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マンジャロ(チルゼパチド)とは?

マンジャロ(チルゼパチド)とは
2型糖尿病の治療薬としての正しい理解

GIPとGLP-1、2つのホルモンに働く週1回の注射薬。どんなしくみで血糖を下げるのか、どんな副作用に注意すべきか、そして腎臓が気になる方はどう考えればよいのか——保険診療の枠組みのなかで整理しました。

効能・効果は「2型糖尿病」 GIP/GLP-1受容体作動薬 週1回の皮下注射 腎機能低下時の注意点
1枚でわかる マンジャロ(チルゼパチド) マンジャロ(チルゼパチド)は効能・効果が2型糖尿病の週1回皮下注射薬で、GIP受容体とGLP-1受容体の2つに作用する。その結果として、血糖(HbA1c)の改善、体重が変わることがある、心血管への影響が検証されている、という3点が示されている。腎臓内科の視点として、腎機能が低下していても用量の調節は不要とされる一方、下痢や嘔吐による脱水から急性腎障害に至るおそれがあることを強調している。美容・痩身を目的とした使用は適応外使用にあたる。 1枚でわかる マンジャロ(チルゼパチド) マンジャロ(チルゼパチド) 効能・効果は「2型糖尿病」/週1回の皮下注射 美容・痩身を目的とした使用は「適応外使用」にあたります GIP受容体に作用 食後に出て、インスリンを助ける GLP-1受容体に作用 血糖が高いときに働く 血糖(HbA1c)を改善 臨床試験で低下が 示されています 体重が変わることがある 治療上望ましい変化ですが 注意も必要です 心血管への影響 大規模試験で非劣性が 示されています 腎臓内科の視点 ● 腎機能が低下していても、用量の調節は不要とされています ● ただし、下痢・嘔吐による脱水から急性腎障害に至るおそれ
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2型糖尿病の治療薬として国内で承認されている、週1回の皮下注射薬です。近年は「体重が減る薬」として話題になることも多いのですが、このページは保険診療における2型糖尿病の治療薬としてのマンジャロを解説するものであり、美容・痩身を目的とした使い方を紹介するページではありません。 🏥 このページの位置づけ:本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。この薬が適しているかどうかは、一人ひとりの状態をみて医師が個別に判断します。特定の薬をおすすめしたり、他の薬と優劣をつけたりするものではありません。

マンジャロは「2型糖尿病の治療薬」です

最初に、いちばん誤解の多い点をはっきりさせておきます。マンジャロの効能・効果として国内で承認されているのは2型糖尿病であり、それ以外の目的での使用は、承認された範囲を超えた「適応外使用」にあたります。

保険診療で使えるのは、2型糖尿病と診断された方

健康保険を使ってマンジャロの処方を受けられるのは、診察と血液検査(血糖値・HbA1cなど)によって2型糖尿病と診断された方に限られます。さらに添付文書では、「食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮する」と定められています。つまり、生活習慣の見直しを飛ばして最初に選ぶ薬ではありません。

体重が気になるという理由だけで、あるいはBMIが高いという理由だけで保険が適用されることはありません。逆にいえば、2型糖尿病の治療という医学的な目的があってはじめて、この薬の利益と不利益を天秤にかける議論が成り立ちます。

同じ成分でも「ゼップバウンド」は別の薬です

チルゼパチドという同じ有効成分を用いた薬に、肥満症の治療薬として承認されている別の販売名の製剤(ゼップバウンド)があります。成分は同じでも承認されている病気・使用の条件が異なる別の薬で、こちらも一定の医学的条件を満たす場合の治療薬です。

重複投与にご注意ください:チルゼパチドを含む製剤は、複数を同時に使ってはいけないと定められています。他院で同成分の薬を受け取っている場合は、必ずお申し出ください。

当院の方針と、個人輸入の危険性

当院は保険診療を行う内科・腎臓内科のクリニックです。美容・痩身を目的とした適応外の処方は行っておりません。これは、日本糖尿病学会が美容・痩身目的の適応外使用に注意を促し、国内の承認状況に基づいた適正な処方を求めている見解とも一致する立場です。

