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フィネレノン(ケレンディア)とは?糖尿病による腎臓病に使う薬の効果・副作用を腎臓内科専門医が解説
フィネレノン(nsMRA)– T2DM合併CKDの心腎保護
糖尿病性腎臓病・CKD | 腎臓内科専門医が解説

フィネレノン(ケレンディア)とは?
糖尿病による腎臓病を進みにくくする
新しい治療薬

血圧・血糖を整えるだけでは防ぎきれない腎臓・心臓へのダメージ。フィネレノンは「炎症」と「線維化」に直接アプローチし、腎臓病の進行や心血管病のリスクを下げることが期待されています。

13,000例超の大規模試験で効果を確認 腎臓病の進行リスク 23%低下 心血管イベントリスク 14%低下 腎臓・心臓の両方を保護
フィネレノン(商品名:ケレンディア)は、糖尿病による腎臓病(糖尿病性腎臓病)がある方で、尿にたんぱく・アルブミンが続けて検出される場合に使われることがある薬です。
血圧を下げる薬や血糖を整える薬だけでは防ぎきれない「腎臓や心臓の炎症・線維化(組織の硬化)」に直接はたらきかけることで、腎臓病の進行や心血管病のリスクを下げることが大規模な臨床試験で示されています。
※ このページでは専門的な内容も含みますが、患者さんにもわかりやすくなるよう、略語には補足説明を付けています。
フィネレノン(ケレンディア)を一言でいうと
腎臓や心臓の「炎症」を抑えて、
腎臓を守る新しいタイプの薬です。
✔️
腎機能低下や透析への進行リスクを下げる
✔️
心不全・心筋梗塞・脳卒中のリスクを下げる
✔️
尿アルブミン(蛋白尿)を大きく減らす
※大規模臨床試験(FIDELITY統合解析・13,000例超)に基づきます
💡 健診や受診でこんな指摘を受けた方は対象になる可能性があります
(当てはまる方は担当医にご相談ください)
糖尿病がある・糖尿病と診断されている
尿アルブミン・尿蛋白を指摘された
eGFR(腎機能の数値)が低下している
ARB・ACE阻害薬(血圧の薬)を飲んでいる
SGLT2阻害薬を使っているが尿アルブミンが続いている
腎機能(eGFR)が年々低下していると言われた

血圧・血糖の治療だけでは防げない「腎臓・心臓へのリスク」とは

血圧を下げる薬(ACE阻害薬・ARBなどのRAS阻害薬)やSGLT2阻害薬(尿から糖を出す薬)による治療を最大限に行っても、尿アルブミン・蛋白尿(尿アルブミン/クレアチニン比:UACR)が高い状態が続く方では、腎臓・心臓のイベントリスクが依然として高いことがわかっています。その根本には「炎症」と「線維化(組織の硬化)」の進行があります。フィネレノンはこの問題に直接はたらきかけます。

なぜ血圧・血糖の薬だけでは不十分なのか
① 炎症スイッチが「再び入る」現象
血圧を下げる薬(ACE阻害薬・ARB)を最大量使っていても、一部の方では体内のアルドステロン(炎症を引き起こすホルモン)が再び上昇します。血圧が管理できていても、腎臓・心臓の炎症スイッチが再度オンになってしまいます。
② ホルモンがなくても炎症スイッチが入る
ホルモン(アルドステロン)の量が正常でも、酸化ストレスによって炎症の受容体(MR)が活性化されることがわかっています。これが既存の治療だけでは防ぎきれない「残存リスク」の根本的な原因です。
23%
腎臓病の進行リスク低下
大規模臨床試験では腎不全・eGFR大幅低下・腎関連死が減少
14%
心血管イベントリスク低下
大規模臨床試験では心血管死・心筋梗塞・脳卒中・心不全入院が減少
52%
尿アルブミン・蛋白尿の減少
SGLT2阻害薬との併用時(CONFIDENCE試験)
心臓も
腎臓も
両方に届いて守る
心臓・腎臓への均等なはたらき
3秒でわかるフィネレノンのしくみ
糖尿病・高血圧による腎臓ダメージが炎症スイッチをオンにし、炎症・線維化が進むところをフィネレノンがブロックする図解
🖼️ ここにイラスト画像が表示されます
src属性に画像URLを入力してください

