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健診でHbA1cが高いと言われたら|内科専門医がやさしく解説
健診でHbA1cが高いと言われたら|腎臓内科専門医が解説

健診でHbA1cが高いと言われたら

自覚症状がなくても、そのままにしないでください。今すぐ確認すべきポイントと、受診までにできることを解説します。

👨‍⚕️ 総合内科専門医が解説 📍 尾張旭市・きたはらやまクリニック

健康診断の結果表を見て、「HbA1cが高い」の文字にドキッとしたものの、体調はいつもと変わらないので、そのままにしていませんか。糖尿病は自覚症状がほとんどないまま進行することが知られており、「症状がないから大丈夫」という判断が、後になって後悔につながることがあります。この記事では、健診でHbA1cが高いと指摘された方に向けて、今すぐ確認すべきポイントと、受診までにできることを、総合内科専門医・腎臓内科専門医の立場からわかりやすくお伝えします。

📋 この記事の3つの要点
  1. HbA1cは、自覚症状より先に体の変化を教えてくれる「早期発見のサイン」です。
  2. 数値によっては、血糖だけでなく腎臓への負担もすでに始まっている可能性があります。
  3. 迷ったときは「様子を見る」より先に、一度の受診・採血で今の状態を確認するほうが安全です。
何科を受診すればいい? まずは内科で大丈夫です。詳しくは後述します。

あなたのHbA1cの数値、どのくらい急いだほうがいい?

HbA1c(NGSP値)は、値の範囲によっておおまかな緊急度が異なります。以下はあくまで一般的な目安です。実際の判断は、血糖値の結果や過去の健診データ、症状の有無などをあわせて行われますので、参考程度にご覧ください。

5.6〜5.9%要注意
生活習慣の見直しを

特定健診では5.6%以上が保健指導の対象です。今すぐ糖尿病というわけではありませんが、将来の発症リスクが高いグループに入るとされています。

6.0〜6.4%要精査
早めの受診をお勧めします

特定健診では5.6〜6.4%が保健指導の範囲ですが、その中でも6.0%を超えてくると、糖尿病の可能性がより意識される段階です。この結果だけで確定はできませんが、追加の血液検査などで現状を確認しておくと安心です。

6.5%以上早期受診
できるだけ早くご相談ください

日本糖尿病学会の基準で「糖尿病型」と判定される数値です。血糖値の結果とあわせて、糖尿病と診断される可能性があります。

💡 数値そのものの意味を詳しく知りたい方へ

HbA1cという検査項目がそもそも何を表しているのか、正常値・基準値の詳しい見方については、別ページ「HbA1cとは?基準値・正常値の見方」(近日公開予定)で解説します。

健診結果票によって「正常」の目安が違って見えるのはなぜ?

健診結果票によって、HbA1cの「正常」の目安が微妙に異なって見えることがあります。これは、特定健診・特定保健指導では5.6%以上を保健指導の目安としている一方、糖尿病の診断基準(日本糖尿病学会)では6.5%以上を「糖尿病型」としているためで、それぞれの目的(生活習慣病の予防か、糖尿病の診断か)が異なることに由来します。なお、2012年以前は国内独自のJDS値が用いられていたため、古い資料ではNGSP値より約0.4%低い数値で記載されている場合がありますが、現在の健診結果票は原則としてNGSP値で統一されています。

自覚症状がなくても、放置してはいけない理由

糖尿病の初期には、のどの渇き・頻尿・体重減少といった症状が出ることもありますが、多くの方はこうした変化に気づかないか、あるいはまったく症状を感じないまま血糖の高い状態が続いていきます。血糖値が高い状態が何年も続くと、血管は自覚のないまま少しずつ傷つき、目・神経・腎臓の合併症や、心筋梗塞・脳卒中のリスクが静かに高まっていきます。「体調は変わらないから大丈夫」という感覚と、体の中で進んでいる変化は、残念ながら一致しないことが少なくありません。

気になる症状がある方へ

のどの渇き・頻尿・体重減少など気になる症状が思い当たる方は、別ページ「糖尿病の初期症状・セルフチェック」(近日公開予定)でもご確認いただけます。

放置するとどうなる?見落とされやすい「腎臓」への影響

糖尿病の合併症というと、目・神経・腎臓の障害(いわゆる「しめじ」)を思い浮かべる方が多いかもしれません。中でも腎臓は、自覚症状がほとんどないまま障害が進みやすい臓器です。実際、糖尿病が原因で起こる腎臓病(糖尿病性腎症)は、日本で人工透析が必要になる原因の第1位となっています。

血糖値が高い状態が続くと腎臓の糸球体に負担がかかり、たんぱく尿につながる仕組みを示した3ステップの図解
血糖値が高い状態が続くと、腎臓のフィルター(糸球体)が傷つき、本来は尿に出ないはずのたんぱくが漏れ始めます。

腎臓の変化は、尿検査(尿たんぱく・尿アルブミン)や血液検査(eGFR:推算糸球体濾過量)で早期に見つけることができますが、これらは健診の血糖値・HbA1cとあわせて確認して、初めて見えてくる変化でもあります。当院は総合内科専門医に加えて腎臓内科専門医が診療しており、血糖のコントロールと腎臓の状態を、同じ場所でまとめて確認できることを一つの強みとしています。健診でHbA1cとあわせて尿たんぱくの異常も指摘されている方は、特に早めのご相談をお勧めします。

