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健診の数値はどこから要注意?

健康診断の結果票を見て、数値の意味を知りたい方へ

健診の数値は、
どこからが要注意か

結果票には数字が並んでいますが、「この値がどのくらいの位置にあるのか」「どこから気をつければよいのか」までは、なかなか読み取れません。基準の範囲をわずかに外れただけで不安になる方もいれば、かなり高い値なのにそのままにされる方もいます。

このページでは、血圧・血糖・脂質・腎機能/尿たんぱく・肝機能・貧血の6項目について、基準値と、どこからが要注意かを、尾張旭市の総合内科専門医・腎臓専門医がご説明します。あわせて、生活のなかで見直せる点もまとめました。

このページで分かること

  • 6項目それぞれの基準値と、どこからが要注意の範囲か
  • その数値が、体の中の何を示しているのか
  • ご自身の数値が、4つの段階のどこに位置するのか
  • 生活のなかで見直せることと、生活だけでは変わりにくいこと

※「いつ受診すればよいか」「再検査で何をするのか」は、健康診断の二次検査・再検査は何をする?にまとめています。

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※健診結果(紙・アプリ)をお持ちいただくとスムーズです

健診の数値は、どう読むのか

健診の基準の範囲は、「ここまでは健康、ここからは病気」という境目ではありません。多くの方の測定値が集まる範囲と、その先に病気が起こりやすくなる範囲を、統計的に区切ったものです。そのため、範囲を少し外れた数値と、大きく外れた数値とでは、意味も、必要な対応も変わります。

境目は1本ではありません

同じ「基準外」でも、生活を見直せばよい範囲と、医療機関で確かめたほうがよい範囲があります。数値の程度によって段階が分かれます。

1回の数値では決まりません

血圧は緊張や寒さで、血糖や中性脂肪は食事で動きます。尿たんぱくは発熱や運動のあとに一時的に出ることがあります。数値は幅を持って見ます。

同じ数値でも意味が変わります

年齢や、すでにお持ちの病気によって、目標とする値は変わります。ほかの項目に印がついているかどうかでも、優先すべきことが変わります。

このページでは、数値の位置を分かりやすくするため、次の4つの段階に分けてご説明します。

※厚生労働省が定めているのは「保健指導判定値」と「受診勧奨判定値」の2つです。4段階の呼び方は、読みやすさのために当院で整理したもので、公的な区分ではありません。

基準範囲内 多くの方の測定値が集まる範囲です 次の健診まで、今の生活を続けます (数値の推移は見ておきます) 保健指導レベル 病気とは言えませんが、範囲を 外れています 生活を見直す段階です 受診勧奨レベル 一度、医療機関で確かめたほうが よい範囲です 時期は項目と数値で変わります 早期受診レベル 待たずに受診していただきたい 範囲です 当院で整理した区分です

以下でご紹介する数値は、厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の判定値と、当院での診療方針をもとにした目安です。学会が定める病気の診断基準とは目的が異なるため、必要な箇所では分けて記載しています。

このページは「数値の意味」に絞ってご説明します

項目別|数値の意味と、どこからが要注意か

健診でよく印がつく6項目について、基準値の目安、その数値が体の中で何を示しているのか、生活のなかで変えられること、そしてご自身の数値がどの段階に位置するのかの順にまとめました。数値の単位は結果票と同じ表記にしています。

血圧

血圧は、心臓が送り出した血液が血管の壁を押す強さです。一度決まったら動かない数値ではなく、測るたびに変わることが、ほかの項目との大きな違いです。

基準値の目安

※表は横にスクロールできます

健診での血圧の判定区分(単位:mmHg)
レベル 収縮期(上) 拡張期(下)
基準範囲内 130未満 かつ 85未満
保健指導レベル 130〜139 または 85〜89
受診勧奨レベル 140〜159 または 90〜99
早期受診レベル 160以上 または 100以上

※上と下のどちらか一方だけが当てはまる場合は、高いほうの区分で考えます。

この数値が示すこと

血圧が高い状態が続くと、血管の壁に負担がかかり続けます。自覚症状はほとんどありませんが、その間も脳・心臓・腎臓の血管は少しずつ影響を受けます。健診で1回高かっただけでは高血圧とは決まりませんが、くり返し高い値が出るかどうかが判断の中心になります。なお、高血圧の診断基準は、診察室で測った血圧が140/90 mmHg以上、ご家庭で測った血圧が135/85 mmHg以上です(高血圧管理・治療ガイドライン2025)。