また、インターネットを通じた個人輸入には強く注意が必要です。品質や安全性が保証されず、偽造品が流通するおそれがあることが行政からも注意喚起されており、健康被害が生じた場合も医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。後述するとおり、この薬は低血糖・急性膵炎・脱水など、医師の管理があってはじめて安全に使える注意点をもつ薬です。

🔗 血糖の数値の見方から確認したい方へ:HbA1cの見方と注意点|数値だけで判断してはいけない理由

GIPとGLP-1——2つのホルモンに働く注射薬

食事をとると、腸から「インクレチン」と呼ばれるホルモンが分泌され、膵臓にインスリンを出すよう促します。このインクレチンには主にGIPとGLP-1の2種類があり、マンジャロはその両方の受容体に働くという特徴をもっています。

GLP-1受容体への作用
血糖が高いときにインスリン分泌を促し、血糖を上げるホルモン(グルカゴン)を抑えます。胃の内容物が出ていく速さをゆるやかにし、満腹感にも関わります。
GIP受容体への作用
食事をとると腸から分泌され、インスリンのはたらきを助けるホルモンです。GIPとGLP-1の両方に働く薬は、現時点ではチルゼパチドだけです。

血糖が高いときに合わせて働く——単独では低血糖を起こしにくい

マンジャロの重要な性質のひとつが、ブドウ糖の濃度に応じてインスリン分泌を促すという点です。血糖が高いときにはしっかり働き、血糖が下がってくると働きが弱まるため、この薬単独では低血糖が起こりにくいと考えられています。

血糖が高いときに働くとはどういうことか 血糖が高いときはマンジャロがしっかり働いて血糖を下げ、血糖が下がってくると働きが弱まるため単独では低血糖が起こりにくいこと、一方でSU薬やインスリンと併用している場合、それらの薬は血糖の高さに関係なく働くため低血糖が起こることがあることを、3つの場面で並べて示した図。 「血糖が高いときに働く」とは、どういうことか 血糖が高いとき マンジャロがしっかり働く 血糖を下げる 血糖が下がってきたとき マンジャロの働きが弱まる 単独では低血糖が 起こりにくい SU薬・インスリンと 併用しているとき これらの薬は血糖の高さに 関係なく働く 低血糖が起こることがある ※ 低血糖の症状と対処法は、開始前に必ず確認しておきましょう。
誤解しやすいポイント:「単独では低血糖が起こりにくい」薬ですが、他の糖尿病の薬と併用すれば低血糖は起こりえます。「低血糖が絶対に起こらない薬」ではありません。

とくにスルホニル尿素(SU)薬やインスリン製剤と併用する場合には低血糖のリスクが高まるため、併用薬をあらかじめ減量するなどの調整を検討します。低血糖の症状と対処法は、開始前に必ず確認しておきましょう。

週1回、同じ曜日に

チルゼパチドは血液中のアルブミンと結合することで長く作用が続き、半減期はおよそ5日間です。このため週1回の投与で効果が保たれます。毎日の注射が必要なインスリンとは、目的も使い方も異なる薬です。

GLP-1受容体作動薬そのもののしくみを詳しく知りたい方へ:GLP-1というホルモンの働きと、腎臓・心臓を守る効果については、GLP-1受容体作動薬(リベルサス)のページで詳しく解説しています。本ページはチルゼパチドという1剤に絞った解説です。

血糖・体重・心血管——臨床試験からわかっていること

ここでは、承認の根拠となった臨床試験や、その後に報告された大規模試験の結果を、事実として整理します。個々の患者さんで同じ結果が得られることを保証するものではありません。

この章の3行まとめ
血糖(HbA1c)は、臨床試験で低下が示されています
体重は減ることがあります。適応と、過度な体重減少に注意しながら評価します
心血管への影響は大規模試験で検証され、非劣性が示されています

血糖(HbA1c)への効果

食事・運動療法だけでは血糖コントロールが不十分な2型糖尿病の方を対象とした国際共同第III相試験では、マンジャロを40週間投与した群のHbA1cは、プラセボ(偽薬)群と比べて有意に低下しました。日本人を含む国内の試験や、経口血糖降下薬に追加した試験でも、HbA1cの低下が報告されています。

