健診で「血圧が高め」と言われた。薬を勧められたが、飲むべきか迷っている。
すでに飲んでいるけれど、この薬が何なのかよく分からないまま続けている——。
この記事では、血圧の薬(降圧薬・降圧剤)の種類・選ばれ方・副作用・やめどきまでを、2025年8月に改訂された日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」に沿って解説します。腎臓を専門とする立場から、採血でしか分からない変化や、蛋白尿があるかどうかで治療が変わる点にも踏み込みます。
📌 先に結論から
血圧の薬は、数字を下げるためではなく腎臓・心臓・脳を守るために飲みます。中心となるのはCa拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・少量の利尿薬・β遮断薬の5系統で、どれが優れているかではなく、合併症と体質で選び分けます。目指す数字は診察室で130/80mmHg未満、家庭で125/75mmHg未満です。
第1章 なぜ血圧の薬を飲むのか
高血圧は日本で約4,300万人、国民のおよそ3人に1人が該当すると推定され、成人のもっとも多い持病です。ところが、ほとんどの方に自覚症状がありません。
頭痛も動悸もだるさもない。だからこそ「少し高いくらいなら大丈夫」と思えてしまいます。高血圧が“サイレントキラー”と呼ばれるのは、症状がないまま血管が傷んでいくからです。
薬の目的は「下げる」ことではありません
血圧が高い状態が続くと、全身の血管に圧がかかり続け、硬く厚くなっていきます。この変化が起きる場所によって、現れ方が変わります。
| 臓器 | 高血圧が続くと | 薬で守れること |
|---|---|---|
| 腎臓 | ろ過を担う糸球体に圧がかかり、蛋白尿が出て機能が落ちていく | 糸球体の圧を下げ、蛋白尿と腎機能低下を抑える |
| 心臓 | 高い圧に逆らって働き続け、心臓の壁が厚くなる | 心肥大・心不全・狭心症を防ぐ |
| 脳 | 血管が詰まる、あるいは破れる | 脳梗塞・脳出血、認知機能低下を防ぐ |
つまり血圧の薬は、血圧計の数字を動かすための薬ではなく、この3つの臓器を守るための薬です。数字は、守れているかどうかを確認するための目印にすぎません。
高血圧の原因や、放置した場合に何が起こるかについては、高血圧とは ― 原因・放置するリスク・治療の進め方で詳しく解説しています。
腎臓は、この中でもとりわけ静かに悪くなる臓器です。CKD(慢性腎臓病)はかなり進行するまで自覚症状が乏しく、血液検査や尿検査をしなければ気づけないことが少なくありません。むくみやだるさが出てきたときには、かなり進んでいることが多いのです。だからこそ、血圧を通じて先回りする意味があります。
「飲むほどではない」と感じる方へ
症状のない病気に毎日薬を飲むことへの抵抗は、当然のものだと思います。実際、治療を受けているのに目標に届いていない方が非常に多いことが日本の課題とされ、JSH2025ではガイドラインの名前自体が「高血圧治療ガイドライン」から「高血圧管理・治療ガイドライン」へ変わりました。病院での治療だけでなく、日々の測定と生活の整え方まで含めて「管理」していこう、という考え方の表れです。
ですので、この記事の目的は「薬を飲みましょう」と勧めることではありません。なぜその薬が選ばれ、どんな副作用があり、どうなればやめられるのか。それを知ったうえで、納得して続けられる形を一緒に探すための材料です。薬をやめたいと感じている方は、第5章で正面からお答えしています。
では、その薬にはどんな種類があるのでしょうか。次の章で、お薬手帳を見ながら自分の薬を探せる形にまとめます。
第2章 まず知っておきたい主要な血圧の薬5系統
日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・少量のサイアザイド系利尿薬・β遮断薬の5種類を「主要降圧薬(G1)」に位置づけています。
いずれも単独で脳卒中や心筋梗塞を減らす効果が示されている薬で、多くの方はこの中から治療を始めます。
自分の薬はどのタイプ?