生活で変えられること

  • 食塩は1日6g未満が目安です。汁物は1日1杯まで、麺類の汁は残します
  • 加工食品・練り物・漬物・干物・インスタント麺の頻度を減らします
  • しょうゆやソースは「かける」より、小皿に取って「つける」ようにします
  • だし、酢やレモンの酸味、こしょう・七味などで、味の物足りなさを補います
  • 体重が増えている方は、まず今の体重の3〜5%を、3〜6か月かけて減らすことを目標にします
  • 早歩き程度の運動を、1回10分からで構いません。合計で1日30分ほどを目安にします
  • お酒は、純アルコールで1日20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合が目安)までにとどめます
  • いびきを指摘される、日中に強い眠気があるといった場合は、受診時にお伝えください

※血圧はご家庭で測った値のほうが、体の状態をよく反映します。朝と晩の記録があれば、受診時にお持ちください。

この数値の位置づけ

  • 160/100 mmHg以上(どちらか一方でも)……早期受診レベルです。待たずに受診していただきたい範囲です
  • 140〜159/90〜99 mmHg……受診勧奨レベルです。生活習慣を見直したうえで、医療機関で確かめる必要があります
  • 130〜139/85〜89 mmHg……保健指導レベルです。生活習慣を見直し、ご家庭での測定を続けます

※脳や心臓の血管の病気、心房細動、慢性腎臓病、糖尿病がある方、また65歳以上・男性・喫煙・脂質異常症・BMI 25以上のうち3つ以上が重なる方は、140〜159/90〜99 mmHgであっても早期受診レベルとして扱います。

※血圧を下げる目標は、原則として年齢によらず、診察室で130/80 mmHg未満、ご家庭で125/75 mmHg未満とされています。ただし実際の目標は、お持ちの病気や体の状態を踏まえて、お一人ずつ相談して決めます。

→ 血圧の数値ごとの受診時期を見る

血糖・HbA1c

空腹時血糖は採血した時点の血糖、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を表します。この2つは動き方が違うため、両方を見て判断します。

基準値の目安

※表は横にスクロールできます

健診での血糖・HbA1cの判定区分
レベル 空腹時血糖(mg/dL) HbA1c(%)
基準範囲内 99以下 5.5以下
保健指導レベル 100〜109 5.6〜5.9
保健指導レベル
(精密検査をおすすめする範囲)
110〜125 6.0〜6.4
受診勧奨レベル 126以上 6.5以上

この数値が示すこと

空腹時血糖 100〜109 mg/dL は、正常域のなかでも「正常高値」と呼ばれ、将来の糖尿病リスクが高い範囲です。数値としては基準を少し外れた程度ですが、この段階から生活を見直す意味があります。

空腹時血糖 110〜125 mg/dL、またはHbA1c 6.0〜6.4% では糖尿病を否定できません。この数値だけでは正常型・境界型・糖尿病型を確定できないため、精密検査が強く推奨されます。「予備軍だから大丈夫」と判断できる範囲ではありません。

血糖が高い状態が続くと、細い血管から傷み始め、目・腎臓・神経に影響が出ることがあります。また、太い血管の動脈硬化も進みます。いずれも自覚症状が出るのは、かなり進んでからです。

生活で変えられること

  • 砂糖入りの飲料(清涼飲料、缶コーヒー、スポーツドリンク)をやめると、変化が出やすい項目です
  • 夜遅い時間の食事、寝る前の間食を減らします
  • ごはん・パン・麺の重ね食べ(丼物とうどんなど)を避けます
  • 野菜やたんぱく質から先に食べ、主食を後にします
  • 食後30分から1時間のあいだに、10〜15分ほど歩きます
  • 体重が増えている方は、今の体重の3〜5%の減量から始めます