なお添付文書では、3〜4か月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮するよう定められています。「使い続ければいつか効く」という薬ではなく、定期的に効果を確かめながら使う薬です。

体重の変化も、適応と安全性を確認しながら評価します

臨床試験では、用量に応じて体重が減少する傾向が報告されています。2型糖尿病に過体重・肥満をともなう場合、適正な体重減少は治療上望ましい変化のひとつです。一方で、マンジャロの承認された効能・効果は2型糖尿病であり、体重減少だけを目的として保険診療で使用する薬ではありません。

また、体重は「減れば減るほどよい」というものでもありません。この点は添付文書にも明記されています。マンジャロには「用量依存的な体重減少が認められるため、血糖コントロールだけでなく体重減少にも注意し、増量の必要性を慎重に判断すること」「過度の体重減少がみられた場合は減量または中止を考慮すること」という注意が置かれています。さらに、開始時のBMIが23kg/m²未満の方における有効性・安全性は検討されていません。そのため、体重減少の程度だけでなく、筋肉量や栄養状態も含めて注意深く確認する必要があります。

体重が減るという性質は、そのまま「痩せたい人が使ってよい理由」にはなりません。とくに高齢の方では、サルコペニアや低栄養につながる可能性があるため、体重の変化は毎回の診察で確認すべき項目のひとつです。

心血管アウトカム試験でわかっていること

2025年に報告された大規模試験(SURPASS-CVOT)では、2型糖尿病があり動脈硬化性の心血管疾患を有する方を対象に、チルゼパチドと既存のGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド)が直接比較されました。主要評価項目である心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合イベントについて、非劣性(劣っていないこと)が示されています。

腎臓に関する項目は事前に規定された探索的解析として、総死亡は副次評価項目として報告されています。いずれも主要評価項目の結果とは位置づけが異なり、チルゼパチドの優越性を確定する結果として解釈することはできません。

臨床試験の結果は「集団としての平均的な傾向」を示すものです。目の前の患者さんにとって最善の選択かどうかは、合併症・腎機能・年齢・低血糖のリスク・生活背景を含めて総合的に判断します。

腎臓が気になる方が、知っておきたいこと

当院は腎臓内科を専門とするクリニックです。ここでは、他ではあまり詳しく触れられない「腎機能とマンジャロ」の関係を整理します。なお以下は一般的な情報提供であり、実際に使用できるかどうかの判断は、必ず担当医が個別に行います。

腎機能が低下していても、用量調節は必要ないとされている

チルゼパチドは、腎臓から未変化のまま排泄される薬ではなく、体内で一般的なタンパク質と同じ経路で分解されます。腎機能が正常な方、軽度〜重度の腎機能障害がある方、さらに血液透析を受けている方を対象とした薬物動態試験でも、血中濃度に大きな差は認められませんでした。このため、腎機能に応じた用量の調節は必要ないとされています。

腎機能が下がると使える薬が限られていくなかで、これは実際の診療において意味のある性質です。ただし「腎機能が悪くても安心して使える」という意味ではなく、次に述べる注意点のほうがむしろ重要になります。

いちばん注意すべきは、脱水による急性腎障害

添付文書には、「下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがある」という注意が明記されています。マンジャロで比較的多くみられる消化器症状が、そのまま腎臓へのダメージにつながりうるということです。

とくに、利尿薬・RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)・SGLT2阻害薬・NSAIDs(痛み止め)などを併用している方では、脱水が腎機能に与える影響が大きくなります。腎臓の予備能が下がっている方であればなおさらです。