お薬手帳を見ながら確認してみてください。下記は代表例で、これ以外にも多くの薬があります。
| 薬のタイプ | 一般名の例 |
|---|---|
| Ca拮抗薬 | アムロジピン |
| Ca拮抗薬 | ニフェジピン |
| ARB | テルミサルタン |
| ARB | カンデサルタン |
| ARB | アジルサルタン |
| ACE阻害薬 | エナラプリル |
| ACE阻害薬 | イミダプリル |
| 利尿薬 | トリクロルメチアジド |
| β遮断薬 | ビソプロロール |
| β遮断薬 | カルベジロール |
📘 複数の成分が1錠に入った「配合剤」もあります。
「ARB+Ca拮抗薬」「ARB+利尿薬」などの組み合わせで、錠数を増やさずに2種類分の効果が得られます。詳しくは第3章で説明します。
🔹 Ca拮抗薬 ― 血管をゆるめて広げる
血管の筋肉にカルシウムが入るのを抑え、血管をゆるめて広げます。日本でもっとも多く使われている降圧薬で、降圧効果が安定していて、腎機能が低下していても使いやすいのが特徴です。
- よく選ばれる場面:高齢の方、動脈硬化が進んだタイプの高血圧、狭心症を合併している方
- 主な副作用:足のむくみ、顔のほてり、動悸、歯ぐきが厚く腫れる(歯肉増殖)
📘 同じCa拮抗薬でも種類があります
高血圧で広く使われるアムロジピンなどは「ジヒドロピリジン系」と呼ばれるタイプです。一方、ジルチアゼムという別のタイプもあり、こちらは脈を整えたり狭心症を抑えたりする目的で使われます。JSH2025では、ジルチアゼムは主要降圧薬(G1)には含まれていません。
🔹 ARB ― 血管を締めるホルモンをブロックする
血圧を上げるホルモン(アンジオテンシンⅡ)の働きを受け手のところでブロックします。血圧を下げるだけでなく、腎臓の糸球体にかかる圧を下げて蛋白尿を減らす働きがあり、当院がもっとも重視している薬のひとつです。
- よく選ばれる場面:蛋白尿・アルブミン尿を伴う慢性腎臓病(CKD)の方、心不全など、RAS阻害薬を積極的に使う理由がある方
- 主な副作用:血液中のカリウムの上昇、めまい・ふらつき
飲み始めや量を増やしたあとに、採血でクレアチニンの値が少し動くことがあります。ある程度の変化は薬の作用に伴って起こり得るもので、それだけで中止する必要はありません。大きく変わっていないかを確認するため、開始後2〜4週での採血をお願いしています。
📘 体調が悪いときの注意
嘔吐・下痢・発熱などで水分がとれず脱水が疑われる場合には、一時的な休薬が必要になることがあります。あらかじめ医師から指示を受けている場合はその指示に従い、判断に迷う場合は医療機関へご相談ください。再開の時期も必ず医師と決めてください。
⚠️ 妊娠中・妊娠の可能性がある方は使えません。妊娠を考えている方は、早めにご相談ください。使える薬に変更できます。
🔹 ACE阻害薬 ― 同じ仕組みを一段手前で抑える
ARBと同じレニン・アンジオテンシン系に働きますが、ホルモンが作られる一段手前を抑えます。心不全や糖尿病性腎症での使用経験が長く蓄積された薬です。
- よく選ばれる場面:心不全のある方、心筋梗塞のあとの方、蛋白尿を伴うCKDの方
- 主な副作用:から咳、カリウムの上昇。まれに顔や舌が腫れる血管性浮腫
から咳は風邪と間違われやすく、夜間や横になったときに出やすいのが特徴です。危険なサインではありませんが、続く場合はARBへの変更を検討します。
⚠️ ARBと同じく妊娠中・妊娠の可能性がある方は使えません。
🔹 サイアザイド系利尿薬 ― 塩分と水分を穏やかに出す
「利尿薬」と聞くと尿をたくさん出す強い薬を想像される方もいますが、高血圧では少量のサイアザイド系・サイアザイド類似利尿薬を使います。トリクロルメチアジドやインダパミドなどが代表例です。余分な塩分と水分を穏やかに排出し、体内の血液量を減らします。
日本人は食塩の影響を受けやすい体質の方が多く、他の薬で下がりきらないときに加えると効果が出やすい薬です。JSH2025では、3剤を併用する段階では原則としてこの利尿薬を含めることとされています。
- よく選ばれる場面:塩分の影響を受けやすい方、むくみを伴う方、複数の薬でも下がりにくい方
- 主な副作用:血液中のカリウムの低下、尿酸値の上昇、血糖値への影響、脱水
🔹 β遮断薬 ― 心臓の働きすぎを抑える
心臓のβ受容体をブロックし、脈拍と心臓の収縮力を抑えます。JSH2025で主要降圧薬に復帰した薬です。前回のガイドライン(JSH2019)では第一選択から外れていましたが、懸念されていた影響が一部の薬剤に限られること、ビソプロロールやカルベジロールでは有用性と安全性が確立していることから、位置づけが見直されました。
- よく選ばれる場面:脈が速い方、狭心症のある方、心筋梗塞のあとの方、心不全のある方、大動脈の病気がある方
- 主な副作用:脈が遅くなる、手足の冷え、だるさ
「若い人の薬」と説明されることがありますが、正確ではありません。年齢ではなく、心臓の状態によって選ばれる薬です。喘息のある方では使えない種類があるため、必ずお申し出ください。
⚠️ この薬は自己判断で急にやめないでください。理由と減らし方は第5章で説明します。
