血尿に気づいたら、放置しないでご相談を〜尿に血が混じるのは身体からの大切なサインです〜
血尿とは?見た目でわかる場合と、気づきにくい場合があります
「トイレで尿の色が赤くて驚いた」という経験はありませんか?
血尿とは、尿の中に血液が混じっている状態のことを言います。尿の色がピンクや赤色に見える場合は「肉眼的血尿(にくがんてきけつにょう)」、見た目ではわからなくても尿検査で血液(赤血球)が検出される場合は「顕微鏡的血尿(けんびきょうてきけつにょう)」と呼ばれます。
肉眼的血尿はご自身でも気づけますが、顕微鏡的血尿は健康診断などで初めて指摘されることが多く、知らず知らずのうちに病気が進行していることもあります。
どちらのタイプであっても、腎臓や尿の通り道(尿路)に異常があるサインである可能性があるため、見逃さずに早めに医療機関を受診しましょう。
血尿の原因はさまざまです
血尿が出る原因は多岐にわたり、大きく分けて以下のようなものがあります。
尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎など)
細菌が膀胱や腎臓に感染し、炎症が起きることで血尿が出ることがあります。
特に女性に多い膀胱炎では、血尿のほかに「排尿時の痛み」「頻尿」「尿の濁り」などの症状を伴います。
腎臓まで炎症が広がる腎盂腎炎(じんうじんえん)では、発熱や腰の痛みを感じることもあります。
尿路結石
腎臓や尿管などにできた結石が、尿路の粘膜を傷つけて出血することで血尿が出ます。激しい痛み(疝痛発作)が特徴です。
近年では、食生活の変化により日本人の約10人に1人が一生のうちに経験すると言われています【日本泌尿器科学会】。
尿路の腫瘍(がん)
腎臓・尿管・膀胱などにできた腫瘍から出血して血尿が出ることがあります。初期には症状が出にくく、血尿が唯一のサインとなることも多いため、見逃しには注意が必要です。
腎臓の病気(糸球体腎炎など)
慢性糸球体腎炎、膠原病に伴う腎障害、IgA腎症などが原因となることがあります。
血尿に加えて蛋白尿も認められる場合は、腎機能が低下していく可能性があるため、精密検査と継続的な経過観察が必要です。
血尿が出たら、どんな検査をするの?
以下のような検査で原因を調べていきます。
検査名 | 内容 |
尿検査(尿沈渣・尿培養) | 尿中の赤血球の数や細菌の有無などを調べます。感染症が疑われる場合は菌の種類や薬剤感受性を確認します。 |
血液検査 | 腎臓の働き(クレアチニン・eGFR)、炎症の有無(白血球数、CRPなど)を確認します。 |
画像検査(超音波など) | 腎臓・尿管・膀胱の状態、結石や腫瘍の有無を確認します。痛みもなく体に優しい検査です。必要に応じてCT検査を行うこともあります。 |
血尿の治療は原因によって異なります
原因 | 主な治療法 |
尿路感染症 | 抗生物質による治療。早期に治療を開始すれば、1週間以内に改善することが多いです。 |
尿路結石 | 小さな結石は自然排出を促し、痛み止めを使います。大きな結石は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や手術で取り除きます。 |
腫瘍(がん) | 腫瘍の種類や進行具合に応じて、泌尿器科での精密検査・治療が必要です。 |
腎炎 | 原因疾患に応じて、ステロイドや免疫抑制剤の使用が検討されます。診断には腎生検(腎臓の一部を採取して調べる検査)が必要なことがあります。 |
まとめ:血尿は身体からの「見逃してはいけないサイン」です
血尿が出ると不安になるかもしれませんが、早期に原因を見つけて適切に対処すれば、回復可能な病気も多くあります。
特に「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」などの生活習慣病をお持ちの方は、腎臓病のリスクも高いため、定期的な検査と早期対応が大切です。
気になる症状がある場合は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。