第1章|慢性腎臓病(CKD)とは ― 初期には気づきにくい「静かな病気」
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎臓の機能が徐々に低下していく病気の総称です。高血圧や糖尿病、脂質異常症、加齢などによって腎臓の血管やフィルター(糸球体)が傷つき、血液をろ過する力が少しずつ落ちていくことで進行します。初期にはほとんど自覚症状がなく、健診で指摘されて初めて気付く方が多いのが特徴です。
腎臓の状態は主に
- eGFR(腎機能)
- 尿たんぱく(腎臓のダメージ)
の2つで評価します。どちらか一方でも異常があれば、CKDの可能性があります。
特に重要なのは、早期のCKDは症状がなくても、動脈硬化の進行や心臓・脳の病気(心不全・心筋梗塞・脳卒中)と密接に関連していることです。腎臓は大量の血液を流し続ける“血管の塊”のような臓器であり、腎臓の異常は全身の血管トラブルのサインでもあります。
そのため、CKDは「腎臓だけの問題」ではなく、生活習慣病・血管の病気・心臓病の早期警告として非常に重要な意味を持ちます。健診のわずかな異常値(eGFR低下・尿たんぱく・血圧高値など)を放置すると、腎臓だけでなく全身に影響が広がる可能性があります。
一方、CKDは早期に発見すれば進行を大きく遅らせることができる病気でもあります。生活習慣の見直しや血圧・血糖・脂質の適切な管理、必要に応じた薬物療法により、腎臓の働きを長期間維持することができます。
「症状がないから大丈夫」と思わず、健診の異常値を小さな“サイン”として受け止め、早めに腎臓の状態を確認することが、将来の腎臓・心臓・脳を守る第一歩です。
第2章|腎臓の働き ― 体を”静かに支える”重要な臓器
腎臓は、腰のあたりに左右1つずつある臓器で、1日に約150〜180Lもの血液をろ過するフィルターの役割を持っています。小さな臓器ですが、生命維持に欠かせない多くの働きを担っています。
腎臓の主な役割は大きく4つです。
1.老廃物の排泄(血液の浄化)
体の代謝で生じる老廃物や不要な水分をろ過し、尿として排出します。腎機能が低下すると、老廃物が体に蓄積し、むくみ・だるさ・食欲低下などが起こります。
2.体内のバランス調整(電解質・水分量)
ナトリウム・カリウム・リンなどの電解質の調整や、体内の水分量を一定に保つ働きをします。この仕組みが乱れると、不整脈や血圧変動などにつながります。
3.血圧の調整
腎臓はレニンというホルモンを分泌し、血圧をコントロールする重要な役割があります。腎機能が低下すると、高血圧が悪化し、さらに腎臓に負担をかける悪循環が生じます。
4.赤血球をつくるホルモン(エリスロポエチン)分泌
腎臓が弱るとホルモンが十分に作れず、貧血を起こしやすくなります。
このように腎臓は、血液・水分・ホルモン・血圧など、全身のバランスを支える司令塔です。
そのため、腎臓のダメージは身体のさまざまな不調につながり、早期発見と保護がとても重要になります。
第3章|CKDの定義 ― eGFRと尿たんぱくで分かる“腎臓の今の状態”
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎臓の機能が低下している、または腎臓に障害が続いている状態が3か月以上続くことと定義されています。
その判断に使われるのが、
① eGFR(腎機能) と ② 尿たんぱく(腎臓のダメージ) の2つです。
① eGFR:腎臓の“ろ過能力”を示す指標
eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓が血液をどれくらいろ過できているかを示す値で、健診の血液検査から自動計算されます。
- 60以上:正常〜軽度低下
- 60未満:腎機能低下の可能性
- 45未満:中等度以上の低下で要管理
特に60未満になった時点でCKDの可能性が高いため、再検査や生活習慣の見直しが必要となります。
eGFRは年齢による影響も受けますが、加齢だけで大きく下がることは少なく、ほとんどの場合は高血圧・糖尿病・動脈硬化など背景に原因があります。
② 尿たんぱく:腎臓のフィルターが傷ついているサイン
尿たんぱくは、腎臓の糸球体の“傷つき具合”を反映します。
正常な腎臓ではほとんど通らないアルブミン(たんぱく質)が尿に漏れ出るため、+が続く場合は腎臓に障害がある可能性が高いと判断します。
尿アルブミン(ACR)の分類では、
- A1:正常(30未満)
- A2:軽度上昇(30〜299)
- A3:高度上昇(300以上)