病態に応じて追加される薬(G2)
主要降圧薬で目標に届かないときや、心臓・腎臓の状態によっては、次の薬が加わることがあります。
ARNI(サクビトリルバルサルタン)
ARBの働きに加えて、心臓から出るホルモンの分解を抑えることで血圧を下げます。高血圧症にも使える薬ですが、血圧が下がりすぎるおそれがあるため、最初に使う薬とはしないことになっています。他の薬で十分に下がらないときの選択肢とお考えください。
MR拮抗薬(エサキセレノン、エプレレノン、スピロノラクトンなど)
塩分をため込むホルモン(アルドステロン)の働きを抑えます。3種類の薬を使っても下がらない「治療抵抗性高血圧」で、追加薬として特に有用とされています。カリウムが上がりやすいため、採血で確認しながら使います。
📘 同じMR拮抗薬でも、フィネレノンは高血圧の治療薬として使う薬ではありません。糖尿病を伴う慢性腎臓病で、腎臓や心臓を守る目的で用いられます。
特殊な場合に使う薬(G3)
JSH2025では、α遮断薬・ヒドララジン・中枢性交感神経抑制薬などをG3に分類しています。治療抵抗性高血圧や、妊娠中など特殊な状況で検討される薬で、すべての方が使う薬ではありません。
では、この中からどうやって「自分の薬」が選ばれたのでしょうか。次の章で説明します。
第3章 なぜ自分にはこの薬が選ばれたのか
「同じ高血圧なのに、家族と違う薬が出ている」——よくあるご質問です。
血圧の薬は数字の高さだけで決まりません。心臓・腎臓・脳の状態、年齢、体質を合わせて選びます。この章では、その決め方をそのまま公開します。
治療は「STEP」で進めます
JSH2025では、薬の進め方が3つのSTEPとして明確に示されました。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | 主要降圧薬(G1)から1種類を選んで開始 |
| STEP 2 | G1を2種類に。病態に応じてG2を加えることも |
| STEP 3 | 3種類の併用。原則としてサイアザイド系利尿薬を含める |
| それでも未達 | 専門医への紹介を検討 |
ここで大切なのは、「様子を見る期間を長くとらない」という考え方です。JSH2025では、リスクが低〜中等度で血圧の程度が軽い場合でも、生活習慣を改善しながら1か月以内に再評価し、十分に下がらなければ薬物療法を開始します。リスクの高い方や血圧がより高い方では、さらに早い段階から薬物療法を検討します。STEP1から2、2から3へも、目標に届かなければできるだけ早期に進めます。血圧が高い状態を長く続けること自体が、血管を傷つけるからです。
📘 最初から2種類で始めることもあります
血圧が160/100mmHg以上の方や、リスクの高い方では、初めから2剤の併用で開始してよいとされています。「いきなり2つも」と驚かれることがありますが、遠回りをしないための選択です。
合併症があれば、それが薬を決めます
心臓や腎臓に守るべき理由があるときは、その病気に有利な薬が優先されます。これを「積極的適応」と呼びます。JSH2025では、次のように整理されています。
| あなたの状況 | 積極的に選ばれる薬 |
|---|---|
| 脳血管障害 | 長時間作用型DHP系Ca拮抗薬、ARB・ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬 |
| 左室肥大 | Ca拮抗薬、ARB・ACE阻害薬 |
| 狭心症 | Ca拮抗薬、β遮断薬 |
| 心筋梗塞のあと | ARB・ACE阻害薬、β遮断薬 |
| 心不全(左室駆出率の低下したもの) | ARB・ACE阻害薬、β遮断薬 |
| 蛋白尿・微量アルブミン尿を伴うCKD | ARB・ACE阻害薬 |
| 体液貯留 | サイアザイド系利尿薬 |
| 大動脈解離・胸部大動脈瘤 | β遮断薬 |
📘 「特に合併症がない場合、どれが一番いいのか」というご質問をよくいただきます。この表に当てはまるものがなければ、主要降圧薬(G1)から選びます。グループはG1aとG1bに分かれていますが、この中に優先順位はありません。塩分の影響を受けやすい方には少量のサイアザイド系利尿薬から始めるなど、その方の病態に合わせて選びます。
腎臓では「蛋白尿があるかどうか」が分かれ目になります
上の表で、CKDに「蛋白尿・微量アルブミン尿を伴う」という条件がついていることにお気づきでしょうか。蛋白尿の出ていないCKDは、この表に入っていません。ここは近年の考え方が大きく変わった部分です。
以前は「腎臓が悪い方にはARBやACE阻害薬」「糖尿病があればARBやACE阻害薬」と、病名で決める考え方が主流でした。しかし現在は、糖尿病があるかどうかではなく、蛋白尿が出ているかどうかを参考に判断します。蛋白尿を伴うCKDではARB・ACE阻害薬が腎臓を守る効果が確かめられている一方、蛋白尿のないCKDでは、これらの薬が他の薬より優れているという十分な根拠がないためです。JSH2025でも、糖尿病があって蛋白尿がない場合には、RAS阻害薬を優先するという原則がなくなりました。
