 | 受診をおすすめします |
|---|---|---|---|
| eGFR 腎臓のはたらきの指標 |
60以上 | 45〜59 | 45未満 40歳未満の方は60未満で受診を |
| 尿たんぱく 腎臓のフィルターの状態 |
(−) | (±) | (+)以上 (±)が2年続いた場合も |
| 尿潜血 尿に血液が混じっていないか |
(−) | (±) | (+)以上 尿たんぱくも陽性なら特に |
同じ数値でも、年齢・持病・これまでの変化によって確認の優先度が変わります
特に糖尿病がある方では、尿たんぱくが陰性または(±)であっても、尿アルブミンの検査が必要になることがあります。
高血圧や糖尿病がある方、eGFRが年々下がってきている方、尿たんぱくと尿潜血が重なっている方は、軽い異常でも早めにご相談ください。
※上記は健診結果を確認するための一般的な目安です。判定区分は健診機関によって異なることがあります。
※eGFRや尿たんぱくは体調や運動の影響で一時的に変動することがあり、再検査での確認が必要です。
※尿潜血は、月経中の採尿、激しい運動、尿路感染症などの影響で一時的に陽性となることがあります。
※治療中の方や、糖尿病・心臓の病気などをお持ちの方では、目標とする値が個別に異なります。
※血糖・コレステロール・血圧など、腎臓以外の項目の目安は
健診の数値と受診の目安のページでご説明しています。
腎臓の再検査では、何を調べるのか
健診の尿検査は、試験紙で「たんぱくが出ているかどうか」を大まかに見るものです。再検査では、どのくらい出ているのかを数値で測り、どこに原因がありそうかを調べます。主な検査と、それぞれで分かることは次のとおりです。
※表は横にスクロールできます
| 検査 | この検査で分かること |
|---|---|
| 尿たんぱくの定量 尿たんぱく/クレアチニン比 |
試験紙の「+」を実際の量に置き換えます。腎臓の障害の程度や今後のリスクを評価する、重要な数値の一つです。 |
| 尿アルブミンの定量 糖尿病のある方 |
糖尿病による腎臓の変化では、健診の尿たんぱくが陰性でも、微量のアルブミンが増えていることがあります。早期の変化を確認するための検査です。 |
| 血液検査 クレアチニン・eGFR・電解質・貧血 など |
腎臓のはたらきを改めて確認します。あわせて、腎臓のはたらきが落ちたときに起こりやすい貧血やミネラルの乱れがないかも見ます。 |
| 尿沈渣 尿を顕微鏡で見る検査 |
尿のなかの赤血球の形や円柱などを確認し、腎臓のろ過装置(糸球体)からの出血を示す所見がないかを調べます。血尿の原因を考えるための手がかりとなる検査です。 |
| 腹部(腎)エコー | 腎臓の大きさや形、結石やのう胞の有無を確認します。おなかに機械をあてるだけで、痛みはありません。 |
| 血圧の評価 ご家庭での測定を含みます |
血圧は腎臓に強く影響し、腎臓の状態も血圧に影響します。診察室だけでなく、ご家庭での数値が判断に役立ちます。 |
※すべての方に全部を行うわけではありません。健診結果や、これまでの経過、お持ちの病気に応じて必要なものを選びます。
※尿潜血だけが続いている場合は、腎臓のほかに結石や尿路の病気も考えられます。必要に応じて泌尿器科へのご紹介を含めてご相談します。
※血糖・脂質・肝機能など、腎臓以外の項目の再検査については
健康診断の二次検査・再検査は何をする?をご覧ください。
1回の数値だけでは決まりません
慢性腎臓病(CKD)はどう判断するのか
慢性腎臓病は、eGFRが60未満、または尿たんぱくなどの腎臓の障害を示す所見が、3か月以上続いている場合に診断します。健診で1回引っかかったからといって、その場で決まるものではありません。
ただし、短い期間で腎臓のはたらきが急に低下した場合や、尿たんぱく・血尿が強く出ている場合は、3か月を待たずに調べる必要があります。「3か月は様子を見てよい」という意味ではありませんので、まずはご相談ください。
eGFRの数字だけでは判断できません
eGFRは低いほど注意が必要ですが、60〜89という数値だけで慢性腎臓病と診断されるわけではありません。年齢とともにゆるやかに下がることもあります。
一方で、尿たんぱくなどの腎臓の障害を示す所見が続いている場合は、eGFRが60以上でも慢性腎臓病に該当することがあります。