脱水から急性腎障害に至る流れ 下痢・嘔吐などの消化器症状から、食事・水分がとれなくなり、脱水となって腎臓へ流れる血液が減り、急性腎障害(AKI)に至るという流れを示した図。利尿薬、RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)、SGLT2阻害薬、痛み止め(NSAIDs)の使用や、もともとの腎機能低下、高齢といった要因が重なるほどリスクが高まることを示している。 脱水から急性腎障害(AKI)に至る流れ 下痢・嘔吐 食事・水分が とれない 脱水 腎臓へ流れる 血液が減る 急性腎障害 (AKI) リスクを高める要因(重なるほど注意が必要です) ● 利尿薬  ● RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)  ● SGLT2阻害薬 ● 痛み止め(NSAIDs)  ● もともと腎機能が低下している  ● 高齢 ※ この流れは、早めの水分補給と受診によって断ち切ることができます。
体調をくずした日(シックデイ)の約束ごと:発熱・嘔吐・下痢が続く、食事や水分がとれない——このようなときは、こまめに水分をとり、早めにご相談ください。薬によっては一時的に中止したほうがよいものがあります。開始前に「どんなときに、どの薬を止めるか」を決めておくことが、腎臓を守るうえで最も実効性のある対策です。

糖尿病性腎臓病における位置づけ

糖尿病による腎臓病の治療では、患者さんの病態に応じて、作用のしくみが異なる薬を重ね合わせる考え方が重視されています。その中心となるのがRAS阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、フィネレノンです。ただし、すべての方に4種類すべてを使うという意味ではありません。

このうち、腎臓を守ることそのものを主要な評価項目として検証されてきたのは、主にSGLT2阻害薬・RAS阻害薬・フィネレノン、そして一部のGLP-1受容体作動薬です。マンジャロについては、腎アウトカムを主要評価項目とした検証はまだ途上にあります。したがって現時点では、「血糖と体重を含む代謝全体を整える薬」として位置づけ、腎保護が主目的の薬とは役割を分けて考えるのが妥当です。

実際の診療では、この薬を単独で考えることはほとんどありません。尿たんぱく(尿アルブミン)が出ているか、eGFRがどう推移しているか、心臓の状態はどうか——それらを踏まえて、複数の薬をどう組み合わせるかを設計していきます。

▼ 「腎臓を守る薬」を詳しく

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導入から増量まで——あわてず、少しずつ

マンジャロは、最初から効果の高い量で始める薬ではありません。体を慣らしながら、少しずつ量を調整していきます。

1
週1回2.5mgで開始
まずは体を慣らす段階。この量は増量までの導入用と位置づけられています。
2
4週間後に5mgへ
維持用量は週1回5mg。多くの方はここで経過をみます。
3
必要に応じて調整
効果が不十分なら4週間以上あけて2.5mgずつ増量。最大は週1回15mgまで。
マンジャロの増量の流れ 週1回2.5mgで開始し、4週間後に維持用量である週1回5mgへ増量する。効果が不十分な場合のみ、4週間以上の間隔をあけて2.5mgずつ、7.5mg、10mg、12.5mg、最大15mgまで増量できることを示した図。 増量の流れ ——「少しずつ」が原則です 2.5mg 開始用量 5mg 維持用量 まずはこの量で経過をみます 7.5mg 10mg 12.5mg 15mg 最大用量 4週間後 4週以上 4週以上 4週以上 4週以上 ※ 5mgで効果が不十分な場合に、医師が必要性を判断して増量します。全員が15mgまで増やすわけではありません。

つらいときは、無理に増やさない

添付文書には、胃腸症状などで体が慣れない場合には減量や増量の先送りを考慮すると記載されています。増量のスケジュールは絶対的なものではありません。「予定どおり増やせないのは失敗」ではなく、その方に合った量を探している過程だとお考えください。遠慮なく症状をお伝えいただくことが、結果的に治療を続けやすくします。

打ち忘れたときの考え方

状況どうするか
次の予定日まで3日(72時間)以上ある気づいた時点で打ち、その後は元の曜日に戻す
次の予定日まで3日未満その回は飛ばして、次の予定日に打つ
打つ曜日を変えたい前回の注射から少なくとも3日以上あける
絶対に避けていただきたいこと:忘れた分を取り戻そうとして、2回分をまとめて打たないでください。