もうひとつ、CKDの方には降圧目標にも注意点があります。JSH2025では、CKDの方も原則として130/80mmHg未満を目標とします。ただし、糖尿病を合併せず、蛋白尿もみられないCKDの方では、必要に応じて140/90mmHg未満を中間目標とするなど、腎機能や症状を確認しながら慎重に130/80mmHg未満まで下げていくことが示されています。日本腎臓学会も2026年6月に同様の考え方を示すステートメントを発表しています。
👉 ACE阻害薬・ARBと腎臓の関係について詳しく
👉 慢性腎臓病(CKD)と高血圧について詳しく
年齢によって目標が変わるわけではありません
「高齢だから血圧は高めでいい」と聞いたことがあるかもしれません。以前は75歳以上の目標が緩やかに設定されていましたが、JSH2025では年齢にかかわらず原則130/80mmHg未満(家庭血圧125/75mmHg未満)に統一されました。ただし全員を同じように下げるという意味ではなく、ふらつき・転倒・食欲低下といった負担が出る方では、安全に続けられる範囲で目標を設定します。年齢ではなく、その方の状態で決める——これが今の考え方です。
薬が2つになるのは、悪くなったからではありません
「薬が増えた=病気が進んだ」と受け取る方がとても多いのですが、多くの場合は違います。
1種類の薬を限界まで増やすより、作用の異なる薬を少量ずつ組み合わせるほうが、効果が高く副作用も出にくいことが分かっています。たとえばCa拮抗薬やRAS阻害薬だけを使っていると、体に塩分と水分がたまりやすくなることがあります。そこへ少量の利尿薬を加えると、この弱点を補い合って血圧が下がります。2剤目は「敗北」ではなく、設計です。
📘 錠数を増やさずに済む「配合剤」
「ARB+Ca拮抗薬」「ARB+利尿薬」など、2〜3種類の成分が1錠にまとまった薬があります。たとえば、テルミサルタン+アムロジピンは「ARB+Ca拮抗薬」、テルミサルタン+ヒドロクロロチアジドは「ARB+利尿薬」の組み合わせです。飲む錠数が変わらないため飲み忘れが減り、薬代が安くなることもあります。すでに配合剤を飲んでいる方は、実は2種類の薬を飲んでいることになります。お薬手帳で確認してみてください。
選ばれ方が分かったところで、次は多くの方が最も気にされる「副作用」です。症状から逆に引ける形でまとめます。
第4章 症状からわかる副作用・注意点
「この症状、薬のせいだろうか」——そう思ったときに引ける章にしました。
血圧の薬の副作用は、多くが種類や量の調整で対応できます。大切なのは、我慢しないことと、自己判断で中止しないことです。
気になる症状から探す
| 症状 | 考えられる薬 | 対応 |
|---|---|---|
| 足のむくみ | Ca拮抗薬 | 種類・量の変更で改善することが多い |
| から咳が続く | ACE阻害薬 | ARBへの変更を検討 |
| 手足の冷え・だるさ | β遮断薬 | 量の調整。急な中止は不可 |
| ふらつき・立ちくらみ | すべての降圧薬、特に利尿薬 | 下がりすぎていないか家庭血圧で確認 |
| 顔のほてり・動悸 | Ca拮抗薬 | 飲み始めに多く、慣れることも |
| 脈が遅い | β遮断薬 | 脈拍を測って受診 |
| 歯ぐきが厚く腫れる | Ca拮抗薬 | 歯科での指摘が多い。相談を |
| 尿の回数が増えた | 利尿薬 | 飲む時刻の調整で対応できることも |
📘 表にない症状でも、薬を始めた時期・増やした時期と重なるなら、まずご相談ください。
「疲れやすい」「手足が冷える」は我慢しないでください
β遮断薬で比較的多いご相談です。心臓の働きを穏やかにする薬なので、その分だけ体を動かしたときに脈が上がりにくくなり、だるさや冷えとして感じられることがあります。
「年のせい」「血圧の病気だから仕方ない」と受け止めてしまう方が多いのですが、量の調整や種類の変更で改善することがあります。ただしこの薬は、自己判断で急にやめてはいけません。減らし方も含めてご相談ください。
むくみは「腎臓が悪くなった」わけではありません
Ca拮抗薬によるむくみは、細い血管が広がることで水分がしみ出して起こるもので、腎機能の低下とは仕組みが違います。夕方に足首が腫れる、靴下の跡が残る、というのが典型的です。
ただし、体重が数日で2kg以上増える、顔まで腫れる、息切れを伴うといった場合は別の原因が疑われます。この場合はできるだけ早めに受診してください。
症状が出ない副作用は、採血で見つけます
ここが、血圧の薬でもっとも見落とされやすい部分です。体感がまったくないのに、採血でしか分からない変化があります。
| 採血で見るもの | 関係する薬 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| カリウム(K) | ARB、ACE阻害薬、MR拮抗薬 | 上がりすぎると不整脈の原因になる |
| カリウム(K) | サイアザイド系利尿薬 | こちらは下がりすぎに注意 |
| クレアチニン(Cr) | ARB、ACE阻害薬 | 腎臓の血流の変化を確認する |
| 尿酸 | サイアザイド系利尿薬 | 上がると痛風発作の誘因になる |
