熱が出たとき、「今すぐ受診したほうがよいのか」「検査をするなら何時間後がよいのか」で迷う方は多いと思います。
症状が比較的軽く、水分も取れていて全身状態がよい方では、発熱から12時間程度たってから検査を受けるのが一つの目安です。発症してすぐは、インフルエンザにかかっていても検査が陰性になることがあるためです。
一方で、息苦しさや意識の異常などがある方、重症化のリスクが高い方は、検査に適した時間まで待つ必要はありません。
このページでは、インフルエンザの検査を受けるタイミング、早めに受診したほうがよい症状、検査が陰性だったときの考え方についてご説明します。
まず確認してください:検査の時間を待たずに受診してほしい状態
救急車を呼ぶことを考えてください
次のような状態では、インフルエンザの検査をいつ受けるかよりも、緊急の対応が優先されます。
- 呼びかけへの反応が鈍い、意識がはっきりしない
- けいれんが続く、短時間に繰り返す、けいれんのあとに意識が戻らない
- 明らかに息が苦しい、肩を上下させて呼吸している
- 顔色が著しく悪い、唇が紫色になっている
このような場合は、救急要請(119番)を検討してください。
すぐに医療機関を受診してください
次のような場合も、検査に適した時間を待たずに受診してください。
- 水分がほとんど取れない
- 尿が長時間出ていない
- ぐったりして起き上がれない
- 症状が急に悪化している
夜間や休日で判断に迷うときは、お住まいの地域の救急相談窓口にご連絡ください。お子さんの症状については、小児救急電話相談(#8000)もご利用いただけます。
症状が強くなくても、早めの受診をおすすめする方
次に当てはまる方は、インフルエンザにかかると重症化することがあります。症状が強くなくても、早めの受診をご検討ください。
- ご高齢の方(おおむね65歳以上)
- 乳幼児
- 妊娠中の方
- 糖尿病、心臓の病気、呼吸器の病気、腎臓の病気、肝臓の病気のある方
- 免疫の働きを抑える治療を受けている方
これらの方では、検査の結果が出やすい時間まで待つことより、診察を受けて必要な治療を判断してもらうことが優先されます。持病をお持ちの方の詳しい注意点は、持病がある方のインフルエンザのページでご説明しています。
インフルエンザの検査は何時間後に受けるのがよいですか
発熱から12時間程度が一つの目安です
インフルエンザの迅速抗原検査は、鼻などから採取した検体に含まれるウイルスを調べる検査です。発症して間もない時期はウイルスの量がまだ少なく、実際にインフルエンザにかかっていても、検査では陰性になることがあります。
このため、症状が軽く全身状態がよい方では、発熱から12時間程度たってから検査を受けることが一つの目安になります。政府広報オンラインでも、発熱後12時間以上たってから検査を受けることがすすめられています。
ただし、12時間という数字に明確な境界があるわけではありません。「12時間を過ぎれば必ず正確に分かる」という意味ではなく、発症の直後よりも、ある程度時間がたってからのほうが検出されやすくなる、とお考えください。
また、熱が出ない場合は「発熱から12時間」の目安に当てはめず、症状や全身状態をもとに受診をご判断ください。特にご高齢の方や持病のある方は、発熱を待つ必要はありません。
48時間を過ぎるまで待つ必要はありません
抗インフルエンザ薬は、一般に発症から48時間以内に始めたほうが効果を期待しやすいとされています。検査の結果をより確実にしようとして受診を先延ばしにすると、薬を始められる時間を過ぎてしまいます。
症状が軽く全身状態がよい場合は、発熱から12時間程度を一つの目安として受診をご検討ください。ただし、検査のために何日も受診を遅らせる必要はありません。
ウイルスの量が少なく、かかっていても検査が陰性になることがあります
検査を検討する一つの目安です。陰性でもインフルエンザでないとは限りません
症状が強い方、重症化のリスクがある方は、この目安にかかわらず受診してください。検査のタイミングは、受診を遅らせる理由になりません。
多くの方では、発熱から12時間程度たってからが、検査を受ける一つの目安です。
一方、症状が強い場合や重症化のリスクがある場合は、12時間を待たずに受診してください。
当院を受診される方へ
発熱・かぜ症状がある方の受診方法
発熱、せき、のどの痛みなどの症状がある方は、ご来院後、院内に入る前にお電話でご連絡ください。ほかの患者さんとの接触をできるだけ避けるため、症状に応じて受診方法をご案内します。
ご予約と来院時のお願い
受診をご希望の方は、WEBからご予約ください。
発熱、せき、のどの痛みなどの症状がある方は、ご予約の時間に来院されたあと、院内に入る前にお電話ください。スタッフがその後の受診方法をご案内します。
当院で行っている検査
発症して間もない場合は、インフルエンザにかかっていても検査が陰性になることがあります。そのため、症状や発症からの時間などを確認し、必要に応じてインフルエンザの迅速抗原検査を行います。症状や流行の状況から新型コロナウイルス感染症も考えられる場合は、あわせて検査を行います。
検査結果が分かるまでの時間