つまり、1回の数値ではなく、過去からの変化と尿検査を組み合わせて評価することが大切です。健診結果は過去2〜3年分をお持ちいただけると、変化のしかたが分かります。
なぜ腎臓のはたらきが落ちるのか
腎臓は、細い血管が集まってできた「ろ過装置」の集合体です。そのため、血管に負担をかける状態が続くと、少しずつはたらきが落ちていきます。生活習慣病が腎臓と深く関わるのは、このためです。
生活習慣病を整えることは、腎臓を守ることにつながります。
当院の診療について
当院では、健診で異常を指摘された段階から、腎臓と生活習慣病を一緒に評価し、将来の腎機能低下や透析リスクを減らすことを大切にしています。
腎臓専門医が診ます
腎機能の低下、尿たんぱく、慢性腎臓病(CKD)について、必要な検査を選び、結果の意味をご説明します。
生活習慣病もあわせて診ます
高血圧・糖尿病・脂質異常症を別々にではなく、腎臓への影響も見ながら一緒に管理します。
続けやすい形でご提案します
健診で指摘された段階から、無理なく続けられる生活の工夫と、必要に応じた治療をご相談しながら決めます。
受診の流れ
- 健診結果とお薬手帳をご持参ください(過去2〜3年分があると、変化のしかたが分かります)
- 問診・診察で、これまでの経過やお困りのことをうかがいます
- 必要に応じて、尿検査・血液検査・エコー・血圧の評価を行います
- 結果をご説明し、今後の進め方を一緒に決めます
このような方はご相談ください
- 健診で eGFR低下・クレアチニン高値・尿たんぱく・尿潜血を指摘された
- 高血圧や糖尿病があり、腎臓への影響が気になっている
- 腎臓の数値が心配だが、何科を受診すればよいか分からない
- ご家族に腎臓の病気や透析を受けている方がいて不安がある
よくあるご質問
Q. 症状が何もありません。それでも再検査は必要ですか?
腎臓は、かなり進むまで症状が出にくい臓器です。症状がないことは、腎臓に変化がないことを意味しません。むしろ症状がない段階で分かることに意味があります。
Q. 尿たんぱくが1回だけ出ました。様子を見てもよいですか?
尿たんぱくは、発熱や激しい運動のあとなどに一時的に出ることがあります。一方で、腎臓の変化の早い段階のサインであることもあります。どちらなのかは再検査で確認します。(+)以上であれば、早めのご相談をおすすめします。
Q. 尿潜血だけが出ています。腎臓の問題でしょうか?
尿潜血だけの場合、腎臓のほかに結石や尿路の病気が原因のこともあります。尿沈渣などで手がかりを調べ、必要に応じて泌尿器科へのご紹介も含めてご相談します。尿たんぱくと尿潜血が重なっている場合は、腎臓の精密な評価が必要になります。
Q. 再検査はどのくらい時間がかかりますか?
尿検査と血液検査は当日お受けいただけます。エコー検査は、混雑状況によって日を改めてお願いすることがあります。詳しくは受付でご相談ください。
Q. 腎臓が悪いと言われたら、すぐに薬が必要になりますか?
すべての方に薬が必要になるわけではありません。原因や進み具合、ほかにお持ちの病気によって、生活の工夫を中心に進める場合もあります。まず状態を正しく把握することから始めます。
Q. 一度落ちた腎臓のはたらきは戻りますか?
慢性的に低下した腎臓のはたらきは、元どおりに戻すことが難しい場合が多くあります。だからこそ、進み方をゆるやかにすることが治療の中心になります。早い段階ほど、できることが多くなります。
気になる数値があれば、お早めにご相談ください
症状がない今だからこそ、確認しておく意味があります。
尾張旭市・瀬戸市で腎臓のご相談ができる内科・腎臓内科です。
※健診結果をお持ちいただくとスムーズです
免責事項
本ページは一般的な医療情報の提供を目的としたもので、特定の症状・疾患について診断や治療を行うものではありません。検査値の意味や必要な検査は、年齢・既往歴・お持ちの病気によって異なります。実際の診断・治療については、必ず医療機関で医師にご相談ください。
参考:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」/日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」「CKD診療ガイド2024」/日本腎臓学会・日本泌尿器科学会ほか「血尿診断ガイドライン2023」