となり、A2以上は腎機能が正常でもCKDと診断されるほど重要な指標です。
定義のポイント:どちらか一方でも異常があればCKDの可能性あり
CKDは
「eGFRの低下」または「尿たんぱく異常」
のいずれかが続くことで診断されるため、たとえ腎機能が保たれていても、尿たんぱくが出ている場合は見逃せません。
健診の小さな異常値が“将来のリスク”を教えてくれる
eGFRや尿たんぱくの異常は、腎臓だけでなく
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 心不全
など全身の病気のリスクと深く関連することが分かっています。
だからこそ、CKDは症状がなくても早期に気づくことが最重要です。
第4章|CKDの原因 ― 生活習慣病と深くつながる“腎臓と血管の病気”
慢性腎臓病(CKD)は、ひとつの病気ではなく、生活習慣病・血管病・加齢などが重なって起こる“総合的な病態”です。
特に日本では、次の3つが大きな原因を占めています。
① 糖尿病(糖尿病性腎症)
最も多い原因で、腎臓の細い血管(糸球体)が長年の高血糖により傷つくことで発症します。
初期には症状がなく、
- 尿アルブミンの上昇
- eGFRの低下
が少しずつ進行します。
適切な血糖管理を行わないと、腎機能が急速に低下しやすく、CKDの重症化につながります。
② 高血圧(高血圧性腎硬化症)
腎臓は非常に多くの血液が流れる臓器のため、高血圧の影響を直接受ける臓器です。
血圧が高い状態が続くと、腎臓の血管の壁が厚く硬くなり、ろ過能力が落ちていきます。
高血圧は自覚症状がないため、
「気づかないうちに腎臓を痛めている」
というケースが非常に多く見られます。
③ 加齢+生活習慣病の蓄積(動脈硬化性腎障害)
特に40〜80歳で多いのがこのタイプです。
加齢とともに血管が硬くなり、そこに
- 脂質異常症
- 肥満
- 喫煙
- 運動不足
が加わると、腎臓の血流が低下し、機能が徐々に低下します。
健診で「少しずつeGFRが下がってきた」「尿たんぱくが時々出る」という場合、このタイプが多く見られます。
生活習慣病が腎臓を痛める“共通のメカニズム”
糖尿病・高血圧・脂質異常症はいずれも、腎臓の血管に負担をかける病気です。
その結果、
- 糸球体の血管が傷つく(尿たんぱく)
- 血流が低下する(eGFR低下)
- 血圧がさらに上がる
- 腎臓が弱る → 生活習慣病が悪化
- 動脈硬化が加速する
という悪循環が生まれます。
腎臓と血管は密接につながっているため、CKDは「腎臓だけの病気」ではなく「全身の血管病」でもあるという点が重要です。
原因が分かれば“正しい対策”も見えてくる
CKDの多くは、
- 血圧管理
- 血糖・脂質コントロール
- 体重管理
- 食事(減塩)
などの生活習慣改善で進行を抑えられます。
原因を正しく理解することが、腎臓を守る第一歩です。
第5章|CKDのステージ分類 ― “今の腎機能”と“将来のリスク”を把握するための重要な指標(KDIGO2021準拠)
慢性腎臓病(CKD)の進行度は、
① eGFR(腎機能) と ② 尿アルブミン(腎臓の損傷) の2軸で評価します。
これは国際的なガイドライン「KDIGO2021」で定められており、日本の診療でも標準的に使用される指標です。
ステージ分類を知ることで、
- 「今どの程度腎臓が弱っているのか」
- 「進行しやすいタイプかどうか」
- 「どのくらいの頻度で受診すべきか」
が明確になります。
① eGFRによるGステージ分類 ― 腎臓の“ろ過能力”を評価する
eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓が血液をどれだけろ過できているかを示す値です。
| G分類 | eGFR(mL/min/1.73m²) | 状態 |
|---|---|---|
| G1 | ≥90 | 正常〜高値 |
| G2 | 60〜89 | 軽度低下 |
| G3a | 45〜59 | 軽度〜中等度低下 |
| G3b | 30〜44 | 中等度〜高度低下 |
| G4 | 15〜29 | 高度低下 |
| G5 | <15 | 腎不全(透析検討) |
eGFRが60未満(G3a以下)の場合、CKDの可能性が高く、生活習慣の改善や精密評価が必要となります。
② 尿アルブミンによるAステージ分類 ― 腎臓の“傷つき具合”を評価する
尿アルブミンは、腎臓のフィルター(糸球体)が壊れ始めたときに最初に現れる異常です。
| A分類 | アルブミン尿(ACR mg/gCr) | 状態 |