血圧・血糖を整えるだけでは防げない「炎症と線維化」に直接はたらく

フィネレノンは非ステロイド型(ステロイドとは化学構造が異なるタイプ)のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(nsMRA)です。従来の同種の薬と異なる受容体への結合のしかたにより、腎臓・心臓の「炎症」や「線維化(組織が硬くなること)」を引き起こす遺伝子のスイッチを強力に抑えます。

フィネレノンの3つの特徴
🔒
特徴的な構造で受容体をしっかり抑える
MR受容体の結合部位に「かさ高い」特徴的な構造でぴったりはまり込み、受容体を強力に抑制した状態へ固定します。従来の薬(ステロイド型)の部分的な抑制とは異なります。
⚖️
心臓にも腎臓にも届いて守る
従来の同種の薬が腎臓に偏って分布するのに対し、フィネレノンは心臓と腎臓の両方にほぼ均等に届きます。腎臓だけでなく心筋にも直接的な保護効果を発揮します。(専門的には心腎への組織分布比がほぼ1:1)
⏱️
体内での持続時間が短く管理しやすい
体内での持続時間(半減期)は2〜3時間と短く体内に蓄積しにくいため、副作用(高カリウム血症)が生じた際に速やかに濃度が下がります。安全に管理しやすい特性です。
組織破壊の連鎖——フィネレノンが断ち切る
1
MR過剰活性化(アルドステロン↑ または 酸化ストレス)
2
酸化ストレス増大・炎症因子の誘導(マクロファージ集積)
3
線維化因子の発現(TGF-β等の誘導)
!
不可逆的な構造変化(糸球体硬化・心筋線維化)
フィネレノン——ステップ1で遮断
炎症スイッチ(MR受容体)を強力に抑制し、連鎖の源を断ち切る
従来薬との違い: RASi・SGLT2iは血行動態・代謝を介した間接的な腎保護。フィネレノンはMR過剰活性化という「上流の炎症スイッチ」に直接作用する。

同じ「ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)」でも、第3世代は何が違う?

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、体内の「アルドステロン」というホルモンが腎臓・心臓に悪影響を与えるのを防ぐ薬のグループです。第1世代(スピロノラクトン)・第2世代(エプレレノン)から進化した第3世代のフィネレノンは、非ステロイド型の構造により、心臓と腎臓の両方に均等にはたらき、性ホルモン関連の副作用(男性の乳房が張るなど)がほとんどありません。

比較項目 スピロノラクトン
第1世代
エプレレノン
第2世代
フィネレノン
非ステロイド型・第3世代
基本骨格 ステロイド型 ステロイド型 非ステロイド型
MR選択性 低い(性ホルモン受容体へも結合) 高い 極めて高い
組織分布(腎:心) 腎臓に大きく偏在 腎臓に大きく偏在 ほぼ均等(1:1)
受容体結合様式 部分的阻害 部分的阻害 嵩高い構造による強力な抑制
血漿半減期 1.3–2.0時間
(活性代謝物はより長期)
4–6時間 2–3時間
性ホルモン関連副作用 あり(男性乳房化など) 少ない ほぼなし
心腎アウトカム試験 なし(CKD適応) EMPHASIS-HF(心不全) FIDELIO-DKD / FIGARO-DKD
臨床的意義:フィネレノンは男性乳房化などの性ホルモン関連副作用を回避しつつ、心臓と腎臓の両臓器へ直接的かつ強力な抗線維化作用をもたらすよう設計されている。

腎臓を守る効果はどのくらい?大規模臨床試験で確認されたデータ

血圧を下げる薬(RAS阻害薬)を最大量使用中の、2型糖尿病合併の慢性腎臓病(CKD)患者さんを対象とした大規模な臨床試験(RCT)が行われ、腎臓・心臓を守る効果が確認されました。「エンドポイント」とは試験で測定する主な結果(腎臓病の悪化・心臓病の発生など)のことです。

