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健診で多い「血糖・脂質・尿たんぱく・血圧異常」とは? ― 早めの対策が健康寿命を守る

第1章 健診で「異常」と言われたときにまず知ってほしいこと

健診で「血糖が高め」「コレステロールが高い」「尿たんぱくが出ています」「血圧が高い傾向があります」と言われると、不安に感じる方が多いと思います。しかし、これらは多くの場合、自覚症状のないまま進む生活習慣病の“初期サイン”です。

「異常=すぐ治療」という意味ではなく、
“将来の病気を防ぐための早期警告”と考えることが大切です。

血糖・脂質・尿たんぱく・血圧は互いに影響し合い、放置すると糖尿病・心臓病・脳卒中・慢性腎臓病(CKD)へ進む可能性があります。

まずは、

  • 「どんな異常なのか」
  • 「どこから気をつけるべきか」
  • 「何をすればよいか」

を理解することが、健康を守る第一歩になります。

第2章 血糖・脂質・尿たんぱく・血圧が異常になる“背景”とは?

ここでは、健診でよく指摘される4つの異常が なぜ起こるのか を簡潔にまとめます。

🔹血糖が高くなる背景

  • 内臓脂肪の増加
  • 運動不足によるインスリン抵抗性
  • 加齢による代謝低下

→ 食後血糖が上がりやすくなり、糖尿病の前段階となります。

🔹脂質(LDL・中性脂肪)が高くなる背景

  • 脂質の摂りすぎ
  • 甘いもの・アルコール
  • 運動不足、体質

→ 血管に脂肪がたまり、動脈硬化が進行します。

🔹尿たんぱくが出る背景

  • 高血圧・糖尿病による腎臓の負担
  • 加齢・脱水
  • 一時的なストレスや発熱

→ 腎臓の“フィルター”に負荷がかかり、早期の腎障害を示すことがあります。

🔹血圧が高くなる背景

  • 塩分過多
  • ストレス・睡眠の質低下
  • 加齢による血管の硬さ

→ 持続すると脳卒中や心臓病の主要因になります。

第3章 項目別|「血糖 異常」「脂質 異常」「尿たんぱく プラス」「血圧 が高い」時に知っておきたい意味と受診の目安

健診で「血糖が高め」「脂質の異常」「尿たんぱく(+)」「血圧が高い」と指摘された際、
“この異常値は何を意味するのか?” “放置して大丈夫なのか?” “何科を受診すべきか?”
と不安に思われる方が多くいます。

これら4つの項目は、いずれも 体の代謝や血管・腎臓の状態を知らせるサイン です。
そのため、健診後には次のような疑問がよく検索されています。

  • 「血糖が高いのは何を意味する?」
  • 「脂質が高いと本当に危険?」
  • 「尿たんぱくの+は要注意?」
  • 「血圧が高めのときは何科に行けばいい?」

こうした疑問の答えを、ここでは項目ごとにわかりやすく整理します。

🔹1. 血糖(空腹時血糖・HbA1c)

血糖が高い状態が続くと、血管に炎症が起こり、動脈硬化や糖尿病につながります。

基準の目安

  • 空腹時血糖 100〜109 mg/dL:やや高め
  • 110〜125 mg/dL:糖尿病予備軍
  • 126 mg/dL以上:糖尿病疑い

HbA1cは「過去1〜2か月の平均血糖」を示し、6.5%以上 は糖尿病が疑われます。

受診の目安

  • 空腹時血糖110以上やHbA1c6.0%以上 → 早めの受診
  • 空腹時血糖126以上、HbA1c6.5%以上 → 精密検査必須

🔹2. 脂質(LDL・HDL・中性脂肪)

脂質異常は自覚症状がありませんが、放置すると血管に脂肪が溜まり、心筋梗塞・脳梗塞の原因になります。

基準の目安

  • LDL 140 mg/dL以上:脂質異常症
  • HDL 40未満:リスク増加
  • 中性脂肪 150以上:脂質異常症

特に「LDL高値 × 喫煙 × 高血圧」は非常に危険な組み合わせです。

受診の目安

  • LDL 140以上・中性脂肪300以上 → 医療機関で精査
  • HDLが低い → 生活改善と経過観察を推奨

🔹3. 尿たんぱく

尿たんぱくは、腎臓(糸球体)が傷ついたサインで、慢性腎臓病(CKD)を早期に発見する最も重要な項目です。

基準の目安

  • ±(プラスマイナス):注意
  • +:腎障害の可能性
  • 2+以上:精密検査が必要

ただし、尿たんぱくは「その日だけ出る」こともあるため、1回陽性でも再検査が必須です。

受診の目安

  • ±:1〜2か月以内に再検査
  • +以上:早めに受診
  • 2+以上:必ず精密検査

腎臓は悪化しても自覚症状がないため、最も注意すべき項目です。

🔹4. 血圧(診察室血圧・家庭血圧)