この数値の位置づけ

  • 空腹時血糖 126 mg/dL以上、またはHbA1c 6.5%以上……受診勧奨レベルです。糖尿病型にあたる数値で、確定のための検査が必要です
  • 空腹時血糖 110〜125 mg/dL、またはHbA1c 6.0〜6.4%……精密検査が強くすすめられる範囲です。正常型・境界型・糖尿病型のどれなのかが、この数値だけでは決まりません
  • 空腹時血糖 100〜109 mg/dL、またはHbA1c 5.6〜5.9%……保健指導レベルです。生活習慣を見直します。血圧・脂質・体重にも印がついている場合は、あわせてご相談ください

※食後などに測る随時血糖は、健診の判定に用いる目安(100・126 mg/dL)と、糖尿病の診断に用いる値(200 mg/dL以上)が異なります。結果票の数値を見るときは、空腹時か随時かをご確認ください。

→ 血糖・HbA1cの数値ごとの受診時期を見る

脂質(LDL・HDL・中性脂肪・Non-HDL)

脂質は複数の数値がまとめて出るため、どこを見ればよいのか分かりにくい項目です。中心になるのはLDLコレステロールと中性脂肪で、HDLコレステロールとNon-HDLコレステロールがそれを補います。Non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値です。

基準値の目安

※表は横にスクロールできます

健診での脂質の判定区分(単位:mg/dL)
レベル LDL 中性脂肪
空腹時/随時
HDL Non-HDL
基準範囲内 120未満 150未満/175未満 40以上 150未満
保健指導レベル 120〜139 150〜299/175〜299 35〜39 150〜169
受診勧奨レベル 140〜179 300〜499 34以下 170〜209
早期受診レベル 180以上 500以上 210以上

※食後(随時)の採血で行う健診が増えています。中性脂肪は、空腹時では150 mg/dL、随時では175 mg/dL が判定の目安とされています(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版)。300 mg/dL・500 mg/dLの区切りは、空腹時・随時のどちらでも同じです。

※HDLコレステロールについては、日本動脈硬化学会が40 mg/dL未満を低HDLコレステロール血症としています。上の表は厚生労働省の判定値(保健指導判定値39 mg/dL以下、受診勧奨判定値34 mg/dL以下)にもとづく区分のため、40 mg/dL未満のすべてが同じ扱いになるわけではありません。

この数値が示すこと

LDLコレステロールは、140 mg/dL以上で高LDLコレステロール血症に該当します。180 mg/dL未満であれば心配がない、という意味ではありません。LDLコレステロールと動脈硬化の関わりは連続的で、同じ数値でも、年齢・血圧・血糖・喫煙・ご家族の病歴などによって、目標とする値が変わります。一次予防(これまでに心筋梗塞や狭心症などを起こしていない方)では、リスクの区分に応じて、160・140・120 mg/dL未満が目標とされています。

健診の結果が LDL 150 mg/dL だった場合 150 ほかに危険因子が少ない方 目標 160未満 目標の範囲には入りますが、140以上のため 高LDLコレステロール血症にあたります 高血圧・喫煙などが重なる方 目標 140未満 目標を超えています 糖尿病・慢性腎臓病などがある方 目標 120未満 目標を大きく超えています 帯の左端が100、右端が200 mg/dLです 一次予防の場合の目標値を示しています

※上の図は、一次予防の場合の目標値です。これまでに心筋梗塞や狭心症などを起こされた方(二次予防)については、下の注記をご覧ください。

生活で変えられること

  • 中性脂肪は生活の影響を受けやすい数値です。甘い飲料、お菓子、お酒、主食の重ね食べを減らすと動きやすくなります
  • あじ・いわし・さばなどの魚を、週に数回取り入れます
  • LDLコレステロールについては、脂身の多い肉、バター・生クリーム、洋菓子やスナック菓子を減らします
  • 野菜・海藻・きのこ・大豆製品など、食物繊維の多い食品を増やします
  • HDLコレステロールが低い場合は、運動習慣と禁煙が中心になります

※LDLコレステロールは、食事と運動だけでは下がりにくい方がいます。体質やご家族に共通する要因が関わっていることがあり、その場合は生活の改善だけで目標に届かないことがあります。数値が下がらないことを、ご自身の努力不足と考える必要はありません。