FIDELIO-DKD試験
18% 腎臓病が悪化するリスクが低下
腎臓病の進行度が高めの糖尿病合併CKD患者さんを対象に、腎不全への進行・腎機能の大幅な低下・腎関連の死亡が約18%少なくなりました。
▶ 詳しく知りたい方へ(専門データ)
主要エンドポイント:腎不全・eGFR 40%以上の持続低下・腎関連死の複合
HR 0.82(95%CI 0.73–0.93), P=0.0014
対象:eGFR低め・顕性アルブミン尿(UACR ≥ 300 mg/g)が主体
FIGARO-DKD試験
13% 心臓・血管の病気リスクが低下
比較的早期のCKD患者さんで、心血管死・心筋梗塞・脳卒中・心不全による入院が約13%少なくなりました。特に心不全での入院リスクが下がりました。
▶ 詳しく知りたい方へ(専門データ)
主要エンドポイント:心血管死・非致死性MI・脳卒中・心不全入院の複合
HR 0.87(95%CI 0.76–0.98), P=0.0264
対象:eGFR保たれた早期CKD・微量〜顕性アルブミン尿
FIDELITY統合解析(2試験合計)
23% 腎臓病の進行リスクが低下
2つの試験を合わせた13,000例超の解析で、腎臓の悪化リスクが23%、心血管イベントが14%それぞれ低下。腎機能の年間低下速度も改善し(年間約1.2 mL/minの差)、不整脈(心房細動)の新規発生も29%少なくなりました。
▶ 詳しく知りたい方へ(専門データ)
腎複合エンドポイント:HR 0.77, P=0.0002
心血管複合エンドポイント:HR 0.86, P=0.0018
eGFR slope:フィネレノン群 −2.5 vs プラセボ群 −3.7 mL/min/1.73㎡/年
心房細動・粗動新規発症:29%低減
日本人患者さんへの注意点
アジア人全体では腎リスクが36%低下と良好な結果が示されています。一方、日本人だけのデータは人数が少なく、効果がはっきりしない部分もあります。これは人種差というよりも、日本人患者さんのもともとのリスクが低かったことや、解析の対象人数が少なかったことによると考えられており、担当医との十分な相談のもと適切な患者さんを選ぶことが重要です。

糖尿病性腎臓病の標準治療は「4種類の薬」の組み合わせへ

現在は、腎臓を守るために「作用のしくみが異なる4種類の薬を組み合わせて使う」治療が主流になっています。国際腎臓学会(KDIGO)や米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでも、2型糖尿病合併CKDの基礎治療としてこの4種類の組み合わせが強く推奨されています。フィネレノンはその「第3の柱」を担います。

糖尿病性腎臓病を守る4つの治療の柱:RAS阻害薬・SGLT2阻害薬・フィネレノン(nsMRA)・GLP-1受容体作動薬の図解
🖼️ ここに「4つの治療の柱」イラストが表示されます
src属性に画像URLを入力してください
段階的に追加 vs 比較的早い段階で組み合わせる
従来の段階的なアプローチ
用量を確認しながら1剤ずつ順番に追加していく方法。全4種類が揃うまでに最大12〜18ヶ月かかることがあります。
比較的早い段階での組み合わせ
残っているリスクを早期に評価し、比較的早い段階で複数の薬を組み合わせていくことが、将来のリスクを下げる可能性があります。担当医と相談のうえ検討しましょう。
📖 SGLT2阻害薬(第2の柱)について詳しくは:SGLT2阻害薬とは?腎臓と心臓を守る最新治療を腎臓内科専門医が解説

SGLT2阻害薬と組み合わせるとさらに効果的(CONFIDENCE試験)

フィネレノンとSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)を同時に使用した場合の効果を調べた「CONFIDENCE試験」では、それぞれ単独で使うよりも尿アルブミン(UACR:尿アルブミン/クレアチニン比)が大きく減少し、高カリウム血症(血液中のカリウムが高くなりすぎること)のリスクも下がることが確認されました。

エンパグリフロジン単独
−29%
フィネレノン単独
−32%
同時併用
−52%
UACR減少率(180日時点)
なぜ2つの薬を組み合わせると効果が大きくなるの?
SGLT2阻害薬は血糖・血流・代謝のルートからアプローチし、フィネレノンは炎症・線維化のルートからアプローチします。この2つは作用のしくみが異なるため、組み合わせることで単独よりもはるかに大きな尿アルブミンの減少(52%)が得られました。薬を飲み始めてわずか14日目から約30%の低下が確認されています。
高カリウム血症(カリウムが高くなりすぎること)のリスクも下がる
フィネレノンの副作用として血液中のカリウムが上がることがありますが、SGLT2阻害薬を一緒に使うと尿へのカリウム排泄が促進されるため、高カリウム血症のリスクが単独使用時の11.4%から9.3%へと低下しました(約18%の改善)。

糖尿病・CKD・尿アルブミンがある方へ:フィネレノンの使用を検討しやすい状況

糖尿病合併の慢性腎臓病(CKD)の中でも、フィネレノンによる恩恵を受けやすい方の特徴が、臨床試験の結果から見えてきています。担当医師と相談のうえ、ご自身の状態に合った治療方針を検討してください。

タイプA:比較的早期の段階で検討
FIGARO-DKD試験のプロファイル
65
eGFR(腎機能の指標)
mL/min/1.73m²
腎機能はほぼ保たれている状態
150
UACR(尿アルブミン量)
mg/gCr
少量のアルブミン尿が続く状態
状態:血圧を下げる薬で管理中だが、尿に少量のアルブミンが続けて検出されている
目的:腎機能がまだ保たれている段階から腎臓の線維化を抑え、将来の心血管イベント(特に心不全)や腎機能低下を予防する
タイプB:残余リスクが高い段階で検討
CONFIDENCE試験のプロファイル
45
eGFR(腎機能の指標)
mL/min/1.73m²
腎機能がやや低下している状態
600
UACR(尿アルブミン量)
mg/gCr
多量のアルブミン尿が続く状態
状態:血圧を下げる薬+SGLT2阻害薬を使用していても、尿アルブミンが多い状態が続いている
目的:糸球体(腎臓のフィルター)の硬化進行を抑えるため、SGLT2阻害薬に加えてフィネレノンの追加を担当医と相談する
現時点での適応範囲:現在の承認適応は「2型糖尿病合併CKD」に限定。IgA腎症など炎症・線維化を伴う非糖尿病性腎疾患への有効性は現在進行中の臨床試験で検証中。
特にフィネレノンの追加を担当医と相談しやすい状況
尿アルブミンが続く方
血圧を下げる薬・SGLT2阻害薬を使っていても、尿アルブミン(UACR)が高い状態が続いている場合
腎機能が急速に低下している方
eGFR(腎機能の指標)が年間3 mL/min/1.73㎡を超えるペースで低下している場合。フィネレノンはこの低下速度を和らげる効果が確認されています
心不全も合併している方
2025年の適応拡大により、一定の心不全(HFpEF/HFmrEF)にも使用できるようになり、心臓・腎臓の両方の保護が期待されます

