高尿酸血症(痛風)とは?
高尿酸血症という病気は知っている方は多くないかもしれませんが、高尿酸血症の合併症として生じる『痛風発作』は一度は聞いたことがある方が多くいらっしゃるかと思います。
高尿酸血症は、血液中の尿酸値が基準値よりも高い状態が続くことで身体に異常が生じてしまう病気です。尿酸は食べ物や飲み物に含まれるプリン体が分解される過程で産出される物質です。たらこ、いくら、とり肉、アジ・サバ・イワシなどの青魚、レバー、ビールなどにはプリン体が豊富に含まれています。これらの食品は食べたり飲んではいけないという訳ではありません。飲みすぎや食べ過ぎには注意をしていただければと思います。
痛風発作とは
血液中を流れている尿酸が足の指先などの末梢組織に溜まることで激痛が生じてしまいます。これを痛風発作と言います。痛風発作は男性によくみられます。
痛風発作が生じると2~3日は激痛が続きますが、痛みは徐々に改善していきますのでご安心してください。足の痛みが収まったからと言って放置していると、痛風発作が繰り返し発症してしまいます。しっかりと医師と改善策を相談し、痛風発作が生じないように根治治療を目指していただければと思います。
高尿酸血症の発症原因
高尿酸血症の発症原因としては、普段の生活習慣が関係しています。血液中を流れている尿酸値が上昇してしまう理由としては下記の3パターンに分類されます。
- 尿酸生産過剰型(尿酸が体内で過剰に産出されるパターン)
- 尿酸排出低下型(尿酸の体外への排出量が減ってしまうパターン)
- 混合型(両方の原因が混合したパターン)
高尿酸血症が発症してしまった原因を解明していき、ご自身にあった適切な治療を受けていただくことが大切です。尿酸値が高いと指摘された方、過去に痛風発作を発症したことがある方は、お早めにクリニックまでご相談してください。
尿酸が過剰に産出される原因は?
尿酸が体内で必要以上に作られてしまう原因として、プリン体を多く含むたらこ、いくら、レバー、白子などの食べ過ぎや、ビールなどのアルコール類の過剰摂取が原因として考えられます。決して食べたり飲んだりしてはいけないといった訳ではありませんが食べ過ぎや飲み過ぎには注意してください。
激しい運動(無酸素運動)を行うことでもプリン体が体内で産出されてしまいます。また、運動をして汗をかくことで体内の水分量が減ってしまうため、血液中の尿酸の濃度が上昇してしまいます。高尿酸血症・痛風発作を防ぐためにもこまめな水分補給は大切となります。
尿酸の排泄量が減ってしまう原因は?
肥満や過剰なアルコール摂取、慢性腎臓病などが原因となります。
尿酸の排出量が減ってしまうために高尿酸血症や痛風発作が生じている場合は、尿酸の体外への排出を促すお薬を処方する場合もあります。
高尿酸血症・痛風発作の治療では、発症している原因を特定し、その原因に応じて治療内容・処方内容が異なります。高尿酸血症や痛風発作は普段の生活習慣が発症に深く関わっています。医師と治療方針について話し合い、ご自身のお身体にあった適切な治療を受けるようにしてください。
高尿酸血症による合併症は?
血液中を流れている尿酸値が 7.0 mg/dL より高い状態が続くと、合併症が生じやすくなります。尿酸値がただ高いだけだと自覚症状は感じることがありません。ただし、過剰に増えた尿酸が末端組織で溜まるとその部位で激しい痛みを感じるようになります。これが痛風発作といいます。
この痛風発作は結晶が生じる場所によって合併症は異なります。尿路で結晶が生じてしまった場合は尿管結石や膀胱結石、腎臓で結晶が生じてしまった場合は慢性腎不全を招いてしまいます。
また、高尿酸血症になると動脈硬化のリスクも高まると言われています。動脈硬化を引き起こす原因としては尿酸の生成過程にあり、生成された尿酸が血管に酸化ストレスを与えることで、血管にダメージが蓄積していきます。
その結果として血管の動脈硬化が生じてしまい、最終的には心筋梗塞や脳梗塞など重大な病に繋がってしまう可能性が高まります。
高尿酸血症の治療方法は?
高尿酸血症の治療法では、主に薬物療法と生活習慣の改善を行っていく必要があります。
薬物療法
高尿酸血症では生活習慣の改善を行っても尿酸値のコントロールが難しい場合には、薬物療法を実施します。高尿酸血症の治療薬には、尿酸の生成を抑えるお薬や尿酸の排出を促進させるお薬を処方します。痛風発作が生じてしまった場合は、先ずは痛みや炎症を抑えるお薬を処方して様子をみます。
食事内容で気を付けること
高尿酸血症の発症には上述していますが、普段の生活習慣が関係しています。そのため、健康診断などで尿酸値が高いと指摘を受けた方は普段の食事内容や運動習慣を改善していただきたいと思います。
当院では普段の生活習慣や運動習慣についてのアドバイスを医師・看護師より、皆様に提供しています。食事の内容、献立の考え方など気になることがありましたらお気軽にご相談してください。