|---|---|---|
| A1 | <30 | 正常〜軽度 |
| A2 | 30〜299 | 中等度上昇(要注意) |
| A3 | ≥300 | 高度上昇(重症度高い) |
A2・A3は、腎機能が正常でもCKDと診断されるほど重要な指標です。
③ ステージ別のフォローアップ(通院・検査頻度の目安)
一般的なフォローの目安は以下の通りです(個別に調整します)。
| ステージ | 受診頻度の目安 | 重要ポイント |
|---|---|---|
| G1〜G2 × A1 | 年1〜2回 | 健診フォローでOK |
| G2 × A2 | 3〜6か月ごと | 血圧・生活管理が鍵 |
| G3a | 3か月ごと | 動脈硬化リスク上昇 |
| G3b | 1〜2か月ごと | 進行が早くなりやすい |
| G4 | 毎月 | 合併症の管理が重要 |
| G5 | 毎週〜毎月 | 透析準備を開始 |
④ ステージを知ることは“腎臓を守る最も確実な一歩”
ステージ分類は、ただの数字の分類ではなく
「治療の優先順位・生活改善の方向性・将来のリスク」を可視化するツールです。
- G1〜G2は生活習慣改善で改善余地が大きい
- G3aは動脈硬化リスクが高まり始める段階
- G3b以降は進行を抑える治療が中心
- G4〜G5は専門的な管理が必須
自分のステージを理解し、適切なタイミングで対策を始めることが、
腎臓と心血管を長く守る鍵となります。
第6章|CKDを放置するとどうなる? ― 腎臓だけでなく“全身の病気”につながる理由
慢性腎臓病(CKD)は自覚症状がほとんどないため、「少し数値が悪いだけ」「年齢のせいでは?」と軽く見られがちです。しかし、CKDを放置すると、腎臓だけでなく心臓・脳・血管など全身に大きな影響を与えることが分かっています。CKDが“生活習慣病のハブ(中心)”と呼ばれる理由は、この広い関連性にあります。
① 腎臓機能そのものが低下し、老廃物が体に蓄積する
腎臓の働きは、血液をろ過し不要な老廃物を尿として排泄することです。
CKDが進行するとろ過能力が低下し、以下の症状が徐々に現れます。
- むくみ(浮腫)
- だるさ・疲れやすさ
- 貧血(エリスロポエチン不足)
- 食欲低下・吐き気
症状が出る時期には、腎機能はすでにかなり低下していることが一般的で、早期発見が重要な理由はここにあります。
② 高血圧が悪化し、腎臓と血管に“悪循環”が起きる
CKDは高血圧の原因となり、逆に高血圧はCKDを悪化させるという相互悪循環を起こします。
- 腎臓が弱る → 血圧が上がる
- 血圧が上がる → 腎臓の血管がさらに傷む
この悪循環により、腎臓の低下スピードが加速し、将来的な腎不全(透析)リスクが高まります。
③ 心筋梗塞・脳卒中など“命に関わる病気”のリスクが上昇する
CKDは動脈硬化を強く進める病気です。
腎臓が弱ると血管の炎症・硬化が進みやすくなり、
- 心筋梗塞
- 心不全
- 脳卒中
といった重大な心血管疾患の発症率が、CKDの進行に比例して高まります。
特にG3b(eGFR44以下)やA3(尿アルブミン300以上)の患者では、
心血管病による死亡リスクが健常者の数倍に上がることが分かっています。
④ 薬の副作用が出やすくなる(薬剤調整が必要)
腎臓が弱ると薬剤の排泄が遅くなり、
- 糖尿病治療薬
- 抗菌薬
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs)
- 抗がん剤
などの副作用が出やすくなることがあります。
特に市販の痛み止め(NSAIDs)は腎臓に負担をかける代表薬のため、CKD患者では注意が必要です。
⑤ 最終的には腎不全へ進行し、透析・移植が必要になることも
CKDがG4〜G5へ進むと、腎臓のろ過能力がほとんど保てなくなり、
老廃物・水分・電解質の調整ができなくなります。
- 急激なむくみ・息苦しさ
- 重度の貧血
- カリウム上昇による不整脈
など、生命に関わる状態になり、透析治療や腎移植が必要となる場合があります。
CKDは“放置すると危険”“早期対応すれば守れる”病気
CKDは進行すると治療選択肢が限られますが、
G1〜G3a(eGFR45以上)で発見できれば、
生活習慣改善や薬物治療により進行を大きく遅らせることができます。
つまりCKDの本質は、
放置すれば危険、早期介入すれば守れる病気
という点にあります。
健診で異常があった場合、症状がなくても早めの受診が重要です。
第7章|早期発見の重要性 ― 健診結果から“腎臓の未来”が分かる