| ナトリウム(Na) | サイアザイド系利尿薬 | 特に高齢の方で下がることがある |
だからこそ、薬を始めたとき・量を変えたときは2〜4週後に採血をお願いしています。「調子がいいので採血はいらない」と言われることがありますが、調子がいいときにこそ確認しておく価値があります。
市販薬・サプリ・食品との組み合わせ
- 痛み止め(NSAIDs)……血圧を上げ、薬の効きを弱めます。腰痛や関節痛で長く飲む場合は必ずお知らせください
- 甘草を含む漢方薬……血圧上昇とカリウム低下を招くことがあります。市販の漢方にも含まれます
- 市販のかぜ薬・鼻炎薬……血管を収縮させる成分が入っていることがあります
- グレープフルーツ……一部のCa拮抗薬で作用が強く出ることがあります。よく使われるアムロジピンは影響を受けにくいとされています
⚠️ 特に気をつけたい組み合わせ
「ARB・ACE阻害薬」+「利尿薬」+「痛み止め(NSAIDs)」の3つがそろうと、脱水をきっかけに腎機能が急に低下することがあります。この3つを同時に飲んでいる方は、夏場や体調不良時に特にご注意ください。腎臓を診る立場から、もっともお伝えしたい注意点のひとつです。
すぐに相談してほしい症状
至急、受診してください
- 顔・唇・舌・のどが腫れる、息がしにくい(ACE阻害薬・ARNIなどによる血管性浮腫)
- 意識が遠くなる、失神した
すぐにご相談ください
- 嘔吐・下痢・発熱が続き、水分がとれない
- 脈が明らかに遅い、立ち上がるたびに強くふらつく
- 数日で体重が2kg以上増えた、息切れが増えた
できるだけ早めにご相談ください
- から咳、むくみ、だるさ、冷えなどが続いて生活に支障がある
- 他院で新しい薬が始まった、市販薬を続けて飲んでいる
副作用が出ても、まず「やめる」ではありません
副作用を感じたとき、その薬をやめる以外にも道はあります。量を減らす、同じ系統の別の薬に変える、別の系統に切り替える、組み合わせを変える——調整の余地はかなり広く残されています。
一方、自己判断での中止には危険が伴います。血圧が急に戻るだけでなく、薬によっては反動でかえって高くなることもあります。「合わない気がする」と感じた時点で、遠慮なくお知らせください。
📅 副作用が気になる方は、WEB予約からご相談いただけます。お薬手帳をお持ちください。
では、副作用が落ち着いたあと。この薬はいつまで飲むのか、やめられるのか。次の章で正面からお答えします。
第5章 いつまで飲む? やめられる?
診察室でもっとも多い質問です。
結論から申し上げると、「一生飲み続けなければならない」とは限りません。ただし、やめられるかどうかは血圧の数字だけでは決まりません。この章では、その判断の中身をお伝えします。
「降圧剤は飲むな」という話をどう考えるか
週刊誌や書籍でこうした見出しを目にして、飲むのをためらう方は少なくありません。まず申し上げたいのは、その不安は自然なものだということです。症状のない病気に、毎日薬を飲む。疑問を持つほうが当たり前だと思います。
そのうえで率直に申し上げると、こうした主張には部分的にうなずける点があります。下げすぎによるふらつきや転倒、必要以上に薬が増えたままの状態は、実際に問題として議論されています。JSH2025でも、高齢の方やフレイルのある方では個別に目標を調整すべきとされました。「一律に強く下げればよい」という考え方は、専門家の側も採っていません。
一方で、「だから薬をやめてよい」という結論にはなりません。血圧を下げることで脳卒中や心筋梗塞、腎不全が減ることは、数十年にわたる大規模な研究で繰り返し確かめられています。問題にすべきなのは薬を飲むこと自体ではなく、その人に合った量になっているかどうかです。
「やめたい」と感じたら、黙ってやめるのではなく、そう伝えてください。減らせる余地があるかを一緒に検討するのが、私たちの仕事です。
減らせる可能性がある方/続けたほうがよい方
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 減塩・減量・運動で血圧が安定して低い | 減量・中止を検討できる |
| 薬を始めた原因(肥満・飲酒・睡眠不足など)が改善した | 減量を検討できる |
| 夏場で血圧が下がり、ふらつきが出ている | 家庭血圧を確認しながら一時的な減量を検討 |
| 高齢で、ふらつき・転倒・体重減少がある | 安全性を優先して減量を検討 |
| 腎臓・心臓・脳に合併症がある | 継続が推奨される |
| 蛋白尿がある | 血圧が下がっていても、腎臓を守る目的で継続することが多い |
| 脳卒中・心筋梗塞の既往がある | 再発予防のため継続 |
📘 蛋白尿がある方は、少し事情が違います。ARBやACE阻害薬は血圧を下げる薬であると同時に、腎臓を守る薬でもあります。血圧が目標に届いていても、蛋白尿を減らす目的で続けることがあります。「血圧は下がったのに、なぜ薬が減らないのか」と感じたら、この理由かもしれません。
👉 ACE阻害薬・ARBと腎臓の関係について詳しく
急に中止してはいけない薬があります