注射する場所と、保管のしかた

注射はおなか・太もも・二の腕の皮下に行い、同じ範囲のなかでも毎回場所を変えます。静脈内や筋肉内には注射しません。

保管は凍結を避け、2〜8℃で遮光が基本です。凍ってしまったものは使用しないでください。持ち歩きなどで室温に置く場合は、30℃を超えない場所で外箱に入れたまま保管し、21日以内に使い切ります。

知っておいていただきたい副作用と注意点

効果と同じだけ、あるいはそれ以上に大切なのが、この項目です。すべてを覚える必要はありませんが、「どんなときに連絡すべきか」だけは押さえておいてください。

最も多いのは消化器症状

臨床試験で頻度が高かった副作用は、吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・消化不良・食欲の低下といった消化器症状です。開始時や増量した直後に出やすく、多くは軽度から中等度で、続けるうちに落ち着いていくことが多いとされています。

食事を少量ずつゆっくりとる、脂っこいものを控える、水分をこまめにとるといった工夫で楽になることもあります。それでもつらい場合は、量の調整を検討しますのでご相談ください。

頻度は低いものの、重要な副作用

副作用気をつけるサイン
急性膵炎嘔吐をともなう、持続する激しい腹痛。診断された場合、この薬の再開は行いません。
胆のう炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸腹痛、発熱、皮膚や白目が黄色くなる。
イレウス(腸閉塞)強い便秘、おなかの張り、持続する腹痛、嘔吐。
低血糖脱力感、強い空腹感、冷や汗、動悸、手のふるえ、めまいなど。SU薬・インスリン併用時は要注意。
アナフィラキシー・血管性浮腫じんましん、顔やのどの腫れ、息苦しさ。

このほか、心拍数の増加、血圧の低下、注射部位の反応(赤み・かゆみ・痛み・腫れ)などが報告されています。また、血糖が急速に改善する過程で糖尿病網膜症が悪化することがあるため、眼科での定期的な確認が大切です。

使えない方・慎重に判断が必要な方

使用できない方・投与しない方
・この薬の成分に過敏症の既往がある方
・1型糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の方
・重症感染症、手術などの緊急時
妊娠中または妊娠している可能性のある方には本剤を使用せず、インスリン製剤による治療を行います。
慎重に判断する方
・膵炎の既往がある方
・重い胃腸の障害がある方
・腹部手術やイレウスの既往がある方
・増殖糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫などがある方
・高齢の方(体重の変化に注意)

妊娠を希望される場合や、妊娠の可能性がある方は必ずご相談ください。この薬の投与中および最終投与後1か月間は避妊が必要とされています。

手術・内視鏡・全身麻酔の予定があるとき

見落とされがちですが、実際の診療でとても重要な項目です。マンジャロには胃の内容物が出ていくのを遅らせる作用があるため、全身麻酔や深い鎮静をかける際に、絶食の指示を守っていても胃の内容物が残り、誤嚥が生じた例が報告されています。

手術・胃カメラ・大腸カメラなどの予定が決まったら、その医療機関に「マンジャロを使用している」と必ず伝えてください。休薬の要否や期間は内容によって異なります。当院での処方分についても、お気軽にご相談ください。

併用に注意が必要な薬

薬の種類注意点
SU薬・グリニド薬・インスリン低血糖のリスクが高まります。併用時はこれらの減量を検討します。
DPP-4阻害薬作用の経路が重なるため、併用時の有効性・安全性は確認されていません。切り替えを含めて検討します。
経口避妊薬開始初期や増量直後に、効果が弱まるおそれがあります。
ワルファリンなど効きめの幅が狭い飲み薬は、吸収のタイミングが変わる可能性があり、慎重な観察が必要です。