この数値の位置づけと、当院の考え方

  • LDLコレステロール 180 mg/dL以上、Non-HDLコレステロール 210 mg/dL以上、または中性脂肪 500 mg/dL以上……早期受診レベルです。LDLコレステロールが高い場合は、体質的にコレステロールが高くなる病気(家族性高コレステロール血症)や、甲状腺の機能低下などほかの原因を確認し、当院では原則としてお薬による治療を開始する方向でご相談します
  • LDLコレステロール 160〜179 mg/dL……受診勧奨レベルの上のほうにあたります。再検査と動脈硬化のリスク評価を行い、当院ではお薬による治療も積極的に検討します
  • LDLコレステロール 140〜159 mg/dL……受診勧奨レベルです。ほかの動脈硬化のリスクを確認したうえで、まず食事と運動の見直しから始めます
  • 中性脂肪 300〜499 mg/dL……受診勧奨レベルです。生活習慣の改善が中心になります
  • 中性脂肪 150(随時175)〜299 mg/dL……保健指導レベルです。生活習慣を改善し、ほかのリスクとあわせて評価します
  • LDLコレステロール 120〜139 mg/dL……保健指導レベルです。生活習慣を見直します
  • HDLコレステロール 34 mg/dL以下……受診勧奨レベルです。ほかの脂質の数値とあわせて確認します
  • HDLコレステロール 35〜39 mg/dL……保健指導レベルです。体を動かす習慣、必要に応じた減量、禁煙に取り組み、LDLコレステロール・中性脂肪・血圧・血糖・喫煙などとあわせて評価します

※中性脂肪 500 mg/dL以上では、急性膵炎のリスクにも注意が必要です。LDLコレステロールの高値が心筋梗塞や狭心症に関わるのに対し、中性脂肪の著しい高値は別の観点から早めの対応が必要になります。

※Non-HDLコレステロールは、LDLコレステロールの各値に30を加えた値で考えます。170〜189 mg/dLはLDL 140〜159に、190〜209 mg/dLはLDL 160〜179に準じて扱います。なお190 mg/dLという区切りは公的な判定区分ではなく、当院の運用上の目安です。LDLコレステロールとNon-HDLコレステロールの両方に印がついている場合は、まずLDLコレステロールへの対応を優先し、中性脂肪もあわせて評価します。

※心筋梗塞・狭心症、動脈硬化を基盤とする脳梗塞などをこれまでに起こされた方は、再発を防ぐため、生活習慣の改善とともにお薬による治療を行うのが基本です。

※糖尿病・慢性腎臓病・足の血管の病気(末梢動脈疾患)がある方は、動脈硬化が進みやすく、LDLコレステロールの目標とする値も低く設定されます。目標を超えている場合は、180 mg/dL未満でもお薬による治療を積極的に検討します。LDL 120〜139 mg/dLの範囲であっても、これらの病気や高血圧・喫煙がある方は、目標を超えている可能性がありますので、一度ご相談ください。

→ LDL・中性脂肪の数値ごとの受診時期を見る

腎機能(eGFR)・尿たんぱく

eGFRは、血液中のクレアチニンと年齢・性別から計算した、腎臓のろ過のはたらきの推定値です。尿たんぱくは、腎臓のフィルターからたんぱくが漏れていないかを見ています。この2つは組み合わせて判断するため、どちらか一方だけを見ても意味が決まりません。

基準値の目安

※表は横にスクロールできます

eGFRと尿たんぱくの組み合わせでみた対応の目安
eGFR \ 尿たんぱく (−) (±) (1+)以上
60以上 継続して健診を受けます 生活習慣を見直します すぐに受診してください
45〜59 生活習慣を見直します 生活習慣を見直します すぐに受診してください
45未満 すぐに受診してください すぐに受診してください すぐに受診してください

※40歳未満の方は、尿たんぱくの有無にかかわらず受診をおすすめします。また、高血圧・糖尿病・脂質異常症などをお持ちの方は、eGFRが45以上であっても、また尿たんぱくが(±)であっても、受診をおすすめします。

この数値が示すこと

eGFR 45〜59は、腎機能が軽度に低下している可能性のある範囲です。40歳以上で尿たんぱくがなく、糖尿病・高血圧などもない場合は、一律にすぐ受診が必要な区分ではありませんが、放置せず、過去の結果との比較と定期的な再評価が必要です。eGFR 60未満が続く場合、以前より低下している場合、尿たんぱく・血尿を伴う場合は、医療機関で確認してください。