血圧はストレス・塩分・睡眠・季節の影響を受けやすい一方、継続的に高いと脳卒中・心不全・腎臓病の大きな原因になります。

JSH2024の基準

  • 診察室血圧 140/90以上:高血圧
  • 家庭血圧 135/85以上:高血圧(より重視)

JSH2024では 家庭血圧の重要性 が強調され、
“診察室血圧より病気の予測精度が高い” とされています。

受診の目安

  • 家庭血圧 135/85以上が続く → 1〜3か月以内
  • 診察室血圧 140/90以上 → 早めの受診
  • 160/100以上 → 早急に受診

第4章 放置するとどうなる? ― 血糖・脂質・尿たんぱく・血圧異常が招く合併症

健診で指摘される「血糖・脂質・尿たんぱく・血圧」の異常は、軽く見られがちですが、どれも放置すると動脈硬化や腎臓の障害が静かに進むという共通点があります。

血糖が高い状態が続くと、細い血管から傷み始め、網膜症・神経障害・糖尿病腎症などの合併症につながります。さらに動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。

脂質異常を放置した場合、LDL(悪玉)コレステロールが血管に沈着し、動脈硬化が進行。狭心症・心筋梗塞・脳梗塞など、命に関わる病気の原因となります。

尿たんぱくが続く場合は腎臓のフィルターが傷んでいるサインで、慢性腎臓病(CKD)が進行する可能性があります。腎臓は悪化しても症状が出にくく、気づいた時には進行していることが多いため特に注意が必要です。

高血圧を放置すると、脳出血・脳梗塞・心不全・心房細動・腎機能低下など、全身の血管や臓器に大きな負担がかかります。日本人の脳卒中の最大の原因は高血圧といわれています。

これらの異常は1つの異常が別の異常を引き起こす“連鎖(メタボリックドミノ)”の関係にあり、早期に対処することで大きな病気を防ぐことができます。

第5章 今日からできる対策 ― 血糖・脂質・尿たんぱく・血圧を整える方法

健診で異常を指摘されたときは、生活習慣の見直しと医療的フォローを組み合わせることが大切です。

🔹1. 血糖が高めと言われたら

  • 夜遅い食事・甘い飲料の見直し
  • 10〜20分のウォーキング
  • 体重の3〜5%減で血糖が改善することも

空腹時血糖110以上やHbA1c6.0%以上の方は、早めの受診をおすすめします。

🔹2. 脂質(LDL・中性脂肪)が高いと言われたら

  • 揚げ物・菓子類・加工食品を控える
  • アルコールや間食を減らす
  • 毎日の軽い運動

LDL 160以上、中性脂肪300以上なら医療機関での評価が必要です。

🔹3. 尿たんぱくが出た場合

  • 塩分を控える
  • 血圧を適正化(家庭血圧が重要)
  • 十分な水分摂取

特に「+」以上が続く場合は早めに腎臓内科へ相談してください。

🔹4. 血圧が高かった場合(JSH2024準拠)

  • 朝晩の家庭血圧を1〜2週間記録
  • 塩分6g/日を目標に減塩
  • 良質な睡眠、運動習慣

家庭血圧135/85以上が続く場合は受診して原因評価や治療検討が必要です。

第6章 よくある質問(FAQ) ― 健診異常を指摘された方からのご相談

Q1. 異常値はすぐ治療が必要ですか?

→ 1回の異常だけでは判断できません。多くは再検査で確認し、生活改善で改善することも多くあります。

Q2. 「血糖が少し高め」と言われた場合、何をすれば良い?

→ 甘い飲料や夜遅い食事の見直し、軽い運動で大きく改善します。空腹時血糖110以上なら早めの受診を。

Q3. 尿たんぱくが心配です。放置すると危険?

→ 腎臓の早期障害の可能性があります。1回の陽性でも再検査と腎機能チェックが必要です。

Q4. 血圧はどこまで気にすべき?

→ 家庭血圧135/85以上が続く場合は要受診。生活改善と記録がとても有効です。

第7章 まとめ・受診案内・免責

当院では、血糖・脂質・尿たんぱく・血圧の異常について、再検査から生活指導、必要時の治療まで一貫してサポートしています。腎臓内科専門医として、CKD予防や家庭血圧の管理も丁寧にフォローします。健診結果が気になる方は、早めにご相談ください。

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健診で異常を指摘された方へ

免責事項

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  • 本記事の内容は、一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、特定の症状・疾患に対する診断や治療を行うものではありません。
  • 症状や検査値には個人差があるため、具体的な診断・治療については医療機関で医師にご相談ください。
  • 健診結果の解釈や受診タイミングは個別に異なる場合があります。本記事はあくまで参考情報としてご活用ください。