他の医療機関・薬局を利用される際は、お薬手帳などでマンジャロを使用中であることを必ずお伝えください。

マンジャロについて、よくいただくご質問

マンジャロが国内で承認されている効能・効果は2型糖尿病であり、保険診療で使えるのは2型糖尿病と診断された方に限られます。当院は保険診療の医療機関であり、美容・痩身を目的とした適応外の処方は行っておりません。なお、同じ有効成分を用いた肥満症の治療薬は別の販売名の薬剤として承認されていますが、こちらも一定の医学的条件を満たす場合の治療薬です。体重についてお困りの場合も、まずは血糖・血圧・腎機能などの状態を評価するところからご相談ください。
週1回、同じ曜日に皮下注射する薬です。注射する場所はおなか・太もも・二の腕で、毎回少しずつ場所を変えます。ペン型の注入器を用い、医療機関で手技の説明と練習を受けたうえでご自身で注射していただきます。針の取り扱いや廃棄の方法もあわせてご説明します。
吐き気・下痢・便秘などの消化器症状は、開始時や増量した直後に出やすく、多くは軽度から中等度で、続けるうちに落ち着いていくことが多いとされています。つらいときは増量を先送りしたり、量を調整したりする対応が想定されています。ただし、嘔吐をともなう強い腹痛が続く場合は急性膵炎の可能性も考える必要があるため、自己判断で様子をみず、速やかに受診してください。
チルゼパチドは体内でタンパク質と同じように分解される薬で、腎機能が低下した方や透析中の方でも血中濃度に大きな差はみられなかったと報告されており、腎機能に応じた用量調節は必要ないとされています。一方で、下痢や嘔吐から脱水になると急性腎障害につながるおそれがあるため、体調不良時の対応をあらかじめ決めておくことが重要です。実際に使えるかどうかは、eGFRや尿たんぱく、併用薬、合併症を含めて医師が個別に判断します。
必ず事前に、マンジャロを使用していることを手術・検査を行う医療機関にお伝えください。この薬には胃の内容物が出ていくのを遅らせる作用があり、全身麻酔や深い鎮静をかける際、絶食の指示を守っていても胃の内容物が残っていて誤嚥が生じた例が報告されています。休薬の要否や期間は検査・手術の内容によって異なるため、担当の医師の指示に従ってください。
次に打つ予定日まで3日(72時間)以上あいている場合は、気づいた時点で打ち、その後は元の曜日に戻します。次の予定日まで3日未満しかない場合は、その回は飛ばして次の予定日に打ちます。忘れた分を取り戻そうとして2回分をまとめて打つことは絶対に避けてください。打つ曜日を変更したいときも、前回から少なくとも3日以上あけます。
危険です。個人輸入では品質・有効性・安全性が保証されず、偽造品が混入するおそれがあると行政からも注意喚起されています。副作用が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。マンジャロは低血糖や急性膵炎など、医師の管理が前提となる注意点をもつ薬です。使用を検討される場合は、必ず医療機関を受診してください。

マンジャロは、正しい適応のもとで使えば、2型糖尿病の治療において確かな選択肢のひとつとなる薬です。一方で、注意すべき点も少なくありません。「自分に合っているだろうか」と迷われたときは、どうぞお気軽にご相談ください。

このような方は、一度ご相談ください

  • ✓ 健診で「HbA1cが高い」と言われた
  • ✓ 糖尿病と診断され、これからの治療を相談したい
  • ✓ 血糖だけでなく、腎臓の数値も気になっている
  • ✓ 今の治療のままでよいのか、ほかの選択肢も知りたい
  • ✓ 注射薬を使っていて、副作用が心配

当院では、血糖の値だけでなく腎機能・合併症・併用薬・生活背景まで含めて確認したうえで、お一人おひとりに合った治療をご提案しています。

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参考文献

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免責事項:本ページは医学的情報の理解促進を目的とした一般的・教育的コンテンツであり、特定の薬剤の使用を推奨したり、他剤との優劣づけをするものではありません。また、承認された効能・効果以外の使用(美容・痩身目的等)を推奨するものではありません。薬の開始・変更・中止は、必ず担当医師とご相談ください。掲載情報は作成時点の添付文書・ガイドラインに基づいており、最新の情報を必ずご参照ください。

監修・文責:加藤 彰浩(院長)|総合内科専門医・腎臓専門医|きたはらやまクリニック(尾張旭市)
公開日:2026年9月/最終更新:2026年9月/本ページの内容は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。実際の治療方針については担当医にご相談ください。掲載内容は添付文書・ガイドラインの改訂により変更されることがあります。