尿たんぱくは、発熱や激しい運動、長時間の立ち仕事のあとなどに、一時的に出ることがあります。一方で、腎臓の障害を早い段階で知らせるサインでもあります。1回の結果だけでは区別できないため、くり返し出るかどうかが大切になります。

慢性腎臓病(CKD)は、eGFRが60未満、または尿たんぱくなどの腎臓の障害を示す所見が3か月以上続いている場合に該当します。ただし、短い期間で急に悪化した場合や、尿たんぱく・血尿が強く出ている場合は、3か月を待たずに調べる必要があります。

生活で変えられること

  • 食塩は1日6g未満が目安です。腎臓を守るうえで、最も取り組む価値のある項目です
  • 血圧と血糖を整えることが、そのまま腎臓の負担を減らすことにつながります
  • 市販の痛み止めを、長期間くり返し使う習慣は避けます。必要な場合は医師にご相談ください
  • 脱水を避けます。発熱・下痢・炎天下の作業などでは、こまめな水分補給を心がけます
  • 禁煙は、腎機能の低下を緩やかにするうえでも意味があります

※たんぱく質やカリウムの制限は、腎機能の程度によって必要性が大きく異なります。自己判断で極端に減らさないでください。必要な場合は、検査結果を確認したうえでご説明します。

この数値の位置づけ

  • 尿たんぱく(1+)以上、または eGFR 45未満……受診勧奨レベルです。腎臓の障害がすでに現れている可能性がある範囲です
  • eGFR 45〜59……腎機能が軽度に低下している可能性のある範囲です。40歳未満の方、糖尿病・高血圧・脂質異常症などがある方は、確認が必要です
  • 尿たんぱく(±)……判定としては境界の範囲です。高血圧・糖尿病・脂質異常症などがある方、以前の結果と比べて変化がある方は、確認が必要です

腎臓の再検査で実際に何を調べるのか、eGFRや尿たんぱくをどのように評価するのかについては、 腎臓の再検査・精密検査では何を調べるのかで詳しくご説明しています。慢性腎臓病そのものについては 慢性腎臓病(CKD)とはをご覧ください。

→ eGFR・尿たんぱくの数値ごとの受診時期を見る

肝機能(AST・ALT・γ-GT)

AST・ALTは肝臓の細胞に含まれる酵素で、肝臓に負担がかかると血液中に漏れ出て数値が上がります。γ-GT(γ-GTP)はお酒の影響を受けやすい一方、それ以外の原因でも上がります。数値そのものより、なぜ上がっているのかを確かめることが大切な項目です。

基準値の目安(厚生労働省の判定区分)

※表は横にスクロールできます

健診での肝機能の判定区分(単位:U/L)
レベル AST ALT γ-GT
基準範囲内 30以下 30以下 50以下
保健指導レベル 31〜50 31〜50 51〜100
受診勧奨レベル 51以上 51以上 101以上

※γ-GTは、結果票では「γ-GTP」と表記されていることもあります。同じ検査です。

この数値が示すこと

肝臓の数値が上がる背景には、脂肪肝、飲酒、肝炎ウイルス、服用中のお薬、自己免疫の関わる病気など、さまざまなものがあります。数値の高さだけで原因を決めることはできません。

ALTの上昇(特にALTがASTより高い場合)は、脂肪肝を含む肝臓の変化を考えるきっかけになります。脂肪肝かどうかは腹部エコーなどの画像検査で確認し、体重・血糖・血圧・脂質などの状態、飲酒量、他の肝臓の病気の有無をあわせて評価します。

また、日本肝臓学会は「奈良宣言2023」として、ALTが30 U/Lを超える場合には、かかりつけ医を受診して原因を確認することを勧めています。これは厚生労働省の判定区分とは目的の異なる考え方で、上の表の「保健指導レベル」にあたる範囲でも、原因を確かめる意味があるという趣旨です。

生活で変えられること

  • お酒は、純アルコールで1日20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合が目安)までにとどめ、飲まない日を週に2日つくります
  • 体重が増えている方は、今の体重の3〜5%を、3〜6か月かけて減らすことを目標にします
  • 甘い飲料、果糖の多い飲み物・お菓子を減らします
  • 市販薬やサプリメントを含め、飲んでいるものを受診時にお伝えください