減らし方にも注意が必要です。特に次の薬は、自己判断で急にやめないでください。
- β遮断薬(ビソプロロール、カルベジロールなど)……急に中止すると、血圧や脈拍が上がったり、狭心症などが悪化したりすることがあります
- クロニジンなど……急な中止で血圧が大きく上昇することがあります
いずれも量を段階的に減らしていくのが原則です。減量・中止は医師と相談しながら進めてください。
また、旅行や入院で薬を切らしてしまったときも、そのまま放置せず早めにご相談ください。
減薬を目指すなら、まずここから
「薬を減らしたい」というご希望は、まったく問題ありません。むしろ、そこから治療がうまく回り始めることがよくあります。近道はこの2つです。
- 家庭血圧を記録して持参する
減量の判断材料は、診察室での1回の測定ではなく、日々の数字です。記録がある方ほど、減らせるかどうかを具体的に検討できます - 減塩を軸に生活を整える
食塩は1日6g未満が目標です。体重・飲酒・睡眠の改善も効きます。薬1剤分に相当する効果が出ることもあります
📘 ひとつ注意点があります。「野菜や果物でカリウムをとると血圧が下がる」とよく言われますが、腎機能が低下している方には当てはまりません。カリウムが上がりすぎると危険なため、まず腎機能を確認してからご案内しています。
やめられたあとも、測ることは続けてください
薬を中止できた場合も、高血圧という体質がなくなったわけではありません。加齢や季節、体重の変化で、また上がってくることは珍しくありません。
中止後は、しばらく家庭血圧の記録を続けてください。上がってきたときに早く気づければ、また同じところからやり直せます。「やめて終わり」ではなく、「やめた状態を保てているか確認し続ける」のが、いちばん安全な着地点です。
次は逆のご相談です。飲んでいるのに血圧が下がらないとき、何を確認すればよいのかをまとめます。
第6章 薬を飲んでも血圧が下がらないとき
「ちゃんと飲んでいるのに下がらない」——これも多いご相談です。
このとき「効かない薬だ」と考えて中止してしまうのが、いちばん危険な対応です。下がらない理由はいくつかに絞り込めます。順番に確認していきましょう。
まず確認したい5つのこと
| 確認すること | ありがちな落とし穴 |
|---|---|
| 測り方 | 手首式を使っている、朝の服薬後に測っている、1回だけ測って高い値を採用している |
| 飲み忘れ | 「たまに忘れる程度」が週2〜3回になっている |
| 塩分 | 汁物・麺類・漬物・外食が続いている。減塩調味料に替えただけで量が増えている |
| 他の薬 | 痛み止め、市販のかぜ薬、甘草を含む漢方を続けている |
| 体重・飲酒・睡眠 | 数kg増えた、晩酌が増えた、いびきを指摘されている |
📘 特に多いのが測り方です。上腕式の血圧計を使い、朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食前・薬を飲む前に、座って1〜2分たってから測ります。服薬後に測っていた方が正しい時間帯に変えただけで、数字の見え方がまったく変わることがあります。詳しくは第7章でご説明します。
それでも下がらないとき ―「治療抵抗性高血圧」
利尿薬を含む3種類の薬を十分な量で使っても目標に届かない場合を、治療抵抗性高血圧と呼びます。この段階では、次の2つを検討します。
- 組み合わせの見直し……3剤を使うときは、原則としてサイアザイド系利尿薬を含めます。ここが抜けていると下がりきらないことがよくあります
- MR拮抗薬の追加……治療抵抗性高血圧では、追加薬としてとくに有用とされています
それでも下がらない場合は、専門医への紹介が検討されます。「薬を増やしても効かない」という状態は、増やし方の問題ではなく、別の原因が隠れているサインのことがあるからです。
「もともとの原因」が別にある場合があります
高血圧の中には、ホルモンや腎臓、睡眠の問題が原因になっているものがあります。これを二次性高血圧といい、原因に対処すれば血圧が大きく改善することがあります。
代表的な原因には、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、腎実質性・腎血管性高血圧などがあります。次のような場合は、一度きちんと調べる価値があります。
- 3種類の薬を使っても下がらない
- 採血でカリウムが低い
- 若い年齢で発症した
- 安定していた血圧が急に上がった
- いびきや日中の強い眠気がある
- 腎機能の低下や蛋白尿を指摘されている
📘 「薬が効かない」と何年も過ごしてきた方の中に、調べれば対処できる原因が見つかることがあります。当院は腎臓を専門としており、こうした鑑別を含めてご相談をお受けしています。
「効かない」と感じても、やめないでください
効果が実感できないと、飲む意味がないように思えてきます。ですが血圧の薬はもともと体感のない薬です。効いていても何も感じません。中止すれば血圧は数日で元に戻ります。「効いていない」と感じたら、その記録を持って受診してください。家庭血圧の記録があれば、その日のうちに次の一手を決められます。