迅速抗原検査の結果は、検体を採取してから15分前後で分かります。混雑状況などによっては、結果のご説明までお時間をいただく場合があります。
検査が陰性でも、インフルエンザのことがあります
陰性という結果が意味すること
検査が陰性であっても、「インフルエンザではない」と確定したわけではありません。陰性は「その検体からは、検査で検出できる量のウイルスが見つからなかった」という意味です。特に発症して間もない時期の検査では、感染していても陰性になることがあります。
陰性のあとに、医師が見ているもの
検査の結果は、診断の材料の一つにすぎません。陰性だったときには、次のようなことを合わせて判断します。
- 発症からどのくらい時間が経っているか
- 症状の出方と、その後の経過
- ご家族や職場、学校など、周囲で流行しているか
- 重症化のリスクがあるかどうか
これらから総合的に判断して、検査が陰性であってもインフルエンザとして治療を始めることがあります。検査だけで治療の要否が決まるわけではありません。
もう一度受診していただきたいとき
- 熱が下がらない日が続く
- いったん下がった熱が、再び上がってきた
- 息が苦しくなってきた、咳がひどくなってきた
- 水分が取れなくなった、ぐったりしてきた
陰性だったからと様子を見続けず、経過が思わしくないときはあらためて受診してください。時間が経ってから再度検査をすると、陽性になることもあります。
症状だけで、インフルエンザかどうかを見分けられますか
症状だけで見分けることはできません。インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、いわゆるかぜは、発熱、のどの痛み、咳、だるさなど、初期の症状が互いによく似ています。急に高い熱が出て、関節や筋肉の痛みを伴いやすいといった傾向はありますが、個人差が大きく、診断の決め手にはなりません。
実際には、症状の出方と経過、その時期の流行状況、周囲の方の感染の有無、必要に応じて行う検査を合わせて判断します。ご自身で「これはただのかぜだろう」と決めてしまわず、気になる症状があるときはご相談ください。
抗インフルエンザ薬は、いつ始めるとよいですか
発症から48時間以内が目安です
抗インフルエンザ薬は、ウイルスが体の中で増えるのを抑える薬です。発症から時間が経ってウイルスが十分に増えてしまうと、その効果は期待しにくくなります。このため、発症からおおむね48時間以内に開始することが目安とされています。発症した時刻がはっきりしないこともあるため、実際には症状が出始めた時期やその後の経過を確認して判断します。なお、症状が重い方や重症化のリスクが高い方では、48時間を過ぎていても治療を検討することがあります。受診が遅れた場合でも、ご相談ください。
すべての方に必ず必要な薬ではありません
抗インフルエンザ薬は、症状のある期間をやや短くする効果が期待できる薬です。健康な方が軽い症状で経過している場合には、必ずしも使わないという判断もあります。一方、重症化のリスクがある方では、早い段階で使うことが重要になります。年齢、持病、症状の程度をふまえて、診察のうえで判断します。
薬の種類
日本で季節性インフルエンザの治療に主に使われる抗インフルエンザ薬には、成分名でオセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルがあります。飲み薬、吸入する薬、点滴の薬と種類があり、年齢や体重、持病、吸入ができるかどうかなどによって選びます。
腎臓の働きが低下している方では、薬の種類や量を調整する必要があります。また、持病でお飲みの薬をどうするかという判断も必要になります。この点は持病がある方のインフルエンザのページでご説明しています。
お子さんの異常行動にご注意ください
インフルエンザにかかったお子さんが、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、意味の分からないことを言うといった異常な行動をとることがあります。転落などの事故につながるおそれがあるため、注意が必要です。
保護者の方へ
- 異常行動は、抗インフルエンザ薬を使っていない場合にも報告されています。薬の種類によらず起こることがあり、特定の薬だけが原因と決まっているわけではありません。
- 転落などにつながるおそれのある異常行動は、発熱から2日間以内に多くみられます。
- 自宅で療養する場合は、抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず、少なくとも発熱から2日間は、小児・未成年者を一人にせず、転落などの事故を防ぐ対策をとってください。
- 玄関や部屋の窓の鍵を確実にかけてください。
- ベランダに面していない部屋で休ませてください。
- 一戸建ての場合は、可能であれば1階の部屋で休ませてください。
特に、転落などにつながるおそれのある重い異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性で多く報告されています。女子でも起こることがありますので、性別にかかわらず注意してください。
学校はいつから行けますか