慢性腎臓病(CKD)は初期症状がほとんどなく、「気づかないうちに進行する病気」です。しかし、腎臓の異常は必ず血液検査や尿検査の結果に現れるため、健診は早期発見の最大のチャンスとなります。
症状が出てから気付くのでは遅く、症状がない段階で対策を始めることが、将来の腎臓と心血管の健康を守る鍵です。
① CKDは“検査でしか気づけない病気”
腎臓は予備能力が高く、機能が半分以下に落ちても自覚症状が出ないことが多くあります。
そのため、以下の健診項目が異常であれば、症状がなくてもCKDのサインと考えます。
- eGFR(腎機能)60未満
- 尿たんぱく陽性(+以上)
- 血圧高値(135/85以上)
- HbA1c上昇
- LDL高値
これらは腎臓の異常だけでなく、将来の動脈硬化リスクも示しており、「早めに受診したほうが良い」指標になります。
② 特に重要な2つの指標:eGFRと尿たんぱく
腎臓の状態を最も正確に反映するのが次の2つです。
● eGFR(ろ過能力)
60を切ると腎機能低下が疑われ、
45未満では中等度以上のCKDとして要管理になります。
● 尿たんぱく(腎臓のダメージ)
腎臓のフィルターが傷ついたとき最初に現れる異常で、
A2(30〜299)以上は腎機能が正常でもCKDと診断されます。
健診でどちらか一方でも異常があれば、放置せず精密評価が必要です。
③ 健診→受診→フォローの流れが腎臓を守る
早期発見の効果は非常に大きく、
- 血圧・血糖・脂質の改善
- 適切な薬物治療(RAS阻害薬・SGLT2阻害薬など)
- 減塩・体重管理
などで腎臓の低下スピードを確実に抑えることができます。
早期であればあるほど、透析を避けられる可能性が高くなることが多くの研究で示されています。
④ 健診結果が少しでも気になれば、受診が最も安全な選択
- eGFRの低下
- 尿たんぱくの反復陽性
- 血圧の上昇
- 糖代謝異常
- 脂質異常症
これらはすべてCKDと動脈硬化の“入口”です。
症状がなくても、一度腎臓の専門的な評価を受けることで、将来的なリスクを大幅に軽減できます。
第8章|予防と生活習慣改善 ― 腎臓を守るために今日からできること
慢性腎臓病(CKD)は、生活習慣の見直しと継続的な管理によって、進行を大きく遅らせることができる病気です。特にG1〜G3a(eGFR45以上)の早期であれば、生活改善の効果は非常に大きく、腎臓だけでなく心臓・脳の病気の予防にもつながります。ここでは、CKDの予防と進行抑制に効果的なポイントを分かりやすく整理します。
① 減塩(1日6g未満)が最も重要な生活習慣
腎臓を守る生活改善の中で、最も科学的根拠が強いのが 減塩 です。
塩分を減らすと、
- 血圧の低下
- 糸球体への負担軽減
- 浮腫の改善
に直結し、CKD進行の抑制につながります。
外食・加工食品には塩分が多く含まれるため、成分表示の確認が重要です。
② 体重管理・運動で腎臓と血管を守る
適正体重を維持することは、腎臓への負担を減らし、糖尿病・脂質異常症の改善にも寄与します。
- 週150分のウォーキング
- 無理のない有酸素運動
が推奨され、継続が最も重要です。
肥満や内臓脂肪の増加は、腎臓の血管を傷つける動脈硬化を促進するため、体重管理はCKD予防に欠かせません。
③ 血圧・血糖・脂質のコントロールが進行抑制の中心
CKDの原因の多くは生活習慣病であるため、
以下の“3つの柱”を整えることが核心となります。
- 血圧:家庭血圧で135/85未満(JSH2024)
- 血糖:HbA1c 6〜7%を目標に
- 脂質:LDLコレステロールの管理
これらを適切に保つだけで、腎臓の低下スピードを大きく遅らせることが可能です。
④ 禁煙は腎臓を守る最短の近道
喫煙は腎臓の血流を悪化させ、尿たんぱくを増やし、CKDの進行を早めます。
どのステージでも禁煙によるメリットは大きく、最も効果的な腎臓保護策のひとつです。
⑤ 適切な薬物治療で腎臓を守る
生活改善だけでは不十分な場合、
- RAS阻害薬(ARB/ACE)
- SGLT2阻害薬
- フィネレノン
といった腎臓を守る薬が使用されます。
薬物療法はあくまで「生活改善の効果を高める補助」であり、両方の併用が最も重要です。
生活習慣の積み重ねが腎臓を長く守る
CKDは生活習慣と深くつながる病気ですが、
裏を返せば 生活習慣で最も効果的に守れる臓器 です。
無理のない範囲でできることから少しずつ始めることが、長く腎臓を保つ最も確実な方法です。
第9章|よくある質問(FAQ) ― CKDを理解し、不安を解消するために
Q1. CKDと言われましたが、すぐに透析になるのでしょうか?