この数値の位置づけ

※表は横にスクロールできます

肝機能の数値の位置づけと、その根拠
数値 位置づけと、その根拠
ALT 31〜50 U/L 厚生労働省の区分では保健指導レベルですが、原因を確認すべき範囲とされています(日本肝臓学会「奈良宣言2023」)
AST・ALT 51 U/L以上、またはγ-GT 101 U/L以上 受診勧奨レベルです(厚生労働省の受診勧奨判定値)
AST 31〜50 U/L(ALTは30 U/L以下)、またはγ-GT 51〜100 U/L 保健指導レベルです。生活習慣・飲酒・服用中のお薬などを見直します

※ALT 31〜50 U/Lは、厚生労働省の区分では「保健指導レベル」にあたりますが、奈良宣言2023では「かかりつけ医を受診して原因を確認する」範囲とされています。目的の異なる2つの基準が併存しているもので、矛盾ではありません。当院では、原因を確かめる意義を重く見て、一度受診していただく方針としています。

→ AST・ALT・γ-GTの数値ごとの受診時期を見る

貧血(ヘモグロビン)

ヘモグロビンは、赤血球のなかで酸素を運ぶたんぱくです。貧血は、それ自体が病名というより「何かが起きている結果」です。ほかの項目と違い、生活習慣の見直しで解決する項目ではありません。

基準値の目安

※表は横にスクロールできます

健診でのヘモグロビンの判定区分(単位:g/dL)
レベル 男性 女性
基準範囲内 13.0を超える 12.0を超える
保健指導レベル 12.0を超え13.0以下 11.0を超え12.0以下
受診勧奨レベル 12.0以下 11.0以下

この数値が示すこと

貧血の背景には、鉄が足りていない、月経による失血が多い、消化管のどこかから少しずつ出血している、腎臓のはたらきの低下が関わっている(腎性貧血)など、さまざまな原因があります。原因によって必要な対応がまったく異なるため、数値を下げている原因を確かめることが中心になります。

特に、男性の方と閉経後の女性で貧血がある場合、鉄不足だけで説明がつかないことがあります。また、以前の健診と比べて急に下がっている場合は、数値そのものが基準内であっても確認する意味があります。健診の結果票は、過去のものと並べて見るとよく分かります。

生活で変えられること

鉄を多く含む食品(赤身の肉・魚、大豆製品、青菜など)を取り入れることは役に立ちますが、食事の工夫だけで様子を見てよい項目ではありません。市販の鉄のサプリメントで数値だけが持ち直すと、背景にある出血などの発見が遅れることがあります。まずは原因を確かめてください。

この数値の位置づけ

  • 男性で12.0 g/dL以下、女性で11.0 g/dL以下……受診勧奨レベルです。数値を下げている原因を確かめる必要があります
  • 男性で12.0 g/dLを超え13.0 g/dL以下、女性で11.0 g/dLを超え12.0 g/dL以下……保健指導レベルです。ただし低い値が続く場合は、原因を確認します

※男性の方、閉経後の女性、以前より急に下がった方、息切れや動悸などの症状がある方は、上の表で保健指導レベルにあたる範囲であっても、一度ご相談ください。

→ ヘモグロビンの数値ごとの受診時期を見る

ご自身の数値がどの段階にあるかが分かったら、次はいつ受診するかです。数値ごとの受診時期は 受診時期の一覧表に、 再検査で実際に行う検査の中身は 健康診断の二次検査・再検査は何をする?にまとめています。

複数の項目に印がついたとき

健診で印がつくのは、1項目だけとは限りません。血圧・血糖・脂質・腹囲などは、同じ背景から一緒に動くことが多いためです。このとき、1つひとつの数値の意味も変わります。

目標とする値が下がります

糖尿病や慢性腎臓病がある方では、LDLコレステロールや血圧の目標が低く設定されます。同じ数値でも「範囲内」から「超えている」に変わることがあります。

当てはまる段階が変わります

血圧140〜159/90〜99 mmHgは通常「受診勧奨レベル」ですが、危険因子が重なる方では「早期受診レベル」として扱います。数値は同じでも判断が変わります。

別々に対処すると遠回りになります

減塩・減量・運動・禁煙は、複数の項目に同時に効きます。項目ごとに別々の対策を立てるより、共通する部分から始めるほうが続きます。

どれから手をつければよいか分からないとき

まず、上の各項目で「早期受診レベル」「受診勧奨レベル」に当てはまる数値がないかをご確認ください。当てはまるものがあれば、そこが最優先です。
当てはまるものがなく、複数の項目が保健指導レベルにとどまっている場合は、減塩・体重・運動・飲酒・禁煙といった共通の部分から始めていただくのがよいと考えています。迷われたときは、結果票をお持ちのうえご相談ください。