お子さんについては、法令ではっきり決まっています。
学校保健安全法施行規則により、インフルエンザにかかった場合の出席停止期間は、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまでとされています。この2つの条件は、両方を満たす必要があります。熱が早く下がっても、発症から5日は経過しなければなりません。
日数を数えるときは、原則として発熱した日を発症日(0日目)とし、その翌日を1日目とします。解熱についても、熱が下がった日を0日目として翌日から数えます。
例:発症から3日目に解熱した場合
- 発症日0日目
- 1日目
- 2日目
- 3日目解熱
- 4日目
- 5日目両方を満たす
- 6日目登校できます
- 発症日を0日目として数えると、5日目で「発症後5日」を満たします
- 解熱した日(この例では3日目)を0日目として数えると、5日目で「解熱後2日」を満たします
解熱が早くても、発症後5日は必要です。解熱が遅れれば、そのぶん登校できる日も後ろにずれます。
幼児は「解熱後3日」となるため、この例では登園できる日が1日遅くなり、7日目からになります。
曜日で数えると、水曜日に発熱した場合、順調に解熱していても、最も早く登校できるのは翌週の火曜日です。
発熱がない状態でインフルエンザと診断された場合は、インフルエンザらしい症状が出始めた日を発症日として数えます。保育所の登園の目安も、この基準に準じています。
よくあるご質問
熱が出てすぐに受診してもよいですか。
受診していただいて差し支えありません。ただし、症状が軽く水分も取れている方の場合、発熱から12時間程度たってからのほうが、検査で陽性と判定されやすくなります。息が苦しい、水分が取れないなど具合が悪いときや、重症化のリスクがある方は、時間を気にせず受診してください。
夜に熱が出ました。朝まで待ってから受診してもよいですか。
症状が軽く、水分が取れていて全身状態がよければ、翌朝の受診で差し支えないことが多いです。発熱した時刻によっては、翌朝には検査の目安となる12時間程度が経過していることもあります。ただし、けいれん、意識の異常、明らかな息苦しさがある場合は、夜間でも救急要請を検討してください。重症化のリスクがある方は、症状の程度に応じて早めにご相談ください。
検査が陰性でした。インフルエンザではないと考えてよいですか。
陰性でも、インフルエンザの可能性は残ります。特に発症してから間もない時期の検査では、感染していても陰性になることがあります。熱が下がらない、いったん下がった熱が再び上がる、息が苦しくなるといった場合は、あらためて受診してください。
家族がインフルエンザです。症状のない私も検査を受けたほうがよいですか。
症状のない方への検査は、原則としておすすめしていません。感染していても陰性になる可能性が高く、結果を正しく解釈できないためです。ご自身に症状が出てから受診してください。ただし、持病のある方や妊娠中の方は、症状が出る前でも一度ご相談ください。
市販の解熱剤を使ってもよいですか。
使用できる場合もありますが、年齢や持病、飲んでいる薬によって適した薬が異なります。お子さんのインフルエンザで解熱剤を使う場合は、一般にアセトアミノフェンが使われます。アスピリンなどのサリチル酸系の薬、ジクロフェナク、メフェナム酸は、お子さんのインフルエンザには原則として使わないこととされています。市販のかぜ薬や解熱鎮痛薬にはサリチル酸系の成分を含むものもあるため、お子さんに使う前に医師や薬剤師にご相談ください。持病のある方の解熱剤の選び方は、持病がある方のインフルエンザのページでご説明しています。
仕事はいつから行けますか。証明書は必要ですか。
学校のような法令上の一律の決まりはありません。復職の時期は勤務先の規定もご確認ください。なお、復職時の治癒証明書や陰性証明書について、厚生労働省は、職場が従業員に提出を求めることは望ましくなく、提出は不要としています。インフルエンザの陰性を証明することが一般的に難しく、また医療機関に過剰な負担をかける可能性があるためです。
参考にした資料
- 政府広報オンライン「インフルエンザの感染を防ぐポイント」
- 厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
- 日本感染症学会提言「~抗インフルエンザ薬の使用について~」(2019年10月)
- 明石祐作ほか「発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究」日本感染症学会雑誌 95巻1号 9-16頁 2021年
- 日本小児科学会「インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について」(2000年11月)
- 厚生労働省「インフルエンザ脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について」(2001年5月)
- 学校保健安全法施行規則 第19条
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂・2023年10月一部修正)」