いいえ、CKD=透析というわけではありません。多くの患者さんは、適切な治療と生活改善によって進行を大きく遅らせることができます。特にステージ3までに介入すると、腎機能が安定するケースは珍しくありません。
Q2. 腎臓が悪いと何が問題なのですか?
腎臓は「老廃物の排泄」「体液量・血圧の調整」「ホルモン産生」など生命維持に不可欠な役割を担います。腎機能が低下すると、むくみ・貧血・高血圧・心血管病など多臓器に影響が及び、生活の質が低下します。
Q3. eGFRが低いと言われました。どこまで下がると危険ですか?
eGFRは60未満でCKDの可能性があり、45未満では慎重な管理が必要、30未満では専門医での治療が推奨されます。早期に介入するほど予後が良くなりますので、数値の変化は定期的に確認することが大切です。
Q4. 食事で気をつけるべきポイントは?
基本は「減塩」と「適正たんぱく質」です。塩分は1日6g未満を目標にし、味付けは薄めに。たんぱく質は体重1kgあたり0.6〜0.8gが推奨される場合がありますが、病期や合併症により調整が必要です。医師や栄養士と相談しながら実践してください。
Q5. 市販薬やサプリは飲んでも大丈夫?
腎機能が低下していると、薬剤の排泄が遅れ副作用が出やすくなります。NSAIDs(痛み止め)や一部の漢方薬、マグネシウム含有サプリなどは腎臓に負担をかけることがあります。必ず医師に相談してから使用してください。
Q6. CKDは治りますか?
完全に「元通りの腎機能」に戻すことは難しいものの、進行を食い止めることはできます。血圧・血糖・脂質管理、体重コントロール、禁煙、適度な運動など、生活習慣の改善によって腎臓を守ることが可能です。
Q7. どのくらいの頻度で通院すべきでしょうか?
ステージや合併症によりますが、一般的には1〜3か月ごとの受診が推奨されます。腎機能が不安定な場合や薬の調整が必要な場合は、もう少し短い間隔でのフォローが必要です。
Q8. 若い人でもCKDになりますか?
はい。糖尿病・高血圧がなくても、遺伝性疾患、過度のたんぱく質摂取、サプリの乱用、極端なダイエットなどが原因で若い方にもCKDは見られます。健診結果の異常を“年齢のせい”と思わず、早めに受診することが大切です。
第10章|まとめ ― 早期発見と継続管理が“腎臓を守る最善の方法”
慢性腎臓病(CKD)は、日本人の8人に1人が抱えるとされる身近な病気でありながら、多くの方が自覚症状のないまま進行してしまいます。腎臓は「老廃物の排泄」「血圧と体液バランスの調整」「ホルモン産生」などを担う重要な臓器で、一度ダメージを受けると元の状態に戻りにくいという特徴があります。だからこそ、早期に気づき、正しく対処することが何より重要です。
本記事で解説したように、CKDは血圧・血糖・脂質異常症と深く関わり、特に高血圧・糖尿病を合併すると進行が加速します。また、eGFRや尿たんぱくは健康診断で見逃されがちな項目ですが、腎臓の状態を最も鋭敏に反映する指標です。これらの値に「高め」「要再検査」と記されていた場合、症状がなくても放置しないことが大切です。
CKDは決して“治らない病気”ではありません。生活改善、血圧・血糖管理、適正なたんぱく質摂取、必要な薬物治療を組み合わせることで、進行を大きく遅らせ、腎臓を長く守ることができます。また、SGLT2阻害薬やフィネレノンなど、新しい治療薬も登場し、心血管病の予防にも効果が期待されています。「正しい知識」を持ち、「続けられる方法」を一緒に見つけることが、腎臓を守る第一歩です。
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〈免責事項〉
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個別診療の代替にはなりません。症状や検査値は個人差が大きく、必要な検査・治療は年齢、合併症、病期により異なります。実際の診断・治療については必ず医師の診察を受けてご確認ください。
