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腎臓病と高血圧

【腎臓病と高血圧の深い関係とは?】~健康長寿のために、いま知っておきたいこと~

「血圧が高いですね」と言われたことがある方、もしくは降圧薬を飲まれている方、いらっしゃいませんか?
実はその「高血圧」、腎臓病と密接な関係があることをご存じでしょうか。

腎臓は「血液をきれいにするフィルター」のような大切な臓器です。しかし、高血圧が続くとその腎臓に大きな負担がかかり、腎臓の働きが少しずつ低下していくことがわかっています。

一方で、腎臓の機能が低下すると、体内の水分や塩分の調整がうまくできなくなり、結果的にさらに血圧が上がってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
これが、「腎臓病と高血圧の関係は一方通行ではなく、お互いに悪影響を及ぼし合う」原因なのです。

なぜ、早めの予防が大切なのか?

腎臓病は初期の段階ではほとんど自覚症状がありません
「気づいたときには進行していた」という方が非常に多く、治療の開始が遅れると、将来的に人工透析が必要になるケースもあります。

しかし、高血圧の段階で腎臓病のリスクに気づき、早めに対策を始めることで進行を防ぐことが可能です。

当院では、腎臓専門医としての知識と経験を活かし、
・ 高血圧と腎臓の状態をセットで評価する検査
・ 生活習慣の見直しや食事指導
・ その方に合ったお薬の調整
などを通じて、腎臓を守りながら高血圧をコントロールする治療を行っています。

こんな方は、ぜひ一度ご相談ください

  • 健康診断で「血圧が高い」と言われた方
  • 血圧の薬を飲んでいるが、効果を実感しにくい方
  • むくみや尿の異常を感じることがある方
  • 糖尿病や脂質異常症など、生活習慣病をお持ちの方
  • 他のクリニックで治療中だが、専門的な腎臓の検査・治療を受けたい方

腎臓病(慢性腎臓病、以下CKD)と高血圧は、互いに密接な関係を持ち、その相互作用は多くの研究によって明らかにされています。以下に、両者の関係性とそのメカニズム、そして予防の重要性について詳述します。

1. 高血圧が腎臓に及ぼす影響

高血圧は、腎臓の血管に過度な圧力をかけ、腎機能の低下を引き起こす主要な要因の一つです。​持続的な高血圧は、腎臓の細小血管を損傷し、糸球体硬化症を促進します。​これにより、腎臓のろ過機能が低下し、老廃物の排泄が不十分となり最終的には慢性腎臓病の進行を招きます。

高血圧は慢性腎臓病の発症および進行に深く関与しており、適切な血圧管理が腎機能の維持に不可欠です。

2. 腎機能低下が高血圧を引き起こすメカニズム

一方、腎機能の低下自体も高血圧の原因となります。​腎臓は体内の塩分と水分のバランスを調整する役割を持ちますが、腎機能が低下すると、これらの調節がうまくいかず、体液量の増加を招きます。​その結果、血圧が上昇し、さらに腎臓への負担が増加するという悪循環が生じます。

3. 高血圧を放っておくと…心臓・脳・腎臓が危険に!

高血圧は、
・心筋梗塞・心不全などの「心疾患」
・脳出血・脳梗塞などの「脳血管障害」
・慢性腎臓病(CKD)→ 将来的な透析
といった合併症の最大の危険因子です。

高血圧は自覚症状が少ないですが、放置すると命に関わる重大な病気を引き起こす可能性があり「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」といわれています。日本人の約4,300万人が高血圧と言われており、その多くが治療や管理が不十分です。収縮期血圧が10mmHg上がるごとに、心血管疾患のリスクは約20%増加するという研究報告もあります。また、脳卒中の約60%が高血圧に関連し、高血圧の人は脳卒中リスクが2~4倍に高まるとされています。

4. 降圧療法の重要性と目標値

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2024(JSH 2024)」に基づいた血圧管理目標値は下記の通りになります。

対象患者層収縮期血圧(mmHg)拡張期血圧(mmHg)備考
一般成人(75歳未満)<130<80通院時血圧での目標
高齢者(75歳以上)<140<90状況に応じて130/80未満も考慮
糖尿病を有する患者<130<80血管合併症がある場合はより厳格に
慢性腎臓病を有する患者<130<80特に蛋白尿を伴う場合は厳格管理が必要
脳血管障害の既往がある患者<140<90再発予防目的、ただし脳虚血に注意
冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)<130<80心筋虚血や脳灌流低下のリスクを考慮

・目標は「診察室血圧」を基準とした値です。

・家庭血圧の目標は通常、診察室より5mmHg低く設定されます(例:125/75mmHg未満など)。

・高齢者でも全身状態が良好であれば、130/80未満を目指すことが推奨されます。

5. 生活習慣の改善と予防策

高血圧と腎臓病の悪循環を断ち切るためには、早期からの適切な血圧管理や予防が不可欠です。​定期的な血圧測定と腎機能検査を行い、異常が認められた場合は早期に対応しましょう。​また、生活習慣の改善、適切な降圧薬の使用、食事療法など、多角的なアプローチが求められます。​

薬物療法と並行して、生活習慣の改善も非常に重要です。​特に、塩分摂取の制限は高血圧の予防と管理に効果的であり、1日6g未満の塩分摂取が推奨されています。​また、適度な運動、禁煙、適正体重の維持なども、腎機能の維持と高血圧の予防に寄与します。

また、解熱消炎鎮痛薬や一部の漢方薬などが高血圧を引き起こす可能性があることが指摘されており、薬剤の使用にも注意が必要です。

6. まとめ

腎臓病も高血圧も、「気づいたとき」から対策を始めれば、進行を遅らせたり、予防することができます。そのためには、​定期的な健康チェックを受け、血圧や腎機能の状態を把握することが大切です。一人で抱え込まず、専門的なサポートを受けることが、健康長寿への第一歩になります。

当院では、腎臓病と高血圧の専門的な診療を提供しており、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立案しています。​