→ どの数値をいつまでに受診すればよいかの一覧表を見る

生活で見直せること

項目ごとの対策は前の章にまとめましたが、実際に取り組むときは、いくつもの項目に同時に効く「共通の土台」から始めるほうが続きます。ここでは、その土台になる5つを整理します。

減塩(1日6g未満)

血圧と腎臓の両方に効きます。汁物を1日1杯までにする、麺類の汁を残す、加工食品や漬物の頻度を減らす、調味料は小皿につける。この4つで、多くの方は1日2〜3gほど減らせます。だしや酸味、香辛料を使うと、薄味でも物足りなさが残りにくくなります。

体重

目安は、今の体重の3〜5%を3〜6か月かけて減らすことです。70kgの方なら2〜3.5kgにあたります。血糖・中性脂肪・血圧・肝臓の数値が同時に動きやすい範囲です。短期間で大きく落とす必要はなく、戻りにくい減り方のほうが結果的に有利です。

運動

少し息が弾む程度の早歩きを、合計で1日30分ほどが目安です。1回10分を3回に分けても構いません。食後30分から1時間のあいだに歩くと、血糖には特に効きます。心臓や膝に不安のある方、これまで運動習慣のなかった方は、始める前にご相談ください。

お酒

純アルコールで1日20g程度が上限の目安です。ビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎0.5合、ワイングラス2杯弱にあたります。飲まない日を週に2日つくると、γ-GTと中性脂肪は動きやすくなります。血圧にも影響します。

たばこ

喫煙は、HDLコレステロールを下げ、動脈硬化を進め、腎機能の低下を早めます。ほかの数値をどれだけ整えても、喫煙が続いていると効果が相殺されやすくなります。やめたい気持ちがあるものの続かないという場合も、一度ご相談ください。

ただし、すべての項目が生活の見直しで動くわけではありません。生活で動きやすい項目と、原因を確かめることが中心になる項目を分けて考えると、無駄な遠回りを避けられます。

生活の見直しで動きやすい項目 血圧 中性脂肪 空腹時血糖・HbA1c γ-GT・ALT(飲酒や体重が背景の場合) 体重・腹囲 原因を確かめることが中心の項目 貧血(ヘモグロビン) 腎機能(eGFR)・尿たんぱく LDLコレステロールが著しく高い場合 以前より急に大きく動いた数値

下の枠に入る項目は、生活の見直しが無意味という意味ではありません。ただ、生活の改善だけで様子を見ていると、背景にある原因の発見が遅れることがあります。LDLコレステロールが体質的に高い方、貧血の背景に出血がある方、腎機能が下がり続けている方では、原因に応じた対応が必要になります。

当院での対応について

結果票の数値を、一緒に確認します

印がついた項目だけでなく、過去の結果と並べて、どの数値がどちらに動いているかを見ます。数値の位置が分かると、何を優先すればよいかがはっきりします。

生活の見直しは、続けられる形で

お仕事や食事の状況をうかがったうえで、実行できそうなものから提案します。すべてを一度に変える必要はありません。

総合内科専門医・腎臓専門医が診察します

尾張旭市・瀬戸市エリアで、生活習慣病と腎臓の両方をあわせて診ています。腎臓の項目に印がついた方のご相談にも対応しています。

このような方はご相談ください

  • 結果票に印はついたものの、数値の意味が分からない
  • 複数の項目に印がついていて、どれから気をつければよいか判断できない
  • 去年より数値が悪くなっているが、受診が必要な程度なのか分からない
  • 生活を見直しているのに、数値が下がらない
  • 健診で腎臓の項目(eGFR・尿たんぱく・尿潜血)に印がついた