📅 血圧が下がらずお困りの方は、WEB予約からご相談ください。原因を調べるところから一緒に進めます。
ここまで何度も出てきた「家庭血圧の記録」。次の章で、正しい測り方と目標値、そして採血で何を見ているのかをまとめます。
第7章 家庭血圧・採血・通院で確認すること
薬の効果を判断する材料は、診察室の数字ではなくご自宅で測った血圧です。
ここでは、目指す数字と、通院のたびに何を確認しているのかを整理します。
「135/85」と「125/75」を混同しないでください
家庭血圧には、意味の違う2つの数字があります。ここを取り違えている方がとても多く、この記事でもっともお伝えしたい部分です。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 家庭血圧 135/85 mmHg 以上 | 高血圧と判断する基準(ここを超えたら治療を考える) |
| 家庭血圧 125/75 mmHg 未満 | 治療中に目指す目標 |
つまり、「135/85を切ったから大丈夫」ではありません。治療を受けている方が目指すのは125/75未満です。診察室で測る場合は130/80mmHg未満が目標になります。
📘 これはJSH2025で全年齢に統一された目標です。ただし第3章で触れたとおり、ふらつきや転倒などの負担が出る方では、安全に続けられる範囲で個別に調整します。数字はあくまで出発点です。
測り方の要点
- 上腕式の血圧計を使う(手首式は不正確になりやすい)
- 朝:起床後1時間以内・排尿後・朝食前・薬を飲む前に、座って1〜2分たってから
- 夜:就寝前
- 高い値だけを記録せず、測ったものはすべて残す
判断には1週間の平均を使います。1日だけ高い値が出ても慌てる必要はありません。逆に、数字の「ばらつき」そのものも大切な情報です。平均は同じでも変動が大きい方は、薬の種類や飲む時刻の調整で改善することがあります。
採血はいつ受けるのか
第4章でご説明したとおり、カリウム・クレアチニン・尿酸などは症状が出ないため採血でしか分かりません。タイミングの目安は次のとおりです。
- 薬を始めたとき・量や種類を変えたとき……2〜4週後
- 血圧も体調も安定しているとき……定期的に。間隔は一律ではなく、腎臓の状態や糖尿病などの合併症の有無、飲んでいる薬の組み合わせによって変わります
- 脱水を起こしたあと、体調を大きく崩したあと……回復後に一度
あわせて尿検査で蛋白尿も確認します。血圧が同じでも、蛋白尿の有無で薬の選び方も目標も変わるためです。
受診の目安
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 健診で「血圧が高め」と言われた | 1か月以内に受診(家庭血圧の記録を持参) |
| 家庭血圧135/85以上が2週間以上続く | 受診してください |
| 治療中で125/75未満に届かない | 次回受診時にご相談を。記録があると調整が早く進みます |
| 副作用が疑われる症状がある | 自己判断で中止せず、できるだけ早めに |
| 季節の変わり目・真夏・真冬 | 変動しやすいため測定の頻度を上げる |
📘 気温が下がる時期は血圧が上がりやすくなります。詳しくは冬に血圧が上がる理由と今日からの対策をご覧ください。
📘 受診時に持ってきていただきたいもの:家庭血圧の記録、お薬手帳(他院の薬・市販薬・サプリも含めて)。この2つがあるだけで、その日にできる判断がぐっと増えます。
第8章 よくある質問
診察室で実際によくいただく質問のうち、ここまでで触れていないものをまとめました。
Q. 朝と夜、どちらに飲むのがよいですか?
血圧の薬は1日1回が原則で、朝食後に処方されることが多くなっています。大切なのは飲む時刻そのものより、24時間を通して血圧が下がっていることです。
「就寝前に飲むほうが心臓や血管によい」という説を耳にした方もいるかもしれませんが、現時点では明確な結論は出ていません。ただし早朝や夜間の血圧が高い方では、飲む時刻をずらす調整を検討することがあります。自己判断で時刻を変えず、まずご相談ください。いずれにせよ、毎日同じタイミングで飲むことがいちばん確実です。
Q. 飲み忘れたときはどうすればよいですか?
気づいた時点で1回分を飲んでください。ただし次に飲む時間が近い場合は、その1回は飛ばして次から通常どおりにします。
⚠️ 2回分をまとめて飲むことはしないでください。血圧が下がりすぎて、ふらつきや転倒の原因になります。
なお「たまに忘れる」が週に何度もある場合は、飲み方ではなく設計の問題です。配合剤に変えて錠数を減らすなど、続けやすい形にできます。正直にお知らせください。
Q. 健診で「血圧が高め」と言われました。すぐ薬になりますか?
すぐに薬とは限りません。まずご自宅で測った血圧を1〜2週間分そろえていただき、そのうえで判断します。健診の1回の測定だけで薬を決めることはありません。
血圧が軽度で他にリスクがなければ、生活習慣の改善から始めます。一方、血圧が高い方や、腎臓・心臓・脳に問題がある方、糖尿病のある方は、早めに薬を始めたほうが安全です。JSH2025では、診断後に治療を先延ばししないことが強調されています。