糖尿病性腎症とは?糖尿病で腎臓が悪くなる仕組みと対策 腎臓内科専門医による詳しい解説はこちら 健診で尿たんぱくとHbA1cの両方が高かったら 健診シリーズ・関連記事(公開準備中)

受診までにできる、今日からの生活習慣の見直し

受診を先延ばしにしないことが第一ですが、受診までの間にできる備えとして、次のような点を意識してみてください。治療の代わりになるものではありませんが、体への負担を減らすうえで役立ちます。

🍚

食事量を「腹八分目」に

よく噛んでゆっくり食べる、食べ過ぎた翌日は量を調整するなど、できる範囲から。

🚶

体を動かす機会を増やす

エレベーターより階段、一駅分歩くなど、日常の中でできる範囲の運動から始めましょう。

🌙

睡眠・飲酒を見直す

睡眠不足や飲みすぎが続いていないか、生活全体を振り返ってみてください。

特に、ジュースや清涼飲料水など甘い飲み物を控えることは、比較的取り組みやすく、日々の血糖の急な上昇を抑える助けになります。まずはここから始めてみるのもよいでしょう。

※ 具体的な食事療法・運動療法の進め方については、今後別のページで詳しく解説する予定です。

何科を受診すればいい?当院での診療の流れ

健診結果表を持って、まずは内科を受診すれば十分です。近くに「糖尿病内科」「代謝内科」といった専門科がない場合でも、内科専門医のいる医療機関であれば初期の評価は問題なく行えます。

当院では、総合内科専門医と腎臓内科専門医を兼ねる医師が診療しており、血糖の状態だけでなく、腎機能・尿たんぱくまであわせて確認できることが特徴です。管理栄養士による栄養相談も行っています。

問診

健診結果表をお持ちください。過去数年分あると、数値の変化(トレンド)も含めて確認できます。

採血・尿検査

必要に応じて、血糖値・腎機能(eGFR)・尿たんぱくなどを確認します。

結果の説明・今後のご相談

現在の状態と、今後の方針について一緒に確認していきます。

健診結果表をお持ちのうえ、お気軽にご相談ください

「症状はないけれど数値が気になる」という段階でのご相談も歓迎しています。当院の診療体制について、詳しくはこちらをご覧ください。

当院の糖尿病診療について見る

よくある質問

健診で1回だけHbA1cが高かった場合も受診すべきですか?

1回の結果だけで糖尿病と決まるわけではありませんが、体調・食事の影響だけで説明できない数値であることも多く、放置してよいかどうかは検査を受けてみないと分かりません。特に6.0%以上の方は、一度は受診して現状を確認することをお勧めします。

症状が全くないのに、受診してもいいのでしょうか?

もちろん問題ありません。糖尿病は症状が出る前の段階で見つけることに大きな意味がある病気です。「症状がないうちに調べておきたい」というご相談は、むしろ望ましいタイミングです。

HbA1cは、生活習慣の改善だけで下げられますか?

数値や体質によっては、食事・運動などの生活習慣の見直しだけで改善が見られる方もいます。一方で、数値や状態によっては薬物療法が必要になることもあり、これは診察のうえで個別に判断します。自己判断で「生活改善だけで様子を見る」と決めてしまう前に、一度専門的な評価を受けることをお勧めします。

健診結果表のどの項目を見ればいいですか?血糖値との違いは?

血糖値はその日・その時点の値である一方、HbA1cは過去1〜2ヶ月の血糖の平均的な状態を示します。健診結果表では、この両方が記載されていることが多いので、あわせて確認することをお勧めします。それぞれの数値の詳しい意味については、別ページ「HbA1cとは?基準値・正常値の見方」(近日公開予定)で解説します。

まとめ

健診でHbA1cが高いと指摘されても、自覚症状がなければそのままにしてしまいがちです。しかし、糖尿病も、その先にある腎臓・血管への影響も、症状が出るより前から静かに進行することがあります。まずはご自身の数値がどの範囲にあるかを確認し、迷ったときは「様子を見る」よりも先に、一度受診して今の状態を確認することをお勧めします。

健診の段階で見つかった場合、生活習慣の見直しだけで改善が見られる方も少なくありません。だからこそ、自己判断で様子を見るのではなく、一度受診して現在の状態を確認することから始めてみてください。

参考文献

  • 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病治療ガイド2024. 文光堂, 2024.
  • 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂, 2024.
  • 糖尿病診断基準に関する調査検討委員会. 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版). 糖尿病. 2012;55(7):485-504.
  • 厚生労働省. 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版).
  • 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社, 2023.
  • 日本透析医学会. わが国の慢性透析療法の現況(2023年12月31日現在).

監修・文責:加藤 彰浩(院長)|腎臓内科専門医・内科専門医(総合内科専門医)|きたはらやまクリニック(尾張旭市)
公開日:2026年7月/最終更新:2026年7月/本ページの内容は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。実際の治療方針については担当医にご相談ください。掲載内容は健診・診断基準等の改訂により変更されることがあります。