フィネレノンで腎臓を守るために:知っておきたい副作用と注意点

フィネレノンを安全・効果的に使用するために、担当医が確認する主なポイントをまとめました。患者さん自身も参考にしてください。

患者さんが知っておくと良い3つのポイント
🩸
血液検査が必要です——飲み始める前と、開始4週間後に必ず血液検査(腎機能・カリウム値)を受けてください。その後も定期的な検査が大切です。
⚠️
カリウムを含む食品に注意——バナナ・ほうれん草・納豆など高カリウムの食品を過剰に摂ると、血液中のカリウムが上がりやすくなります。食事指導がある場合は守りましょう。
👨‍⚕️
他の病院・薬局でもフィネレノンを飲んでいると伝えてください——一緒に使えない薬(特定の抗菌薬・抗真菌薬など)があります。他の科を受診するときや薬局でも必ず申告しましょう。
⚠️
最も注意が必要な副作用:高カリウム血症(血液中のカリウムが高くなること)
自覚症状は出にくい
高カリウム血症は多くの場合、自覚症状がないまま進むことがあります。だからこそ定期的な血液検査が重要です。
採血で早期発見できる
開始前・4週間後・その後定期的に採血を行います。数値が高ければ用量を調整・一時中断することで対処できます。
多くの方は継続できる
大規模臨床試験では高カリウム血症による恒久的な中止は1.7%のみ。適切な管理で多くの方が続けられています。
SGLT2阻害薬でリスクが下がる
SGLT2阻害薬を一緒に使うとカリウムが尿に排泄されやすくなり、高カリウム血症リスクが約18%低下します。
▶ 医療従事者・詳しく知りたい方向け:処方・管理の詳細ポイント
対象は「血圧・血糖の治療だけでは残る腎臓・心臓へのリスク」がある方
血圧を下げる薬(RAS阻害薬)やSGLT2阻害薬で残ってしまう尿アルブミンのリスクに対し、炎症・線維化という別の経路から直接アプローチするのがフィネレノンです。
開始前に必ず確認すること(eGFR ≥ 25 かつ 血清カリウム値 ≤ 4.8 mEq/L)
投与開始前に腎機能(eGFR)と血液中のカリウム値を確認します。カリウム値が4.8 mEq/Lより高い場合はすぐには開始できないため、まず食事指導や利尿薬などでカリウム値を下げてから検討します。重度の肝機能障害がある方には使用できません。
開始4週間後に必ず血液検査を行います
投与4週間後にカリウム値と腎機能(eGFR)を再測定します。結果に応じて用量の増量・維持・一時中断を担当医が判断します。FIDELIO試験では高カリウム血症による恒久的な中止に至った割合はわずか1.7%であり、適切に管理することができます。
SGLT2阻害薬との早期の組み合わせも選択肢のひとつ
段階的に薬を追加するよりも、SGLT2阻害薬との早い段階での組み合わせにより、尿アルブミンの大幅な減少(52%)と高カリウム血症リスクの軽減(約18%低下)が同時に期待できます(CONFIDENCE試験)。担当医と相談のうえ検討してください。
開始後にeGFRが一時的に下がることがあります
フィネレノンを開始した直後に、腎機能の指標(eGFR)が一時的に低下することがあります。これは薬の作用による糸球体内の圧力変化に伴うものとしてみられることがあり、長期的には腎保護に有益なことが多いとされています。ただし、前回の検査値から30%を超えて大きく低下した場合や、脱水が疑われる場合は、担当医に連絡し指示を仰いでください。
一緒に使えない薬があります(CYP3A4阻害薬)
イトラコナゾール(抗真菌薬)・クラリスロマイシン(抗生物質)などの特定の薬との併用は禁忌(使用不可)です。フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するためです。カリウムを保持する利尿薬やリチウム製剤との併用も原則避けます。他の薬を使用中の方は必ず担当医・薬剤師に伝えてください。