Q. お酒は飲んでもよいですか?
お酒の量が多いほど血圧は上がり、減らせば下がります。量を減らすことは、薬と同じくらい確実に効きます。
目安は「お酒そのものの量」ではなく、含まれる純アルコール量で考えます。JSH2025では、エタノールとして男性20〜30mL/日以下、女性10〜20mL/日以下への節酒が示されています。純アルコール量(g)に換算すると、男性でおおむね16〜24g/日以下、女性で8〜16g/日以下に相当します。ビール500mL(5%)で約20g、日本酒1合(180mL・15%)で約22gです。
⚠️ ただし、これは「ここまでなら安全」という意味ではありません。厚生労働省の飲酒ガイドライン(2024年)は、飲酒量が少ないほどリスクは小さくなるとしたうえで、示された数値は個々人の許容量を示したものではないと明記しています。がんについては血圧よりも低い量から関係するとされ、たとえば大腸がんは1日あたり純アルコール約20g以上でリスクが高まると示されています。
すでに飲んでいる方には「減らす」ことをお勧めします。一方で、飲んでいない方に勧めるものではありません。
📘 測定上の注意がひとつあります。飲酒の直後は血圧が下がり、翌朝はむしろ上がることがあります。「夜は低いのに朝だけ高い」という方は、前夜の飲酒が影響しているかもしれません。記録に「飲んだ日」の印をつけておくと、原因が見えやすくなります。
Q. 妊娠を考えています。今の薬のままで大丈夫ですか?
妊娠を考え始めた時点で、必ずご相談ください。ARBとACE阻害薬は、妊娠中に使うことができません。妊娠が分かってからではなく、その前に使える薬へ切り替えておくのが安全です。
妊娠中でも使える薬はありますので、血圧の治療をあきらめる必要はありません。すでに妊娠が判明している場合は、自己判断で中止せずすぐにご相談ください。
Q. ジェネリックに変えても効果は同じですか?
有効成分は同じで、国の基準で先発品と同等であることが確認されています。血圧の薬でジェネリックに変えて効果が落ちることは、通常は考えにくいとお考えください。
ただし錠剤の大きさや添加物は異なるため、まれに飲みにくさや体質的に合わないと感じる方がいます。その場合は戻すこともできますので、遠慮なくお伝えください。
Q. 薬を飲んでいれば、塩分は気にしなくてよいですか?
逆です。塩分が多いままだと、薬の効きが悪くなります。特にARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬は、塩分が多い状態では効果が出にくくなることが知られています。「薬が効かない」と感じている方の中に、塩分が原因の方は少なくありません。
食塩は1日6g未満が目標です。具体的な進め方は1日6g未満で血圧と腎臓を守る減塩ガイドでご説明しています。薬と減塩は、どちらかではなく両方で効きます。
まとめ ― 薬を「知って」続ける
長い記事になりましたので、最後に要点を整理します。
- 目的……薬は数字を下げるためではなく、腎臓・心臓・脳を守るために飲みます
- 種類……中心はCa拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・少量の利尿薬・β遮断薬の5系統。足りなければARNIやMR拮抗薬が加わります
- 選び方……優劣ではなく、合併症と体質で決まります。腎臓では蛋白尿の有無が分かれ目です
- 副作用……多くは調整で対応できます。症状が出ない変化は採血でしか分かりません
- やめどき……一生とは限りません。ただし合併症や蛋白尿がある方は継続することが多く、β遮断薬などは急にやめてはいけません
- 目標……診察室130/80mmHg未満、家庭125/75mmHg未満。135/85は診断の基準であって目標ではありません
血圧の薬は、効いていても何も感じません。だからこそ「本当に必要なのか」と迷いが生まれます。その迷いは、内容を知ることでかなり小さくできます。この記事がその材料になれば幸いです。
そして、迷いが残ったときは、やめる前に相談してください。減らせる余地があるかを一緒に探すことも、私たちの仕事です。
🏥 ご相談・受診案内
きたはらやまクリニックでは、腎臓と生活習慣病を軸に高血圧の診療を行っています。次のような方はご相談ください。
- 健診で血圧・腎機能・尿蛋白の異常を指摘された
- 薬を飲んでいるが、血圧が目標に届かない
- 副作用が気になる、または薬を減らせないか相談したい
- 家庭血圧の記録を持って、治療を見直したい
- 3種類以上の薬を使っても下がらず、原因を調べたい
受診の際は、家庭血圧の記録とお薬手帳をお持ちください。他院のお薬・市販薬・サプリメントも含めて分かるようにしていただけると、その日にできる判断が増えます。
尾張旭市・瀬戸市エリアで「腎臓×生活習慣病」を専門に診療しています。お気軽にご相談ください。
関連ページ
- 高血圧とは ― 原因・放置するリスク・治療の進め方
- 家庭血圧の正しい測り方
- ACE阻害薬・ARBと腎臓の関係
- 慢性腎臓病(CKD)と高血圧
- 1日6g未満で血圧と腎臓を守る減塩ガイド
- 冬に血圧が上がる理由と今日からの対策
- 高血圧性腎硬化症について
📚 参考ガイドライン・免責事項
- 日本高血圧学会:高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)
- 日本腎臓学会:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
- 日本腎臓学会:慢性腎臓病(CKD)患者の血圧管理に関するステートメント(2026年6月)
- KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease
- 厚生労働省:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(2024年)
- 各薬剤の添付文書(医薬品医療機器総合機構)
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、診断・治療の代替を意図するものではありません。実際の薬の内容や量、続けるかどうかの判断は、必ず主治医にご相談ください。
