健康診断で異常を指摘された後、放置していませんか?
健康診断の結果で異常を指摘されていても、医療機関に行かずに放置していませんか?
検査結果に「要受診」や「要精密検査」などの表記があるのに放置していると、その後重大な病気を引き起こす可能性があります。特に、生活習慣病の場合は自覚症状がなく進行していくため、検査結果をよく確認することが必要です。早めに治療を開始すれば、心筋梗塞や脳卒中といった危険な病気のリスクを軽減することができます。
健康診断の検査結果の見方
異常なし
正常な範囲にあるため、問題はありません。
要経過観察/要再検査
異常があるものの、緊急に治療が必要というわけではありません。
数か月~1年後などに定期的な検査を行い、経過を把握する必要があります。
要精密検査
詳細な検査が必要な状態です。
早めに医療機関を受診する必要があります。
要治療
直ちに治療が必要な異常があるため、速やかに専門医の診察を受けましょう。
脂質異常症(高脂血症):コレステロール・中性脂肪
LDL(悪玉)コレステロール値が高い・HDL(善玉)コレステロール値が低い・中性脂肪が高い、3つのどれかに当てはまれば、脂質異常症と診断されます。
脂質異常症とは
「脂質異常症」は、次の3 つのうち1 つでも当てはまると、脂質異常症と診断され、以下の3つに分類されます。
(いずれも空腹時の血清中濃度)
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール):140mg/dL 以上
- トリグリセライド(中性脂肪):150mg/dL 以上
- HDLコレステロール(善玉コレステロール):40mg/dL 未満
脂質の異常を指摘されても自覚症状がないため放置している方がよくいますが、脂質異常症は動脈硬化の一番の原因でもあると言われており、脂質異常症を放置すると増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まり、動脈硬化を引き起こし、結果として脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞が発生したりすることもありますので、放置せずにまずは当院にご相談ください。
血圧
高血圧ガイドライン2019
高血圧ガイドライン2019 では、75 歳未満の成人の目標血圧を130/80mgHg 未満に、75 歳以上の方の目標血圧を140/90mmHg 未満に定めています。また、糖尿病・脳心血管病・尿蛋白を認める慢性腎臓病の病気を持っている方は130/80mmHg 未満をそれぞれ目標値としています。
高血圧の診断基準
家庭血圧で135/85 以上、診察室血圧が140/90 以上の場合、高血圧と診断されます。
血圧が高い状態が続くと心臓や血管に負担がかかり、自覚症状がなくても動脈硬化や心肥大になる可能性があります。放っておくと脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤などの循環器疾患、腎不全などを発症します。
高血圧症の合併症は放置すると危険度が高い病気が多いため、血圧が高くなっていることが分かったら放置せずまずは当院にご相談ください。
糖尿病:血糖値・HbA1c
健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘された場合は、糖尿病の可能性があります。糖尿病は放置すると全身に様々な合併症を引き起こし、命の危険に関わる病気です。
また、糖尿病の種類はいくつかありますが日本人では95%の糖尿病患者は2型糖尿病で、運動不足や不摂生などの「生活習慣の乱れ」が主な原因です。
健康診断で早めに気付くことが出来れば、運動療法・食事療法で重症化せずに改善することも可能です。
血糖値
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことで、空腹時に低下し、食後には上昇します。血糖値が高い場合は糖尿病の可能性が疑われます。検査は、できるだけ空腹時に行うことで正確な数値を測定できます。
健康診断で血糖値が基準値より高い結果が出ている場合は、「空腹時の血糖値が高い」状態です。空腹時の血糖値は110mg/dL 以上で高値と判定されます。空腹時血糖が110mg/dL 以上の場合、糖尿病である可能性が高く、血糖糖負荷試験(75gOGTT75gOGTT)を含め、精査が望ましいです。
HbA1c
HbA1cは、糖尿病治療において血糖コントロール状態の最も重要な指標として利用され、過去1~2か月の血糖コントロールの状態を反映します。糖尿病の「治療効果」を確認する目的としても用いられます。
HbA1cの基準値は人間ドック学会では5.5%以下とされています。
HbA1cが6.5% 以上の場合は「糖尿病」が強く疑われます。もしHbA1c が6.5%未満であっても、それに近い数値の場合には、糖尿病あるいはその一歩手前の状態を示す「境界型糖尿病」の可能性があります。
境界型糖尿病の場合、将来的に糖尿病へ進行する可能性が高く、定期的に検査をしていく必要があるため、当院へご相談下さい。
肝機能:ビリルビン・AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTP・アルブミン
肝臓の機能に関する項目で、肝臓に何らかの異常、機能低下がみられた際に、通常よりも高くなったり低くなったりします。
ASTとALT は肝臓の機能を調べるための代表的な検査項目で、いずれも肝臓の細胞で作られる酵素です。肝臓に何らかのダメージが加わって細胞が破壊されると、血液中にAST とALT が放出されるため、AST とALT が上昇します。このことから、AST とALT 濃度が上昇しているときは肝臓にダメージが生じ、働きが悪くなっていることが分かります。
γ-GTP は肝臓の解毒作用に関係する酵素で、アルコールとの相関が強いです。過度の飲酒によるアルコール性肝障害などで値が上昇します。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、障害があってもなかなか自覚症状が出ません。何らかの症状が現れたときには、すでに病気がかなり進行している可能性があります。これらの項目で指摘された際は、当院までご相談ください。
腎機能:クレアチニン(Cr)・推算糸球体ろ過量(e-GFR)、尿素窒素(BUN)
腎臓の機能に関する項目で、腎臓に何らかの異常、機能低下がみられた際に、通常よりも高くなったり低くなったりします。
腎臓の機能が低下して、老廃物を尿の中に排出する量が減ると、クレアチニンや尿素窒素の数値が高くなります。クレアチニンや尿素窒素の数値が高い場合、腎臓に何らかの異常が起きていることが考えられます。
腎臓は「糸球体」という血液から不要な老廃物を取り除く組織がたくさん集まって出来ている臓器で、この糸球体が壊れることで慢性腎臓病につながります。慢性腎臓病は“病”という名前がついてはいるものの、ある特定の病気の名称ではなく、生活習慣病や糖尿病性腎症などの病気や危険因子によって腎障害や腎機能の低下が慢性的に続いている状態を示すものです。慢性腎臓病は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になっています。
慢性腎臓病では初期の段階ではほとんど自覚症状はないので、気づかないまま腎機能の低下が進んでしまわないよう、早い段階で腎機能の低下を見つけることが必要です。これらの項目で指摘された際は、当院までご相談ください。