フィネレノンについてよくあるご質問

受診前に気になる疑問をまとめました。

2型糖尿病による慢性腎臓病(糖尿病性腎臓病)がある方で、血圧を下げる薬(RAS阻害薬)やSGLT2阻害薬を使っていても尿アルブミンが続いている場合に、追加で使われることがある薬です。腎臓や心臓の「炎症・線維化」に直接はたらきかけ、腎臓病の進行や心血管イベントのリスクを下げることが13,000例を超える大規模試験で示されています。
最も注意が必要な副作用は高カリウム血症(血液中のカリウムが高くなりすぎること)です。開始前と開始4週間後に必ず血液検査を行い、カリウム値に応じて用量を調整します。SGLT2阻害薬と一緒に使うとカリウムが尿に排泄されやすくなるため、高カリウム血症のリスクがさらに下がることが確認されています。大規模試験での恒久的な中止率はわずか1.7%であり、適切に管理できる副作用です。
SGLT2阻害薬(エンパグリフロジンなど)との併用は推奨されており、組み合わせることで尿アルブミンが52%減少し、高カリウム血症リスクも下がることが確認されています。一方、イトラコナゾール(抗真菌薬)・クラリスロマイシン(抗生物質)などとの併用は禁忌(使用不可)です。他の病院や薬局でもフィネレノンを飲んでいることを必ず伝えてください。
糖尿病があり、腎機能の低下(eGFRの低下)や尿アルブミンの増加を指摘されている方は対象になる可能性があります。特に次のような方はご相談ください:

・血圧の薬だけでは尿アルブミンが下がりきらない
・腎機能(eGFR)が年々少しずつ低下している
・SGLT2阻害薬を使っているがアルブミン尿が続いている

当院では腎臓内科専門医が個別の状態に合わせてご説明いたします。
フィネレノンは腎臓病の進行や心血管リスクを長期的に抑えることを目的とした薬です。自己判断で中断すると保護効果が失われる可能性があります。継続の要否・期間については、定期的な血液検査の結果と腎機能の変化を見ながら担当医と相談して判断します。

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参考文献

主要臨床試験
  1. Bakris GL, et al. Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2020;383(23):2219–2229. FIDELIO-DKD
  2. Pitt B, et al. Cardiovascular Events with Finerenone in Kidney Disease and Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2021;385(24):2252–2263. FIGARO-DKD
  3. Agarwal R, et al. Cardiovascular and Kidney Outcomes with Finerenone in Patients with Type 2 Diabetes and Chronic Kidney Disease: The FIDELITY Pooled Analysis. Eur Heart J. 2022;43(6):474–484. FIDELITY
  4. Filippatos G, et al. Finerenone in Patients with Chronic Kidney Disease and Type 2 Diabetes by Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitor Treatment: The FIDELITY Analysis. Diabetes Care. 2022;45(12):2991–3001. FIDELITY サブ解析
  5. Agarwal R, et al. CONFIDENCE: Finerenone and Empagliflozin in CKD with Type 2 Diabetes . N Engl J Med. 2025 Jun 5. doi: 10.1056/NEJMoa2410659. NEJM. 2025. CONFIDENCE
ガイドライン・総説
  1. KDIGO 2022 Clinical Practice Guideline for Diabetes Management in Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2022;102(5S):S1–S127.
  2. American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2024. Diabetes Care. 2024;47(Suppl 1):S1–S321.
  3. 日本糖尿病学会・日本腎臓学会編. 糖尿病性腎臓病(DKD)の診断と治療に関するガイダンス. 2023年改訂版.
  4. Rossing P, et al. Executive Summary of the KDIGO 2022 Clinical Practice Guideline for Diabetes Management in Chronic Kidney Disease: an Update based on Rapidly Emerging New Evidence. Kidney Int. 2022;102(5):990–999.
添付文書・医薬品情報
  1. ケレンディア®錠10mg・20mg 添付文書. バイエル薬品株式会社. 2025年改訂版.
  2. 医薬品医療機器総合機構(PMDA). ケレンディア審査報告書. 2021.
免責事項:本ページは医学的情報の理解促進を目的とした教育的コンテンツです。個別の診療・投薬判断は必ず担当医師とご相談ください。掲載情報は作成時点のエビデンスに基づいており、最新の添付文書およびガイドラインを必ずご参照ください。また、本ページ掲載の臨床試験データの解釈については各原著論文をご確認ください。

監修・文責:加藤 彰浩(院長)|腎臓内科専門医・内科専門医(総合内科専門医)|きたはらやまクリニック(尾張旭市)
最終更新:2026年6月/本ページの内容は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。実際の治療方針については担当医にご相談ください。掲載内容はガイドラインの改訂により変更されることがあります。