腎臓の診療内容については腎臓内科の診療について、はじめて受診される方は受診のご案内をご覧ください。

よくあるご質問

Q. 基準値を1つでも外れたら「異常」ということですか?

基準の範囲は、「ここまでは健康、ここからは病気」という境目ではありません。範囲をわずかに外れた「保健指導レベル」と、医療機関で確かめたほうがよい「受診勧奨レベル」とでは、意味も必要な対応も異なります。結果票の判定記号だけでなく、実際の数値がどのくらいの位置にあるかをご確認ください。一方で、基準の範囲に入っていても、以前より大きく動いている数値は確認する意味があります。

Q. 食後に測った血圧が140を超えていました。高血圧でしょうか?

1回の測定では決まりません。血圧は、寒さ、緊張、痛み、直前の運動や入浴、排尿を我慢している状態などで上がります。食後については、上がる方もいれば、一時的に下がる方もいて、一律ではありません。判断は、落ち着いた状態でくり返し測った値、特にご家庭で朝と晩に測った値で行います。健診で140〜159/90〜99 mmHgだった場合は受診勧奨レベル、160/100 mmHg以上の場合は早期受診レベルにあたります。受診の時期については受診時期の一覧表をご覧ください。

Q. 甘いものを食べると、尿にたんぱくが出ますか?

甘いものが、そのまま尿たんぱくを増やすわけではありません。食事の影響を受けやすいのは尿糖のほうで、血糖が高くなると尿に糖が出ることがあります。尿たんぱくが一時的に出やすいのは、発熱、激しい運動、長時間の立ち仕事、脱水などのあとです。ただし「食後だから」「甘いものを食べたから」と決めてしまうと、確認が遅れることがあります。大切なのは、くり返し出るかどうかです。

Q. 尿検査で、コレステロールや中性脂肪は分かりますか?

分かりません。LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪・Non-HDLコレステロールは、いずれも血液検査で調べる項目です。健診の尿検査で見ているのは、主に尿たんぱく・尿糖・尿潜血です。ただし、脂質と尿検査がまったく無関係というわけではありません。次のご質問もあわせてご覧ください。

Q. 尿が泡立つのは、脂が出ているからですか?

尿に脂が出ているわけではありません。勢いよく出たときや、便器の水面の状態によって泡立つことは、どなたにもあります。ただし、尿にたんぱくが混じると、泡が細かく、消えにくくなることがあります。泡立ちが続いていて、健診で尿たんぱくにも印がついている場合は、確認する意味があります。泡立ちだけでは判断できないため、尿検査の結果とあわせてご覧ください。詳しくは腎臓の再検査・精密検査では何を調べるのかでご説明しています。

Q. コレステロールと腎臓は関係がありますか?

関係があります。向きの異なる3つのつながりがあります。第一に、脂質の異常は動脈硬化を通じて腎機能の低下に関わります。第二に、慢性腎臓病がある方は動脈硬化が進みやすいため、LDLコレステロールの目標とする値が低く設定されます。第三に、尿たんぱくが非常に多く出る状態では、コレステロールが高くなることがあります。健診で脂質と尿たんぱくの両方に印がついている場合は、別々ではなく、まとめて確認する意味があります。

Q. 複数の項目に印がつきました。どれから気をつければよいですか?

まず、このページの各項目で「早期受診レベル」「受診勧奨レベル」に当てはまる数値がないかをご確認ください。当てはまるものがあれば、そこが最優先です。当てはまるものがなく、複数の項目が保健指導レベルにとどまっている場合は、減塩・体重・運動・お酒・たばこという共通の土台から始めていただくのがよいと考えています。迷われたときは、結果票をお持ちのうえご相談ください。

数値の意味が分からないときは、ご相談ください

どのくらいの位置にある数値なのか、何から始めればよいのかも含めてご説明します。
尾張旭市・瀬戸市で健診後のご相談ができる内科・腎臓内科です。

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免責事項
本ページは一般的な医療情報の提供を目的としたもので、特定の症状・疾患について診断や治療を行うものではありません。基準値の意味や受診の時期は、年齢・症状・既往歴・お持ちの病気によって異なります。掲載している数値は、厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の判定値と、当院での診療方針をもとにした目安です。実際の診断・治療については、必ず医療機関で医師にご相談ください。
参考:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」/日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」/日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」「糖尿病治療ガイド2024」/日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」/日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」「CKD診療ガイド2024」/日本消化器病学会・日本肝臓学会「MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)」/日本肝臓学会「奈良宣言2023」